日本婚活思想史序説: 戦後日本の「幸せになりたい」

著者 :
  • 東洋経済新報社
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本棚登録 : 111
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492223680

作品紹介・あらすじ

いい結婚って何? 
結婚ってしなきゃいけないの?
働きたくないから専業主婦はアリ?
自分にあった生き方&パートナーはどうやって見つける?

婚活論とは人生論であり、仕事論であり、
またこの少子化日本においては国家論ですらある。

東大先端研の政治学者が全力で平成・昭和の婚活を研究した渾身の一冊!

感想・レビュー・書評

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  • 専門が日本政治外交史である著者らしく,「婚活」に関する歴史的な変遷を追っています。「婚活」に関する歴史的な変遷といっても,具体的な個人の結婚活動ではありません。タイトルの通り,「恋愛」,「結婚」というものがどのように捉えられていたのかという思想の変遷のことです。
    
    本書を簡単に要約してみます。
    
    現在主流の婚活はマーケティング婚活で,その萌芽は1970代に見られた(ここでパンダを挙げて考えるのは政治外交史が専門の著者らしさが出ているように思いました)。その後1980年代に入り『結婚潮流』が発刊されて以降,婚活0.0とも呼べる本格的な結婚活動が生まれてくる(もちろん当時は結婚活動とは呼ばれていない)。しかし,80年代後半に『結婚潮流』が廃刊されて以降,婚活は一時衰退。2000年代に入り,マーケティング婚活(婚活市場でマーケティングを行う婚活)が台頭し,それに少し遅れて「婚活」という言葉が誕生する。「人口管理」に対する心理的抵抗感から,「結婚」「出産」に国家が介入することはなかったものの,近年は少子化が「国難」となったために,「婚活」に国家が介入してきた。ただし,個人の求める「結婚」の在り方と国家の求める「結婚」の在り方には齟齬がある。「結婚」という私的な領域が国家という公的な領域との新たな接点になっていることを認識しておくことは市民にとって損はないことであるし,「近い未来」をどう形作っていくかを考えることが婚活論の鍵になるであろう。
    
    ちなみに,著者は筋金入りの「婚活好き」らしく,高校生の頃にはすでに婚活情報を収集していたようです。第5章はまさに著者の趣味の話であり,圧巻でした。
    
    著者の基本的なスタンスには共鳴するものの,マーケティング婚活を基本的に肯定している点は同意できませんでした。というのは,「条件を設定し身の丈に合わせた相手を選ぶ」ことが常態化してしまうと,発達可能性が閉じてしまうと考えるためです。詳しくはブログで書きたいと思います(プロフィールにリンク有)。

  • 時代によって憧れる女性像が変わっていくし、潜在的に感じていた欠乏を言葉して体現している女性に憧れを抱いていくんだと感じた。面白かった。
    結婚はゴールではなくスタート。時代と共に男性に対する評価も、そのための行動も、女性はどんどん変わっていく。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50161512

  • 結婚についての世の中の考え方の変遷が学べてよかった。本人たち、親たち、世間や国家での論点も述べられており、種々の考え方を学べました。今後の妻との関係を考えたり、子どもたちが選ぶ人生に接するときに役に立つと思います。

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著者プロフィール

佐藤信(さとう・まこと):1952年生まれ。東京大学名誉教授。横浜市歴史博物館館長、くまもと文学・歴史館館長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。著書『日本古代の宮都と木簡』『列島の古代』(以上、吉川弘文館)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史1 古代』(山川出版社)、『古代史講義』『世界遺産の日本史』(以上、ちくま新書)など。

「2023年 『古代史講義【海外交流篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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