論理の方法: 社会科学のためのモデル

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222300

感想・レビュー・書評

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  •  故小室博士の著作の多くは「~原論」というタイトルのものがいくつかあるが、本書はいわば「社会科学原論」と言えるだろう。小室博士の思想のベースとなった社会科学モデルとして、古典派経済学モデル、ケインズ経済学モデル、マクスウェーバーの宗教と資本主義精神モデル、丸山真男の日本政治モデル、平泉澄の日本歴史モデルが紹介されている。
     社会科学分野では、自然科学のように実験で理論を検証することは容易ではないが、小室氏は抽象化したモデルを考案し、現実の事象を理解するための補助線として利用することを推奨している。小室博士は一般向けの啓蒙書も多数執筆しているが、その多くは上記のモデルから導き出したものであり、ソビエトの崩壊等、現実の出来事を事前に予見した事例もある。
     小室氏の著作にすでに氏の著作を多数読んでいる方にとっては復習的な内容かもしれないが、小室氏が価値を認めたモデルを再確認することは現代社会を理解するうえでの手がかりになるだろう。

  •  社会科学的な文脈で学問を扱うとき、それはモデルを必要とする。それは具体的にはどういうことかというと、考察する対象について、本質的なものだけを抽出して他を捨象することである。 経済学・社会学・歴史学のモデルについて例を挙げてわかりやくす解説している。ケインズ・リカード・ヴェーヴァー・丸山などである。こうやってみてみると各モデルには急所というべき重要なポイント前提があるっことがわかる。その本質を見抜くことが天才的にできるものだけが、影響力ある論理を構築できるのである。

  • モデル化は、社会の仕組みを解明する方法のひとつ。 表題にあるとおり、社会の仕組みをザックリと知りたい人のための本。古典経済モデル、ケインズ経済モデル、宗教モデル、日本政治モデル、日本歴史モデルなど、モデルの提唱者とその理論を簡単に紹介しています。著者の独特の語り口で(好き嫌いは分かれるかも)、様々なモデルを紹介していて読み物として面白い。
    専門的に勉強したい人には物足りないかもしれませんが、先人達の考え方を手っ取り早く知りたい人にとっては、この本には要点が簡潔に書かれていて判りやすい。社会科学の知識をある程度理解していればものの見方も変わるし、いろいろ役に立つ場面も多いと思います。

  • 小室直樹の数多い書籍の中でも最高峰の内容かと思います。
    社会モデルの構成を歴史のパラダイムを踏まえて記述している事項の数々は正に圧倒的。ソビエトの崩壊から社会主義の論理を読み解き、さらにケインズ経済学のモデルへと展開、さらに資本主義の起源を考えキリスト教の論理を追求、さらにプロテスタントの存在を考察、日本の論理を追及する上で日本に伝わる仏教や習慣が如何に日本教の中で変革していくのか、明治維新の起源となった山崎闇斎の崎門の学、荻生徂徠を追及・・などモデルに至る論理の追求を紐解いた一書。
    各項一つ一つで十分に一冊の書籍として成り立つ。それら別々の論理の追求を見事に一冊の内容にバランスよく纏められている。

  • 何かを理解や研究するうえで、モデル作成の重要性が実感できます。とは言え、数式以外の言葉でモデルを定義すること(ヴェーバーは理念型と呼んだそうな)は、何がモデルなのか?理解するのが難しそうです

  • やはり小室氏の本はめっぽう面白い。
    こういうのは新書で出してほしいな

  • 37739

  • 小室直樹結構よんだかな?
    だんだんいってることが繰り返しに感じられてきた。
    そして、完全に信じるわけにもいかん気持ちになってきた。
    いい傾向。

  • 論理の方法ってタイトルがちょっとしっくりこないけど、社会科学のモデルとして古典派経済学モデル、ケインズ経済学モデル、ウェーバーの宗教モデルと資本主義の精神、丸山真男の日本政治モデル、平泉澄の国史モデルとを挙げて、これらがどのようなものか概要を説明しながらその論理展開や発想の凄さを教えてくれる。論理の方法としても勉強になるんだろうが、おれみたいな浅学の人間にはこういう学説があるんだという知識として勉強になった。

  • いつ買ったものだろう?おそらくもう10年くらい前か。長らく本棚で眠っていたこちらを何となく手にして読了。
    内容的には「論理の方法」というよりは、「社会科学における"モデル"とは何か」という感じか。
    それにしても、小室直樹先生、確か3年くらい前にお亡くなりになったが、30代の頃ご著書では色々なことを学ばせてもらった。
    『日本人のための経済原論』
    『小室直樹の資本主義原論』
    『日本人のための宗教原論』
    『小室直樹の中国原論』
    『資本主義のための革新』
    『韓国の悲劇』
    『日本の敗因』
    『日本国憲法の問題点』
    『日本人のためのイスラム原論』
    等々…
    改めてご冥福をお祈りします。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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