- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492314395
作品紹介・あらすじ
イギリス公共放送BBCが年に1人、当代最高の識者を招聘し
オンエアする「リースレクチャー」を書籍化。
いま最もすぐれた知性と目されるハーバード大歴史学教授が示す
「先進国の未来像」。
なぜ豊かな国が貧困へと逆戻りするのか?
アダム・スミスの『国富論』やダグラス・ノースの制度論からひらめきを得て、
本書は書かれた。バーナード・マンデヴィル、エドマンド・バークから、
ジャレド・ダイアモンド、ポール・クルーグマン、ナシーム・タレブに至るまで、
新旧の知識人たちの主張を自在に参照しながら、「西洋の衰退」の本質に迫る。
感想・レビュー・書評
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ダニエル・ヤーギンの「市場対国家」と、ジョセフ・ナイの「なぜ政府は信用されないのか」を、本書と併読されるのをお勧めする。
近代自由主義的や、それに基づく民主的手続を自明の事とする人には、受け入れがたい内容かもしれないが、それらが所詮「発展途上」であることを知る事によって得られる視界には、「未来の焼野原」だけではなく、「豊穣たる未来」も、見えるかもしれない。
そんな、想像力をかきたてる一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても読みづらい上に内容が全く頭に入ってこない。
翻訳が悪いのか、原書が悪いのか・・・ -
☆とても重要な本のように思われる。
☆制度が問題(規制緩和よりも、複雑すぎる規制の影響が大)。
法律家による支配から、市民の手による改革
歴史が教えてくれる「未知の既知」:ほとんどの人が見向きもしない洞察
(影響を受けた本)
ダクラス・ノース 最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になずべきことは何か? 県立 8F社会科学312.4コ
ポール・コリアー 収奪の星 県立 市立334コ 大学334.7C84
エルナンド・デ・ソト 資本の謎
アセモグル、ロビンソン 『国家はなぜ衰退するのか』 県立 8F332ア 市立332ア -
アダムスミスの「定常状態」とは、まさに、今の日本だ。なぜ、そうなったのか。法と制度が衰退し、エリートによるレントシーキングが、経済と政治のプロセスを支配するときとのこと。
覇気の無い国民の姿を読んでいると、国だけではなく、会社もその影響に囚われていそうだ。 -
中国など”国家資本主義”国が台頭してきている一方で、欧米など”経済自由主義”国の成長が停滞しているのはなんでなんだっけ?をテーマにした本。民主主義・資本主義(金融規制)・法の支配・市民社会の4つの観点における負の側面から紐解いていきます。
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西洋社会の停滞状況をもたらす要因を「民主主義(による合意形成の機能不全)」、「金融規制の脆弱化」、「(法の支配ではなく)法律家による支配」、「市民社会と非市民社会」という4つの観点から分析している。
国家の役割や、その民間企業や市民社会とのか関わり方が誤って定義づけられていくことにより、社会の停滞が生まれているということを、全体としては主張しているように感じた。
国家が規制をするべきところで規制を行わず、逆に市民の活力を発揮させるべきところで不必要な介入を行っている状況が、西洋社会の中では見受けられている。
このような制度的衰退にメスを入れるためには、単純な自由主義論も、規制強化論も、また技術的楽観主義論も、有効ではない。
4つのテーマそれぞれについて筆者の考える対応策は書かれているが、それだけでなく、何が制度の行き詰まりを生んでいるのかを冷静に見極めながらその対処法を考えていくべきという筆者のスタンスに対して、非常に共感できた。 -
著者は経済史学者。西洋の衰退を政治、経済、法律、社会の視点から考察したもの。西洋社会に成功を齎した諸制度が、それぞれ異なる問題に直面し、危機に瀕しているとする。
bbcの講義を書籍化したものであるため、内容はまあそこまで深いツッコミはない。
政治面では、公的債務危機が、世代間格差を広めるものとする。
経済面では、財政危機を回避するための複座な規制が、市場経済へ過度に干渉しているとする。
法律の面では、法の支配が法律家の支配になり変わってきているとする。
社会の面では、教育に代表される市民社会への過度な干渉が、市民の自発的な活動を妨げているとする。また、著者はこれらの問題の解決策として、自身が経験した海岸清掃ボランティアを引き合いに出し、成熟した市民社会を解決策として提示している。
日本社会では寄付に代表される市民参画の文化が定着しているとは言い難いと自分は考えているので、この解決策は日本社会に馴染むかどうかは難しいのではないかと感じたところ。とはいえ、抜本的な解決策はこれが一番いいんだよなぁ、とも思うので、難しいところ。 -
なぜ西洋がアダムスミスの言う定常状態に陥ったのか、民主主義、資本主義、法の支配、市民社会の4点を主とする法と制度に焦点を当てて解き明かす。
まず民主主義だが、そもそも西洋が他を大きくしのいだ大いなる分岐の理由が法の支配等によるアクセス開放型体制によるものだったとする。今生じている問題点として、未来世代に債務を押し付けていて、さらに財政の壁への不安が不景気脱出のブレーキになっているとする。
資本主義については、金融規制緩和が今の停滞の原因ではなく、まずい規制に問題があるとする。
法の支配については、私的所有権を尊重するような方法で強制力を発揮するよう国家を制約することができるかどうかが重要だとする。
市民社会については、米で様々なコミュニティーへの関わりが減少していることを示し、国家への依存を減らし民間主導の取り組みを増やすことは様々な恩恵をもたらすとする。 -
直観的だが、以下の2点の感想をもった。第1に、筆者の見方は名誉革命以降の英国モデルを理想とし、それが複雑化・不純化していくことにより国家が“劣化”していくという単純明快なものだった。ところが、英国モデルがうまく機能していた産業革命を例にとると、制度という外生的要因と市場という内生的要因が複雑に入り組んで起こったことも考えられるのではないか。第2に、国家の役割を「肥大化した」と捉え、その縮小を訴える論者はしばしば「市場に委ねる」ことを主張するが、筆者はNPOなど非市場的な団体の役割を重視しており、興味深く感じられた。本書はタイトルのインパクトが強く期待が大きかっただけに、内容はやや物足りなく感じてしまった。しかしながら、制度派の基本的な考え方を手軽に知ることができる、良い一冊だった。
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やや難解