格差は心を壊す 比較という呪縛

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492315262

作品紹介・あらすじ

イギリス格差研究の第一人者による渾身のレポート!
私たちを追い詰める“他人の目”という呪縛。

激しい格差は、人類の競争本能を暴走させる。
下流も上流も息苦しい社会の変革に必要なこと。

【本書の主な主張】

・米国人の80%以上が臆病に悩んでいる。
・友情の価値は年間約1200万円
・100万人の英国の生徒が病んでいる
・不平等の拡大でうつ病も広がる
・ゼロサムゲームとしての美容整形
・格差でサイコパス的経営者が評価される
・不相応な出費を促す極限の資本主義
・不平等な社会ほど子どものいじめが激しい
・能力の差が改装を決めるという誤った思い込み
・格差は社会全体の学力を低下させる
・超富裕層はなぜ高価な絵画を求めるのか
・平等な社会は生活の質を別次元の高さへと導く
・労働組合が弱体化すると格差が広がる
・株式会社という制度はこれからも通用するか ほか

感想・レビュー・書評

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  • ●前著の「平等社会」。第一に、所得格差が大きな社会では人々が健康を害しがちである。暴力犯罪が増え、刑務所への収監率が上昇する。不平等は、1部の人たちだけでなく、すべての人に影響する大問題である。
    ●アドラーは不安感こそが人間であることの基本であると考えた。「人間である事は劣等感を覚えることだ」この不安感への対応には2つの方法がある。1つは自信喪失に陥り社交嫌いになること。もう一つはうぬぼれナルシズム。こうした優越意識は、隠れた劣等感に対する防衛反応だとみなした。
    ●私たちは社会的な動物なので、他人への配慮は生きる術である。しかし周囲への思いやりであっても、度が過ぎると、思わぬ副作用をもたらす。
    ●社交不安は友達との付き合いを減らし社会的な孤立を深めていく。健康への直接的な被害だけではなく、寿命を縮めてしまう。友情がいかに健康に素晴らしい恩恵をもたらすのか。
    ●比較的新しい時代の狩猟採集社会では、平等な社会にどっぷりつかっていても、人々は個人的な熟練や知識、能力まで否定されなかった。能力の高い人は尊敬され評価されたが、他人を支配する権力まで与えられなかった。序列的な地位や個人的な価値に応じて、人々が金持ちになったり貧乏になったり、あるいは快適に暮らしたり困窮した生活を送る社会制度は、まだ存在していなかった。
    ●現代社会のように地理的な移動が活発になると、私たちの自己認識は地域社会のアンカーを失い、一時的な気まぐれで激しく振れる。その結果、人と出会うたびに好印象を得たいと言う脅迫に駆られるようになった。
    ●昔の流動性が低い社会では、階級は生まれながらの偶然の産物だとみられていた。だから身分が劣っていても個人的な責任は問われない。現代は個人的な能力や努力が強く反映された結果だとみられる。地位が低いのは個人の怠慢によるものだとみなされてしまう。
    ●財産を失った上流貴族は、次世代になると正真正銘の貧乏人。成金は次世代になると、上流階級の一員として受け入れられた。
    ●プライバシーの領域が広がるにつれて、他人がその隠された部分を知ったらどう思うかと言う潜在的な不安が増大している。
    ●支配行動システムDBS。従属と支配。敵対的と友好的に分類する。
    ●子供に広がる自傷行為。幼少期の虐待や育児放棄の経験が一定の役割を果たしている事は言うまでもないか、最近の広がりは、私たちの社会で何かが変化し、問題をさらに悪化させていることを示唆している。
    ●ストレスを感じ難くなるには、所得より社会階層の方が影響が強い。
    ●裏付けのある自尊心と裏付けのない自尊心。格差の大きいアメリカ等は度を越した自尊心としての自己愛がひどい。また、格差でサイコパス的経営者が評価される。出会った当初は、全身からにじみ出る自信によってとても有能な指導者のように思える。しかし時間が経つにつれて支持は下降をたどる。
    ●自分が他人より価値があるとは、優越的才能によるものだと単純に信じている人々がいる。彼らこそが社会に甚大な損害をもたらしている。
    ●国民全体の所得の平準化が進む中で、デンマーク人は広告の影響受けにくく、派手な車やそれ以外の高級品にはあまり関心を示さない。
    ●雄の体格の方が大きいという事は、一夫多妻や階級社会だった可能性が高い。
    ●私たちは「実力主義」の中で生きており、能力が階層を決めていると言う思い込みがある。最新の研究によると、第一に予想不可能な影響の結果、つまり偶然によると言うこと。第二に、幸運を別にすれば、能力が地位を決めるのではなく、社会的な地位が能力や興味、才能を決めると言う方が真実に近い。
    ●経済成長を続ける事に合理的な意味はあるのか?寿命の伸びも頭打ちになる。気候変動と温暖化。福利と経済成長が連動しなくなったことである。
    ●私たちが無駄な消費をするのは、社会的地位への不安があるから。だから格差を是正すれば無駄な消費がなくなるはずだ。、

    • 本ぶらさん
      こんにちは。はじめまして。
      この本って、イマイチ何について書かれている本なのかわからなかったんですけど、なるほど!すごく参考になりました。
      ...
      こんにちは。はじめまして。
      この本って、イマイチ何について書かれている本なのかわからなかったんですけど、なるほど!すごく参考になりました。
      ありがとうございます。

      個人的には、「デンマーク人は広告の影響受けにくく、派手な車やそれ以外の高級品にはあまり関心を示さない」というところに、すごく興味を感じたんですけど。
      その理由(デンマークの人が広告の影響を受けにくくて、高級品に関心をあまり示さないわけ)って、この本に書いてあるんですか?
      2021/11/13
  • ■英国人経済学者と英国人疫学者の共著による、429ページもある分厚い書籍。だが、人類学や格差問題に興味がある人にとっては読み応え充分。名著だと思う。
    ■結論は格差が少ない社会は比較という呪縛から逃れることができ、より多くの幸福を実現できる可能性が高いということ。それを様々な形で検証している。

  •  格差が拡大すると,周りからの社会的評価が気になり,社会との接触をなくしたり,心の病に罹ったりする傾向がある。それはどの階層にも作用するが,所得階層が低い方がその傾向が強くなる。もしくは,他との違いを出そうとして,自己誇示をする傾向や自己愛が強くなる傾向がでる。そうした内容が,数多くの先行研究や報告書を参照しつつ,述べられていた。500以上の参考文献には驚いた。

     人間社会は狩猟社会だったときは平等社会で,農耕社会になってから格差が生じたらしい。エピジェネティクスの観点から,人間は平等性の志向と差をつけたがる志向の両方があり,どちらに傾くかは環境によるとの指摘が興味深かった。不平等を縮小していけば,心の病等の健康問題がどこまで解決するのかが気になる。

     あと,狩猟社会に関する文化人類学の研究を調べたいと思った。

  • 階層社会でないと、年齢を重ねるごとに血圧があがることはない(ストレス要因だから)
    うつ病にも社会格差があり、最貧困層が一番多い
    うつ病や不安症の反対が自己愛、強すぎると共感を欠きリスク性向が高まる
    不平等な社会ほど子供のいじめが一般的になり、女性は男らしい顔を好む
    不平等が経済成長を助長させることはない
    貧困は精神的なストレスを通じて子供の理解能力に悪影響を及ぼす

  • 格差は心を壊す 比較という呪縛
     プロローグ 格差の大きな国で起こること
       不平等が私たちの心を蝕む
       300を超える学術論文の成果
      不平等は、万人に影響する大問題
       所得格差が広がるとストレス格差も大きくなる
      世界と地球のために不平等をなくそう

     第1章 格差は私たちを不安にさせる
      アドラー教授の教え 人間は劣等感の動物
       他人への配慮も度を越すと危険
       社会的評価による精神的ストレス
      米国人の80%以上が臆病に悩んでいる
       社会不安障害に苦しむ人々
      心の病はなぜこんなに広がっているのか
       時を経るごとに深刻化している
       物質的には豊かなのに、精神的には不安
       他人との比較がますます気になる
      ヘビや毒グモよりパーティが苦手
       人前に出ることの恐怖
       なぜ来客の前に掃除をするのか
       私たちの"不都合な真実"
      友情の価値は年間約1200万円
       友情は健康の"ビタミンF”
       人類は根っからの社会的動物
      社会的地位が私たちの優劣を示す基準に
      かつて人間社会の規範は「平等」だった
      社会階層による分断は深まり続ける
       プライバシーの享受で分断が深まる
      地域共同体がなくなり、人目が気になる
      社会的地位は信用できる基準なのか
      地位格差の根底にある所得格差
       権力はなぜ重要なのか
       再び"顕示的消費"の時代へ
      環境に配慮した平等社会を構想する
       次章以降の構成について
       偽りの幸福の源泉 物質主義を改める

     第1部 格差はこうして私たちの心を蝕む
     第2章 格差は私たちの自信を打ち砕く
       不平等な社会の不安の伝染
       社会的評価の脅威でストレス・ホルモンが高まる
      100万人の英国の生徒が病んでいる
       ちょっとしたことでも病気とする風潮が問題?
       結局どちらの言い分が正しいのか
      国民全体の心の病をどう調べるか
      心の病は貧しい人だけに限らない
       2番目に裕福な人もうつ病と無縁ではない
      自分の身分や地位をわきまえる能力
       いつ支配者となり、いつ従属者となるべきか
       支配行動システム(DBS)は計測できる
      支配と従属は心の病とどう関係するか
       公共支出の問題ではない
       自発的な従属や服従によりうつ病に
       支配動機の強い人と不安症
       競争での敗北や仲間外れからのうつ病
       子供に広がる自傷行為 自尊心の驚くべき低下
       社会や文化が内包する危険性
      序列が高くなるとストレスが減っていく
       ハーバード大学での調査で分かったこと
       大人も子供も序列が問題だ
      所得不平等の拡大でうつ病も広がる
       不平等な国の人ほど「外部要因思考」が強まる
       不平等の拡大で思いやりがなくなる
       不平等の拡大で社会的な団結も低下する

     第3章 格差で私たちは誇大妄想狂になる
      実態より自分を良く見せようとする人々
      格差で自己誇示バイアスが左右される
       個人主義vs集団主義で説明できるのか
      裏付けのある自尊心と裏付けのない自尊心
       格差は防衛的な自尊心を高める
      度を越した自尊心としての自己愛
       自己愛の水準を計測する尺度
      米国で急増した過剰な自己愛
       大義のための闘いから、自分が一番の闘いへ
       私たちはなぜそこまで自己愛を強めるのか
       うつ病か、自己愛か
      ゼロサムゲームとしての美容整形
       マッチョでなければならない
       美容整形に見る心の病
      自分は特別と思って何が悪いのか
      格差でサイコパス的経営者が評価される
       関係者に壊滅的なダメージを与える
       個人だけでなく企業も精神病質的になる
       不平等が広がる世界で企業社会をどう変えるか
      金持ちの特権意識と非道徳性の調査
       階層の低い人ほど順社会的で道徳的
       上流階級の自己愛を低下させる方法
       格差が金持ちの身勝手な行動を促す
      自己愛の最も顕著な人物 トランプ大統領
      共感を失えば「人は物になる」
       失われつつある共感
       温情主義が不平等を正当化する
       平等な国ほど人助けに熱心
       共感を取り戻そう

     第4章 格差は私たちを中毒に追いやる
      中毒は社会的な問題である
       市場経済が生み出した精神的苦痛と中毒
      自分から逃避して対面を取り繕う不幸
       ベトナム戦争の兵士はなぜヘロインを使ったか
      勇気を得るための、出かける前の一杯
      不安が高じて、甘いものが欲しくなる
       格差とアルコールの関連はまだ分かっていない
       ギャンブル、テレビゲーム、カップケーキの中毒症状
       なぜ格差とタバコの関連は見られないか
      社会的地位のための買い物中毒
       最新の流行品を買えないのは落伍者
      お金の使い方でその人が分かる
       社会階層の指標としての「お金の使い方」
       他人は自分の持ち物しか見ていない
      不相応な出費を促す極限の資本主義
       何のためにリゾート地に行くのか
      格差が広がると広告費も増加
      英国の子供の権利は最下位
       物質主義に染まる子供たち
       物質主義は社会病である
      物よりも人間関係が大事 ほどほどが一番

     第2部 社会階級にまつわる神話を壊そう
     第5章 人は根っから利己的にできているという誤解
       ありのままの姿をさらすことの恥
       人はなぜきまり悪さを感じるのか
       私たちは、鏡に映った自分を見る
      社会生活を生き抜くために脳は進化した
       贈り物は友好関係の象徴として重要である
       物質的な関係と社会関係はつねに連動している
      人類が生きてきた3つの社会構造
       人類出現以前の順位制の暮らし
       平等主義的だった狩猟採集社会
       尊大で利己的な権力者はみんなが嫌った
       順位制から平等社会に移行した2つの理由
       農業が発達して不平等が加速した
      過去の社会構造が遺した心理的な遺産
       目上の者だけでなく、全員とうまくやる
       利己的と言われるが、実は分かち合いを好む
       素行の悪い人間を懲らしめるために犠牲も受け入れる
      不平等な社会ほど子供のいじめが激しい
       不平等な国の女性は男っぽい顔を好む
       地位の低い人ほどフィブリノーゲンが増加する理由
      私たちの深層心理にある親社会的価値観
       宗教的イデオロギーよりも古いもの
       利他的な人の存続は社会環境が決める
      人は社会に適応するようプログラムされている
       エピジェネティクス 環境が遺伝子の発現に影響する
       どんな社会で育つかが発育に影響する
       社会から引き離されて、家族ごとの影響が出る
      地位が上か下かで、遺伝子の発現に違いが出る
      貧困の本質は物質的貧しさにあらず
       「人より劣っていることが一目で分かる」のが問題
       恥の内向化と自己効力感の低下
      生き残るための、序列への過剰なこだわり
       一目見て、相手のことを見極める能力
       私たちは序列の近い人と自分を比較する
       平等主義もまた、他人からの評価が気になることの淵源
       親社会的な価値観の根っこにあるもの
      なぜ人類だけが後天的な生活様式を発展させたのか
      私たちは親社会的でもあり、反社会的でもある
      どちらが強く出るかは、社会のあり方による
       それでも完全に平等な社会は存在しない

     第6章 生まれつきの能力差が格差を生むという誤解
       不平等があるからこそ、人は負けまいと努力する?
      能力の差が階層を決めるという誤った思い込み
       最新の研究成果 幸運と社会的地位が能力を決める
       偶然で決まるなら、科学的な研究など不要か
      私たちの知性の違いは遺伝子で決まっている?
      それならなぜ20世紀にIQが上昇したのか
       理解力は教育で高めることができる
      遺伝子説vs環境説 どちらが正しいか
       双子の研究から導かれた、遺伝子重視説
       その後の選択と環境で大きな差が出る
       早生まれの子が活躍する可能性が高い理由
       素質より練習がものをいう 比較優位の原理が働く
      脳はかなり適応性に富んでいる
       私たちはどんな分野の専門家にもなれる
      家庭環境で子供の能力が決まる
       3歳の子供の理解能力を決めるのは、家庭の所得
       恵まれた家庭とそうでない家庭の子供の成績比較
      ピグマリオン効果 教師による無意識の差別
       各教師が抱えうる問題ではない
      パフォーマンスを低下させる固定観念の呪縛
       数百の研究が示す固定観念の悪影響
       選択して天才教育を施すことの根本的誤解
      格差は社会全体の学力を低下させる
       平等な国ほど15歳の読み書き能力が高くなる
       平等な国の子供ほど逆境を克服しうる
       不平等な国ではいじめが多く、高校中退率が高い
      格差の大きな国の子供は、機会均等から遠くなる
      不平等の悪影響はどのように家庭に浸透するのか
       恵まれない子供のリスク要因
       上から2番目の階層の親も、劣等感を覚えている
      教育政策だけでは学力問題を解決できない
       絶対的、相対的貧困率とも再拡大している
       成功例としてのフィンランド、失敗例としてのスウェーデン
      世代を越える負の悪循環を絶つために

     第7章 上流の文化はすべて一流であるという誤解
      ヴェルサイユ宮殿のひどいエチケット
       互いを観察することから「分別」が生まれた
       中産階級と一線を画すための不断の努力
       本能と欲望を上手に隠すことで違いを強調
       衛生上の本当の進化をもたらしたのは都市化
      いつか自分の出自がばれることの恐怖
       お作法のガイドブックがたくさん出版される理由
       不適切な振る舞いは社会的な命取りという警告
       平等主義者も自分の評価をわざわざ下げることはしない
       平等化で、新しい流行は下層から上層へと向かった
      80年代からの格差の拡大で社会階層に再注目が集まる
       異なる階層のパートナーとの結婚比率の低下
       35万人の子供のデータが示す、地位競争の激化
       既得権の損失? 死亡率が上昇する白人系米国人
      超富裕層はなぜ高価な絵画を求めるのか
       エリートの美的感覚は本当に客観的で優れているのか
       階層の目印としてのクラシック音楽のお寒い状況
       階級的な制約を打ち破ることはできるのか
       平等な国では、博物館や美術館の人気が高い
      資産や階級に依らずに人を見ることは難しい
       付き合っている人を見れば、その人のことが分かる
       階級を越えた人付き合いをうまくやるコツ
       私たちは劣等なグループの苦難には無関心でいられる
       不平等の旗じるしの下、非人道的行為がまかり通る
      何でも個人のせいにする悪しき偏見
       彼らが貧しいのは怠け者で愚か者だからである
      遺伝子、環境、選択の機会 どれが個人差を説明するか
       国際的なゲノム研究で分かったこと
       皮膚の色は数少ない例外
       大量虐殺を引き起こしうる誤った考え
      階級制度と闘うことで、さらなる躍進を遂げられる

     第3部 新しい社会の創出に取り組もう
     第8章 なぜ格差と環境問題の解消を同時に考えるの
      経済成長を続けることの合理的意味はあるか
       先進国では、経済成長の恩恵は減少している
       経済成長(GDP)と経済福利(GPI)は連動しない
       現代を生きる私たちの使命は、経済成長なき福利の向上
      経済成長の環境的な限界は明らかだ
       気候変動による死者推計25万人増
       限界に近づく温暖化、後退する政治対応
      時代の流れは平等主義に向かっている
       5つのポイントとは
       相互依存や協調主義への回帰が必要になる
       時代遅れの社会的枠組みにしがみつく必要はない
      消費主義を抑えるために格差を是正する
       私たちが消費するのは、社会的地位への不安があるから
       銃乱射事件が物語る「俺たちを無視するな」という怒り
      平等な社会は生活の質を高次元のものへと導く
       人々の私利私欲が高まりすぎて、どうにもならなかった問題

     第9章 人類と地球のために、生産活動を見直そう
       格差の拡大に問題はない、という声はおそらく消えない
      所得格差が私たちにもたらす5つの被害
       1 社会的な格差問題を悪化させる
       2 社会的な融合を阻害する
       3 社会的な団結を損なう
       4 地位への不安を高める
       5 消費主義や自己顕示的な消費を増大させる
      格差はどのくらい是正しなくてはならないか
      労働組合が弱体化すると格差も広がる
       資産や所得は、社会の価値観により分配されてきた
       最高税率引き下げで、富裕層のインセンティブが変わった
       大事なのは、市場原理でなく政治の意志
      生産システムの発達が抜本的な改革を促す
       新しいポスト資本主義はまだ遠い
       不平等の改善を根付かせるための経済民主主義
      欲張りなCEOへの抑止力をシステムに埋め込む
       CEOの高額報酬はまったく正当化されない
       私利私欲を抑える仕組みを作ろう
       ドイツの従業員経営参加制度のいいところ
      企業組織を民主化してコミュニティ感覚を取り戻す
       民主的な企業では生産性が高まり不平等も改善する
       取締役会にコミュニティや消費者の代表を迎え入れる
      株式会社という制度はこれからも通用するか
       「働かされている感」を減らすための組織の民主化
       英国労働組合会議のレポート
       大企業の行動は反社会的に
      経済を民主化して、大胆な改革を
       税引き前所得の格差を減らし、再分配を行う
       経済の民主化こそ持続可能な未来への道
       ”民主的企業”のためのロゴとサイトを作ろう
       取締役会の過半数を従業員代表に
       「民主的企業を育成するための総合対策」を作ろう
       元に戻ろうとする力に負けてはいけない
      平等は社会における人間関係の基本である
       優劣ではなく友愛が支配的な社会が好ましい
      私たち全員が幸せになれる社会への移行を
       不平等をなくし、ストレスも分断もなくそう
       生産性を上昇させ、余暇を拡大して労働時間を減らそう
       民主的な組織を作り、労働の疎外感をなくそう
       無駄な消費をやめ、身体的、精神的な健康を回復させよう
       新自由主義の一人勝ちから抜け出し、新しい社会を創造しよう
    Allen Lane「The Inner Level: How More Equal Societies Reduce Stress, Restore Sanity and Improve Everyone's Well-being」 2018年6月

  • 格差はない方がいいよねーっていう本。
    今ある格差という状態以上に、それ以降の経済発展にも影響が大きいということがよくわかる。

    国ごとに悩みの種はあるもんですね

  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://kinoden.kinokuniya.co.jp/tit.library/bookdetail/p/KP00030755

  • 東洋経済202151掲載

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著者プロフィール

リチャード ウィルキンソン
ノッティンガム大学メディカルスクール名誉教授
経済学者、公衆衛生学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済史を学び、後に疫学を学ぶ。ノッティンガム大学メディカルスクール名誉教授、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授。著者に『格差社会の衝撃』『寿命を決める社会のオキテ』など。ケイト・ピケットとの共著『平等社会』は『ニュー・ステイツマン』誌の「この10年に読むべき本トップ10」に選出され、20を超える言語に翻訳された。

「2020年 『格差は心を壊す 比較という呪縛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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