余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492443804

作品紹介・あらすじ

資本主義はもはや「富が集中するよう仕組みまれたゲーム」であり、その暴走によって格差はますます拡大し続ける。暴走の先にはどんな社会が待っているのか?『暴走する資本主義』の著者が提言する中間層のための新しいニューディール政策。

感想・レビュー・書評

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  • 労働配分が低下すると
    中間層が減少して、経済が停滞してしまう
    さすがライシュ

  • ☆所得と富が富裕層トップに集中していることが、米国経済が直面している苦悩の核心。
    ☆富裕層の増税。再雇用制度(賃金保険など)。教育振興券。学生ローン(卒業後の所得に応じた)。医療保険。無料の公共財の拡大。

  • 社会
    思索

  • ドナルド・トランプ大統領の就任を予言したとされる書である。資本主義はもはや「富が集中するよう仕組まれたゲーム」であり、その暴走によって格差はますます拡大し続ける。暴走の先にはどんな社会が待っているのか? 近未来を予言し、中間層のための新しい政策を提言する。

    イントロダクション 歴史は繰り返す?
    第Ⅰ部 破たんした取引
    第1章 エクルズの洞察
    第2章 二つの恐慌の類似性
    第3章 あるべき取引
    第4章 富の集中が不況を招く
    第5章 為政者が金融経済を怖がる理由
    第6章 大繁栄時代――一九四七~七五年
    第7章 歴史は繰り返す
    第8章 消費し続けるアメリカ人――三つの対応メカニズム
    第9章 対応メカニズムのない未来
    第10章 中国がアメリカを救わない理由
    第11章 もう普通には戻れない
    第Ⅱ部 反動
    第12章 二〇二〇年大統領選挙
    第13章 経済を巡る政治――二〇一〇~二〇年
    第14章 「前より減ること」に満足できない理由
    第15章 損失の痛み
    第16章 損失にのしかかる屈辱感
    第17章 富が集中するように仕組まれたゲーム
    第18章 怒りの政治
    第Ⅲ部 まっとうな取引を取り戻せ
    第19章 何をすべきか――中間層のための新しいニューディール政策
    第20章 どうすればよいか

  • 社会が生み出した富が、消費者たる労働者に回らず、投資として生産力増強に回る。そのため、需要は生産力に追いつくことなく、不況につながる。
    富を社会の中で再分配して、消費者を増やし、経済と社会を安定させる。
    不平等は社会の全ての階層にとって、危険だという主張はもっとも。やっぱり政治にもっと関心を持たなくてはいけないと思った。

  • 需要不足が不況の原因。需要不足を引き起こすのは富の偏在。
    史実や経済現象を引き合いにシンプルな解説がされていて、読みやすいし頭に入りやすい。

    あまり文量が割かれていないからか、解決策はさらっとしているように感じたが、日本・アメリカ・欧州の景況感が少し良くなってきた今、著者の主張がどのように反映されているかあるいはいないかを見てみると面白いのではないかと感じた。

  • 中間層だったはずなのに、どっちへなっちゃうかは自分しだいか

  • クリントン政権の労働長官であったライシュ氏の著です。
    富が一部の富裕層にだけ集中してしまい、
    米国中間層が崩壊しつつある現状を記述しています。
    「働いた見返りに正当な対価を受け取る」という当たり前のことが
    ないがしろにされ、富裕層にだけ有利なルールに
    人々が気付いて不満を高めれば、
    ティーパーティーをもっと極端にしたような
    不寛容な党派が勢力をもつ危険もあるとも。
    著者は米国市民がそのような選択を取らない、
    との期待を込めておりますが、現実を見るに
    不寛容な状況は進行しているのではないでしょうか。
    金融業界への激しい批判はやや公平性を欠くように思います。
    金持ちの悪徳を攻撃して、不公正が無くなる訳ではないからです。

  • 中間層を底上げし、消費水準を生産力に見合うレベルに引き上げること
    マクロ経済循環から不況後の処方箋を説く

  • 今アメリカが抱えている経済の問題の原因は、グローバリゼーションでも国民が資力以上の浪費を行ったことでもなく、中間層への富の分配が本来の水準においていていないからである。富裕層との格差が広がる中でこれ以上中間層がいなくなると、そもそも経済が縮小し、また政治的な脅威に晒される。そのような事態に陥ってしまっては、富裕層も得をしない(景気が回復しないのだから)。そうならないためにどうすればよいかを提示している。

    ウォーレンバフェットの下りと、振り子の話あたりは、勝者の代償を再読してからもう一度考えたいです。
    あとは、これ読んで少し日本の政治の見方変わりました。BIについても考えさせられたかな。

    取り急ぎ、覚えてる部分だけ。


    余震

    米国人が自分の資力以上の生活をしてしまった原因は、国民の資力が経済の拡大に伴って国民が手にすることができたはずの、あるいは手にすべきだった水準に追いついていないからだ。

    ほとんどの人々の賃金が上がらないとなれば、より良い生活を送りたいという欲求を満たすには借金をするほかなく、借金漬けが続くことになってしまう。そのような人々の消費によって、一時的には経済は活性化し、たいていの人が職にありつくという状況が生まれたが、それも長くは続かなかった。十分な購買力を持っていなければ、中間層が経済を成長させ続けることはできない。借金には限界がある。いつの日にか、そのツケは回ってくるのだ。

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著者プロフィール

ロバート・B・ライシュ
カリフォルニア大学バークレー校教授
1946年、ペンシルバニア州に生まれる。ハーバード大学教授などを経て、現在、カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授。クリントン政権での労働長官をはじめ三つの政権に仕えたほか、オバマ大統領のアドバイザーも務めた。著書は『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』、『暴走する資本主義』など多数。雑誌『ニューヨーカー』、『アトランティック』や、『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』、『ウォールストリート・ジャーナル』各紙への寄稿多数。雑誌『アメリカン・プロスペクト』の共同創立編集人。2008年、『タイム』誌の「最も業績を収めた20世紀の閣僚10人」の1人に選ばれたほか、『ウォールストリート・ジャーナル』紙で「最も影響力のある経営思想家20人」にも選出された。2013年、ライシュ自身をモチーフにして制作された映画『みんなのための資本論』(ジェイコブ・コーンブルース監督)が、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門にて審査員特別賞を受賞。2014年、アメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選ばれる。

「2016年 『最後の資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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