QRコードの奇跡: モノづくり集団の発想転換が革新を生んだ

著者 :
  • 東洋経済新報社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492534199

作品紹介・あらすじ

誕生25周年。トヨタの工場から世界中のスマートフォンへ。
日本発で国際標準になった稀有なイノベーション、50年の記録。

QRコードは1970年代初頭、トヨタの生産現場での「かんばん」の電子化をめざしてデンソーで研究・開発がスタートした。さまざまな技術的障壁や現場からの反発を乗り越え、1994年に完成する。その後の周辺技術、国際標準化への取り組み、オープンソース化、利用現場の開拓など、次々に主導する人物が交代しては進めていった。その後、セブン-イレブンや携帯電話、全日空、銀行ATM、駅のホームドアでの導入など、2000年代に入って利用者が用途を開発し、爆発的に普及していく。圧倒的な情報量(バーコードの350倍)、読み取り速度(Quick Response)とエラー回避、セキュリティ、小さい面積とデザインの自由度などもあって、他のコードを凌駕している。今や中国をはじめ、世界中の主要な電子決済手段にもなっている。2014年には、欧州特許庁が主催する「欧州発明家賞」を日本で初めて受賞した。本書は、関係者への取材を丹念なもとにQRコードの今日に至るストーリーと読み解きながら、トヨタ生産方式、スクラム型開発、両利きの経営、ユーザーイノベーションなどを同時に行った、日本発のイノベーションの稀有な事例として描き出すものである。

感想・レビュー・書評

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  • 普段何気なく使っているQRコードがもともと工場で使うためのものと知らずに過ごしていた。
    これを読むとQRコードが世界中で使われている理由がよくわかった。

  • QRコードがどうやって出来たのかが分かりやすく書いてある。
    最初は工場で効率よく荷物をやり取りするにはどうしたらいいのか?から始まる。
    荷物が動くと伝票が発生し、それを処理するのに時間がかかるので、どうにかできないか?荷物自体に情報をのせてはどうか?バーコードより情報を増やして読みとりやすくするには…など課題を解決するにあたって、たくさんの人と時間とお金がつぎこまれていく。また、海外でも共通して使うには?ほかの使い方はあるのか?と、どんどん広がっていく様がおもしろかった。
    簡単に使えるものこそ、いろいろと手がかかっているのだなぁと思った。

  • 国際標準っていいね。

  • 1つの技術が生まれ、世界標準となり、普及していくプロセスを追っている。全体的にデンソー万歳な論調になるのは、デンソー社からの聞き取りプロセスを考えるにしょうがないかと。そこをさっぴいても、非常に為になる本。国際標準化の工程でどれだけのカネが動いたのだろうか。。。 自動認識業界だと、RFIDやカメラ技術がこれから普及していくはずだけど、裏側どうなってんのかな。

  • すごく面白かったです。

    QRコードが誕生した背景を知るだけでなく、本書からは、とことんこだわることの大切さが学べます。
    若い方に、ぜひ読んで頂きたいです。

    著者の著述がとても分かりやすい。
    「後述する●●が」などと、読者が迷子にならないような気配りも感じられます。

    物語としては、登場する関係者一人ひとりの強いモチベーションに感動しました。ページをめくるたびにわくわくしました。

    また、特許権を持っても権利行使をしない「パブリックドメイン」のメリットがよくわかりました。
    実は、前半を読んでいる間は「奇跡なんて失礼。関わってきた一人ひとりの努力の成果じゃないか」と思っていました。

    「奇跡」は、ユーザーが新しい用途をどんどん発見して、QRコードの価値を引き上げて行ったことを指していたのですね。

    カバーデザインのセンスもバツグン! 東洋経済とは思えない遊び心が感じられました。

  • Quick Response

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50197101

  • いまや目にしない日はないQRコードは、トヨタ生産方式に対応するために、元々トヨタの一部門から独立したデンソーにより生み出された技術。

    QRコードが一般化したのは、中国におけるペイメントでの普及の影響も大きいため、日本の技術であることを知らない人も多いのではないだろうか。

    この技術に関してデンソーは、世界的な普及のために特許は取得するものの、特許料などは請求しない形をとったことで、元々は製造業の中だけで使われる技術であったが、いまではインターネットの世界でも広く活用されている技術となった。

    ただ、単に特許料を取らなかったから広まった、というわけではなく、日本の自動車工業会の標準コードとなり、日本の自動認識工業会規格、国際自動認識工業会、そしてJISを挟んでISO/IECといった世界の規格の標準として認定されている。こうした基礎があって世界に普及したことを忘れてはならない。

    本書では、この国際自動認識工業会での承認に至るまでの苦労や国際的な根回し、またJISを管掌していた当時の通産省工業技術院が不必要に足を引っ張っていた姿などが描かれている。

    日本が国際規格に翻弄される中、数少ない成功例としてのQRコードの存在を忘れてはならない。また、こうした取り組みに、現在の経産省が足を引っ張ることもあることを意識しておく必要がある。

    ここまで本書の内容についてまとめてみたが、いくらリーダーで儲けようという意図があったからとはいえ、無料で開放する意図のあったQRコードの国際規格化に尽力されたデンソー(現在のデンソーウェーブ)の社員の方々の努力には本当に頭が下がる思いである。

  • 科学道100冊 2022 テーマ「情報の世紀」

    【所在】図・3F開架
    【請求記号】007.6||OG
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/465545

  • #科学道100冊2022

    毎年恒例の企画展示「科学道100冊」に、今年新たに加わった本。

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB29724171

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著者プロフィール

小川 進(オガワ ススム)
神戸大学大学院経営学研究科教授、MITリサーチ・アフィリエイト
1964年兵庫県生まれ。87年神戸大学経営学部卒業、98年マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院にてPh.D.取得。2003年より現職。研究領域は、イノベーション、経営戦略、マーケティング。
主な著作に『イノベーションの発生論理』『はじめてのマーケティング』(ともに千倉書房)、『競争的共創論』(白桃書房)、『ユーザーイノベーション』(東洋経済新報社)がある。
英語論文では、フランク・ピラーとの共著“Reducing the Risks of New Product Development”やエリック・フォン・ヒッペルらとの共著“The Age of the Consumer-Innovator”(ともにMIT Sloan Management Review掲載)などがあり、ユーザーイノベーション研究では世界的な評価を得ている。組織学会高宮晋賞(2001年)、吉田秀雄賞(2011年、準賞)、高橋亀吉記念賞(2012年、優秀作)などを受賞。

「2020年 『QRコードの奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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