超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492212479

作品紹介・あらすじ

大前研一氏推薦! “人類発祥の地「アフリカ」がいよいよ来た!”

この本は、現地情報×ファクトフルネスで、30年前の頭を切り替える新感覚ビジネスパーソンの教養書です! たとえば、次のことはすべて、アフリカのファクトフルネスです!

◆ 15分以内に輸血用血液バッグを運ぶドローン
◆ 銀行口座がなくてもキャッシュレス決済
◆ どんな田舎でも受診できるAI医療診断
◆ 東アフリカ主要国の首都を結ぶ高速鉄道
◆ 西アフリカのドバイを造る2000億円プロジェクト

ほかにも、爆発的な人口増加、平均年齢19歳、テック系スタートアップの躍進、キャッシュレス化率90%、新幹線の開通、ショッピングモールの登場など、まだまだ驚きの事実があります。

本書を読めば、アフリカのイメージがきっと一変します。アフリカは、かつて日本や中国、インドが歩んできた道を、加速度をつけて突き進んでいるのです。最先端のテックビジネスが社会実装され、近未来のビジネス地図がまさに今、書き換えられようとしているのです。

感想・レビュー・書評

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  • 中国、インドの次は、、アフリカだ!!!
    アフリカの農村部では、まだまだ低所得者が多いですが、都市部はグイグイ発展しているらしいです。

    固定電話がないので、かわりに携帯電話の普及率も高く、医者も少ないためAI診療が普及したりと、既存の権益やしがらみがないので、急激に発展しているそうです。

    アフリカにドバイを造る!プロジェクトも進んでおり、一度は行ってみたくなりました。

    激アツ!アフリカ!!

    ぜひぜひ読んでみてください

  • 【感想】
    アフリカには貧困や飢餓が蔓延しているのではないだろうか?大統領が国を私物化し、紛争や民族浄化といった政治的動乱が相次いでいるのではないだろうか?国土のほとんどは砂か森で、気温はとても暑く、未だに農作物を主要産品として外貨を稼いでいるのではないだろうか?

    本書は、そうしたアフリカへの偏見を「ファクトフルネス」を使って解消していく書である。

    アフリカが急成長する様子は「Leapfrog」と例えられる。蛙飛びのことだ。これは、新興国が先進国の技術を取り入れることで、通常の段階的な進化を一段飛ばしし、一気に最先端に上り詰めるという意味である。
    わかりやすいのは通信技術だ。中国やアフリカなどでは、電話回線や光ファイバーといった固定回線が整備される前に4G、5G技術が導入されたため、固定電話はないものの、携帯電話普及率は113%もの高さになっている。また銀行口座を開設している人は少ないが、スマホで支払い・送金・出金が可能になるキャリアサービスが登場したため、日本よりもキャッシュレス化が進んでいるという。このような例がアフリカ式「Leapfrog」の特徴であり、他にも電子カルテやドローン技術など、既存インフラによる「型」が定まっていないがゆえ、特定の分野でイノベーションが超加速している。
    その多くは中国のインフラ投資を受けての成長だ。もはや右を向いても左を向いても中国、と言わんばかりに中国製品や中国主導のプロジェクトが進行しているのがアフリカなのだ。

    そして、筆者はこの現象を「日本がすでに通ってきた道」と位置づけ、「日本は自国で起こったことを復習し、アフリカでビジネスをもっと推し進めていくべきだ」と述べている。
    その理由がとても面白い。なぜなら、アジアでもアフリカでも、世界のどの国であっても、一人当たりGDPの増大と社会的変化が似たパターンを辿るからだ。

    一人当たりGDPが1,000ドルを超すと、中所得者向けの公団住宅を国が整備し始め、都市のインフラづくりが本格化してくる。ショッピングモールの開業が始まり、地方から若者が続々と都市に流入してくる。これが3,000ドルを超すと、今度は外食産業が発達する。バーガーキングやスタバなどの外国のチェーン店が進出するようになり、交通の便が発達することで大型ショッピングモールがオープンしはじめる。そして1万ドルを超えると、消費文化の多様化が起こる。必需品だけでなく贅沢品やファッションにお金を使い始める。海外旅行ブームが起こるのもこのころからだ。中国人観光客がこぞって日本に来たのは、まさにこの1万ドルラインを超えたからだった(実際には都市の住人のほうが早く1万ドルに達するため、これからは地方の人間が日本にやってくるという)。

    そして、これはまさに日本が通ってきた道に他ならない。日本人は1,000ドル、3,000ドル、1万ドルを超えたときに何が起き、何を欲していたかを経験している。ここに日本の「チャンス」があるというわけだ。

    ――どの国でも3,000ドル、都市で1万ドルまでは行ける。そして一足先に3,000ドル、1万ドル、2万ドルをこの50年で体験してきた日本人は、実は、どのタイミングで何が起きるかを、よくわかっているはずなのです。ファッション雑誌を出すのであれば、どのタイミングなのか。1万ドルなら、どんなものが必要とされるのか。そうした経験やノウハウを、もっと活かすべきです。
    ―――――――――――――――――――――――――――
    とかくアフリカは未だ貧乏であり、汚職が酷いと思われがちである。実際に汚職が蔓延している国もあるのだが、昔よりもずっとクリーンになっている。そもそも、国が真っ当に発展すればそれに比例して悪事は少なくなっていくものだ。それに、汚職は政治家や警察組織、資源開発会社といった既得権益者のコミュニティのほうが多い。テック関係の市場は相当に若いため、ゼロからでも十分に立ち上がりやすいとのことだ。
    アフリカの背景やアフリカ全土で進んでいるイノベーションを簡単に紹介する本書。図が多いためイメージが膨らみやすく、内容も専門的になりすぎずにとても分かりやすい。「アフリカへの偏見」を改めるには非常にいい書だと思った。
    ―――――――――――――――――――――――――――

    【まとめ】
    1 アフリカ・ファクトフルネス
    ・アフリカの広さは米国の3倍、日本の80倍。
    ・アフリカ全土の中位年齢は19.7歳という若さ。
    ・2050年には25億人の人口になると予想される。
    ・アフリカのおよそ半分ぐらいの人は、電気のない家に住んでいる。しかし、ソーラー充電方式や店頭での都度充電方式のプリペイドケータイ(中国製)が人気であり、携帯電話普及率は113%。
    ・M-PESAというキャリアアプリを使えば、「送金・決済・預金・ローン」という銀行の機能をすべて利用できる。スマホさえあれば銀行いらず。
    ・アフリカの売上高1000億円企業の数は約400社。産業構造は、第二次産業が少なく第三次産業が拡大している。
    ・アフリカでは飢餓より肥満の方が深刻化。
    ・所得水準や水道普及率など、アフリカの多くの地域は、日本の70年代に近い状態にある。
    ・インフラに関しては、一帯一路構想により中国が圧倒的なシェアを持っている。中国の物価水準とアフリカの物価水準は同じぐらいであり、かつ中国企業は納期を守り、現地で量をこなすので技術力もどんどん上がっている。
    ・中国は2017年時点で約30兆円をアフリカに投資している。これは日本の年間の国内インフラ投資規模と同じ規模。
    ・tiktokなどの動画アプリには、配信で商品を紹介し、そこから買ってもらえたらアフィリエイトが得られるという仕組みがある。世界ではこちらが主流になりつつあり、アフリカでもVskitという動画アプリが人気。
    ・格差は依然として大きい。ケニアの大卒の初任給(月給)は350ドルだが、ブルーワーカ―の日給は3~5ドル。


    2 アフリカの医療テック
    ●Flare
    民間の救急車配車プラットフォーム。アフリカではほとんどの国で公的な救急車サービスの仕組みがないため、病院などが所有している救急車をネットワーク化し、配車プラットフォームを構築している。
    ●LifeBank
    血液専門デリバリーサービス。ナイジェリアの都市部で血液デリバリーを展開。アフリカには公的な血液バンクがないため、複数の小規模血液バンクと病院をつなげ、365日24時間、温度管理をしてバイクでデリバリーをしている。
    ●Helium Health
    電子カルテ。ローカルで販売されている薬やローカルの保険会社と患者をマッチングさせ、200を超える医療機関にデータを提供している。


    3 アフリカでの日本企業の存在感
    今、アフリカに進出している日本企業は約500社、拠点は約800ある。日本人の数は約7500人。昔はもっと人がいたが、1980-1990年にかけての資源価格低迷による低成長が続き、日本企業の多くは撤退していた。
    2000年代に入ると中国の資源爆買、インフラ投資により急成長していく。

    現在は再び日本企業の進出が続いている。メインは自動車。中古車天国のアフリカでは日本車の人気が高いからだ。
    日本からはFOB(本船渡し)ベースで20万円以上の車が28万4000台アフリカに送られている(2015年)。20万円以下を入れると40-50万台。スバルの日本での年間新車販売台数が約13万台(2019年)なので、その2〜3倍は販売されていることになる。
    BE FORWARDという日本車のネット直販会社は、年商約500億円規模になっている。


    4 アフリカへの進出パターン
    ①資源や一次産品などの獲得の場として進出する
    ②将来の有望市場として進出する
    ③生産拠点として進出する
    ④新たなビジネスモデルの発掘と実証の場として進出する

    今アフリカで成功しているビジネスは、先進国とアフリカとの「当たり前」の差を認識し、アフリカならではのニーズに気づき、それを商品化・サービス化しているものだ。日本は自身の経済成長の過程から、1960年〜80年代で起きたこと、そして「当たり前」が段階的に変わっていくことを知っている。その仕組みを再度アフリカで作れれば勝機があるだろう。

  • アフリカ大陸は、人工ボーナスの恩恵を目一杯受け、ビジネスの成長拡大戦略が可能な、最後のフロンティア。日本の高度成長期と同じ生活水準の地域もあれば、レジャーやファッションといった消費活動が当たり前になっている成長地域もある。
    ただし、日本の高度経済成長期と、成長過程が少し異なる場面もあって驚いた。例えば、サバンナやジャングルの原住民が、電気ガス水道の無い環境なのに、全員スマホを所持し電子決済を行っている。この写真はとてもシュール。
    マダコ漁、煮込料理、ヘアファッションに着目して大成功している日本企業の事例紹介も興味深かった。
    ちなみに各章冒頭に出てくる「アフリカのファクトフルネスのクイズ」私は殆ど間違えた。「未開の地」というアフリカへの偏見は捨てるべき。中国やインドを超える勢いで成長する、激アツ地域である。

  • アフリカにおいては口全体と首都などで様相が大きく異なる。
    日本人と同じような生活水準の人々がこれほどまでに増えていることは驚きだった。

    そもそもケニアのシリングと日本円がほぼ同じ(1ケニアシリング=1円)
    というのも驚きだ。

    いかに今までの古い価値観を更新せず生きてきたか。
    やはり現場を知る、行ってみる機会は非常に大切だし、情報もアップデートしていかないといけない。

    井の中の蛙にならないよう意識させられる一冊。

  • 読了してポイントとと感じたこと
    ・「アフリカ」といっても特に発展してる4地域で見ると解像感がグッと変わった
    ・LEAPFLOG(インフラがないからこそ一足飛びに先端技術が浸透すること) が理解できた
    →アフリカ事情(電気来てない、銀行口座持てない)×先端技術による解決が目からウロコ。M-PESA、M-KOPA、保冷剤付き冷蔵庫
    ・日本の発展史と付き合わせると、年収レベルで何を求めるわかる。3000ドル超えると新車・ショッピングモール、1万ドルで海外旅行
    ・中国アメリカインド韓国の存在感。規制がないからドローン飛ばし放題で最先端の社会実験場
    ・アフリカの自然。ケニアは高原、一年中夏の軽井沢。「人類発祥の地」から得られる力は体感してみたい

  • アフリカ版ファクトフルネスの文言に惹かれて購入。アフリカが発展していることは知っていたが、著者の考え方に驚いた。

    特に「現在のアフリカは1970年代の日本と同じ」という考え方だ。そう考えると次のアフリカの動きがわかるし、求められている商品も見えてくる。

    少し思い付いたが、現在のアフリカの銀行の金利が高いと聞いて、下手に日本で資産運用するよりもアフリカの銀行に預けた方が有利だと感じた。


    「アフリカを平均値で考えてはならない」これは金言。貧富の差が激しいので、平均値では本質は見出せない。

    まあまずは、アフリカに行ってみて生の大地を感じたい。アフリカでビジネスができれば、面白いと感じた(規制や既得権益がないから)。

    中国のアフリカでの動きも注視していきたい。

    アフリカに行く前にもう一度読んでおこうと思う。

  • ホームレスでもM-PESAを欲しがるほどキャッシュレス化
    既得権や規制が少ないのでリープフロッグで経済発展
    すでに生活習慣病が課題

    メルカトル図法の世界地図では高緯度の地域が大きく見え、赤道に近いアフリカは相対的に小さく見える。そのため多くの日本人はアフリカの本当の広さを知らないが、比較してみるとよくわかる。

  • アフリカの潜在性、先端技術、巨大開発など今のこれからのアフリカを学べる良本。アフリカの環境とそのニーズから生み出された先端技術は、未来を見ているような錯覚に陥る。アフリカを学びたい人はまず本書を手に取れば間違いない。

  • 自分のアフリカの認識がひたすらアップデートされていくのを感じれて、少し感動しながら読み進めた。ぜひ一度アフリカに行ってこの目で色々見てみたい。
    最も心に残ったのは、レガシーがないからこそ、先進国が作った新しいモデルの実証の場としてアフリカは最良であるという点。
    21世紀はアフリカの世紀やな。

    • ロバートソンさん
      アフリカ経済を学んでいたのですが、技術進歩は先進国のスピードと比較してキャッチアップは比較的に早いと言われてるけど、アフリカから新経済モデル...
      アフリカ経済を学んでいたのですが、技術進歩は先進国のスピードと比較してキャッチアップは比較的に早いと言われてるけど、アフリカから新経済モデルが誕生する事も言及されてるなんてまさにdiscover potential だと感じました。
      2023/04/25
  • キャッシュレス決済、輸血用血液バッグを運ぶドローン、東アフリカ主要国の首都を結ぶ高速鉄道、等々。急速に発展する、アフリカの今を紹介する。

    第1章 アフリカは想像以上に大きくて、若い
    第2章 アフリカはどんどん豊かになっている
    第3章 アフリカはかつて日本が経験した急成長期にある
    第4章 アフリカは先端技術が日本より浸透している
    第5章 アフリカは医療テック市場が世界で最も熱い
    第6章 アフリカは巨大市場になりつつある
    第7章 アフリカは日本企業がもったいない状況にある
    第8章 アフリカは国内格差がまだまだ大きい
    第9章 アフリカは驚くような巨大開発を行っている
    第10章 アフリカは4つの進出パターンで勝負する

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著者プロフィール

椿 進(ツバキ ススム)
AAIC代表パートナー
Asia Africa Investment and Consulting(AAIC)代表パートナーを務めるアジア・アフリカのスペシャリスト。東京大学教養学部卒業。ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナー・マネージングダイレクターとして、事業戦略、M&A戦略、新事業立ち上げ、グローバリゼーション等のプロジェクトを実施。2008年に現AAICを創業し、代表パートナーに就任。中国・東南アジア・インド・中東・アフリカ等の新興国において、新規事業育成、市場参入支援等をコンサルティングと投資を通じて実施。日本初のアフリカ・ファンドも運用。ルワンダでは東京ドーム40個分の広さのマカデミアナッツ農園も手がけている。執筆、講演多数。後進の育成にも力を注ぎ、ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院教授として新興国ビジネス事例研究を教えている。

「2021年 『超加速経済アフリカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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