18歳からの格差論

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492223710

作品紹介・あらすじ

日本の格差の有り様と原因に独自の角度から光を当て、「必要原理」にもとづく大胆な財政戦略を提唱する井手英策教授が、若い人たちのためにデータを駆使して訴えるまったく新しい啓蒙書。

【主な内容】
1「格差是正」に心が動かない僕たち
■格差を是正したいですか?
■税への抵抗が強い社会は、誰かのための負担をきらう「つめたい社会」
■貧困にあえぐ人びとを「見て見ぬふりする社会」を僕たちは生きている
■格差社会を作り出したのは誰?

2日本人の不安の根っこにせまる
「3つの罠」、そして「分断社会

■社会全体を覆っている「弱者へのつめたいまなざし」
■中間層が貧しくなり、弱者へのやさしさが失われた
■「自己責任社会」では、「成長の行きづまり」が「生活の行きづまり」になる
■お年寄りの利益が優先されるという「罠」――深刻な世代間対立が生まれている
■中間層が弱者を批判し、人びとが政府をののしり、お年寄りと若者が鋭く対立する

3分断社会・日本「失われた20年」、何がいけなかったのか?

■分断社会・日本
■池田勇人首相の思想――自分で働き、自分の足で立つことこそが重要
■小さな政府、貧弱な社会サービスこそ、高い貯蓄率を生んだ大きな原因
■低成長時代にえらばれた「勤労国家」が社会経済の変動に対応できなくなった
■規制緩和、グローバル化、人件費削減が加速
■賃金が下がりつづけ、デフレ経済に突入――家計貯蓄率もほぼゼロに
■勤労国家が破たん、生活のよりどころが見いだせない社会に

4中高所得層も納得して格差是正ができる「必要の政治」とは?

■「救いの手」は救済であると同時に、確実に、そして深く、人間を傷つける
■人間を信じられず、成長できない社会を望みますか?
■発想の大転換、思い切って中高所得層も受益者にする
■「必要の政治」によって格差是正を結果に変える
■理屈で説明のできない理不尽さとは、僕たちは闘わなければならない

5人間の違いではなく、人間の共通性に想いをはせてみませんか?

■「必要の政治」は「お金なんかで
人間を評価しない」という哲学
■「必要の政治」とは、受益感を高めながら租税抵抗を緩和するという戦略
■「バラマキだ!」と批判し思考を停止させる、そんな政治を終わらせる
■財政再建の理屈が優先され、増税の意味を知る貴重なチャンスを逃す
■分断線を消す、そして、自分の生き方を自分で決められる社会へ

感想・レビュー・書評

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  •  イラストとわかりやすい文章で書かれているので、格差について知るための入門書にも最適。鬱々とした気持ちを抱える中間層が、なぜこんなに生活が苦しいのかを知るためにも役立つ。自己責任って知らず知らずのうちに使っているが、改めて嫌な言葉だと感じた。
     弱者を助けるのではなく、全員で負担し、全員がサービスを受けるとは、例えばどういうことなんだろう。具体的なイメージが湧かない。犯人探し・責任追求の政治は、国はもちろん、もっと小さい企業や地域、家庭単位でもダメだよなぁ。

  • 18歳からのとあるようにイラストが織り交ぜられていて容易に理解できる。このテーマに興味があるのならば、18歳未満の高校生にも勧められる。
    作者も書いてあるがこの意見の賛否は分かれるだろう。
    私としては賛成だ。
    ただこの国で税金を上げるのに抵抗があるのは、負担率が他国より低いということへの無知のほかに、政治に対する信頼の無さがあると思う。そのため、本書でも語られる分断を煽る政治の罪は大きい。

  • 「必要の政治」とは,受益感を高めながら租税抵抗を緩和するという戦略である。サービスを分厚くするために負担から逃げない。みんなの利益を守るために中間層と貧しい人たちがサービスの安易な引き下げに手を取り合って抵抗する,そんな政治。

  • 読みやすく、わかりやすい、経済的側面からの格差論。

    私たちの間に引かれている「分断線」。
    私たちの見方に影響を与える3つの罠。

    「救いの手」が人を傷つけるという側面。

    「政治」からの解決策の提案。

    経済とか、政治とかが苦手な私にとって、問題の概要をつかむのに適切な一冊でした。井手さんの他の本も読みたくなりました。

  • 下記のリンクでご利用ください。
    学外から利用する場合は「マイライブラリ」もしくはリモートアクセスサービス「RemoteXs(リモートエックス)」をご利用ください。
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000044846

  • 助け合いは、多くの場合、人間に共通の必要を満たすために生まれました
    税への抵抗が強い社会は、誰かのために負担を嫌う冷たい社会
    貧困に喘ぐ人々を見て、見ぬふりをする社会を僕達は生きている
    すごいのては9再生あると同時に、カーブドッチに、そして深く人間を傷つける
    同情とは、愛する人を張りつける。十字架である。哲学者、ニーチェの言葉
    僕たちは、連帯や団結を強いることはできません。なぜなら、人間は人間の心を支配することはできないからです。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745183

  • 資本主義に行き詰まりを感じていて、かといって共産は違うしなぁと思っている私にとってはとても納得のいく本だった。

    実現には、現在の政治に対する不信感があって難しそうだし、悪い意味での島国根性も邪魔しそうな気もするけれど。

    近頃やけに、強盗事件が多くなってきている気がして。本当に生活が立ち行かない人たちが増えているんだと思う。
    最低限の生活の基盤がしっかりしていたならば、犯さなくてもよい罪もあったのではないだろうかと思っている。

    本気で考えていかなければいけない時期なんじゃないかなぁ。
    その考え方のひとつとして良いと思う。

  • <感想>
    18歳どころか、成人も過ぎているのだがそんな自分でも、というかどの世代にも必要な一冊だと感じた。いままでの日本がどうあってきて、それがいまの日本にはどうして合わないか、そしていまを生きる私たちに何が足りないかをわかりやすく教えてくれている。

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2022年 『財政社会学とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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