中国史とつなげて学ぶ 日本全史

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492062180

作品紹介・あらすじ

気候変動、人口動態、経済ネットワーク……アジア史の視点から俯瞰的に捉えた意欲作
気鋭の東洋史家による、教科書で語られない「真実の日本史」。

日本史の見方が大きく変わる!
漢語資料上の日本/「コピー国家」からの脱却/元寇後も続いた〝政冷経熱?/日本を豊かにした「倭寇的状況」/意図せざる幕府の「鎖国」政策/享保の改革は「中国離れ」/江戸中期に固まった「日本人」の定義/帝国「日本」の誕生/中国の近代をつくった梁啓超の慧眼/「一体化」日本と「多元共存」中国の相剋 etc.

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】東洋史の学者が日本史を語る 日本史は中国のコピーから始まった|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20211225_1715567.html?DETAIL

    中国史とつなげて学ぶと日本史の常識が覆る理由 | グローバルアイ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
    https://toyokeizai.net/articles/-/462036

    中国史とつなげて学ぶ 日本全史 | 東洋経済STORE
    https://str.toyokeizai.net/books/9784492062180/

  • 非常に面白い。中国史と相対化されていることで、日本の形成され方、特徴がより立体的に見えてくる。細かい差異にこだわらず、ざくっと大きく時代をくくっているのもいい。歴史の流れに集中して理解できる。

  •  中国や東アジア秩序との関わりの中で見る日本通史。律令制など中国のコピーから始まったが、平安後期あたりからは土着化・土俗化した体制となっていく。特に室町〜江戸時代の記述では、中国との直接の関わりは多くない。
     自分が特に関心を持ったのは、著者の専門でもある近代史だ。「西洋の衝撃」への対処を、元々凝集化していた日本と流動性の高かった中国という観点から比較している。その後、「両属」琉球や「属国自主」朝鮮の扱いをめぐる日清の対立と戦争。朝鮮半島をめぐる勢力争いという意味で、その「延長戦」たる日露戦争。そして、脱亜入欧の日本は西欧にもアジアにも属せずアイデンティティを失ったまま戦争に突入した、という著者の捉え方が興味深い。

  • 以前から日本史を理解するには、中国史との関係を探るのが一番ではと思っていて、この本のタイトルを見た時、これが求めていた本だと思った。
    古代から近世までの中国王朝と日本の関係は想定内だったが、何より今まで脈々と続く、近代日本と中国の関係こそ、この本の真骨頂と言える。
    国民国家になる素性を持っていた島国、日本と、大陸で多くの民族や国家との侵略、交流がらある多元的国家たる中国の関係は今まで思いもよらなかった視点で面白い。

  • マクロな観点で中国と日本を含む周辺との関係性を軸に東アジア史を掴む。近世の江戸幕府の所謂鎖国体制内での通貨政策や、近代において(従来と一線を画した)国のあり方を"模索"する中で生じた他国との衝突など、欧化による近代国家成立と帝国主義膨張を自明とした史観が、必ずしも必然ではなかった可能性があると感じさせられた。

  • 日本が中国から影響を受けているのはそうだよなという感じだったが、近代になって日本が中国に与えた影響もあるというのが興味深かった。国民や憲法という言葉は、西洋から日本経由で中国で広まったらしい。
    日本はもともと為政者と一般ピープルの壁があまりなく、中国は完全に分断されてたから国民国家の目覚めも日本の方がハマりやすかった、というのも納得。面白かった。

  • コンパクトにまとめたが故に、見えてきたものが興味深い。日本列島という地理的条件下にある日本人たちの学習の軌跡とも言える。

    中国や朝鮮と対比すると明確なのは、支配が隅々まで行き届いたまとまった社会であり続けた。特に戦国時代以降その傾向が強まった。
    一方中国は清の時代に下層の人口が膨れ上がった。社会の上層はそれほど増加し無かった。長い目でみると秦の時代に確立した支配論を清の時代まで変えずに来てしまった。だから、支配階層と庶民層の分離が著しい。
    勝手な感想だと、宋の時代まで中国は世界の中でも最先端を行っていた。次の元は、世界史上の画期だった。ユーラシア大陸規模の大商業圏の誕生は凄いことだった。
    で、明・清と、世界史上のでみると、停滞したのかな?と思える。株式会社という仕組みの発明の差かも知れない。

    二つ目は日本人たちは政治において、権威と権力を分けることを好んで来た。
    摂関政治。朝廷と幕府。
    これは世界史的に珍しい。権力は一元化するのが世界の常識なのに、日本人たちは二元化した方が安定する。
    そう思って院政の時期を考えると、日本人たちにとって政治権力の一本化は戦乱を招くというのは言えそう。
    権力者の側近の重用となり、公正さを欠くとなる。
    その意味では、曖昧さの代償として平和を得たとも言えるかも。

    三つ目は舶来上等の精神。唐物(中国由来の品)や近代以降の西洋珍重など、素晴らしいモノ/コトは外からやってくる。

    そして、それを自分たち好みにデフォルメする。元の文脈は考えない。2次創作する。

    古事記で言うえびす様のような存在を感じて来たのかな?

    四つ目は近世の江戸時代に本格化した「職人」って気風。絶えざる工夫を凝らし、究極まで高めようとする。
    戦後のアメリカからやってきた標準化の考え方とは真逆。
    工夫を常にし続ける。
    科学のように原理から乗り越えるのではなく、今ある中での工夫。いわゆる神業って域まで高める。

    こうしてみると、日本人たちの社会は、中国や朝鮮とはまるで違う。大陸での政治の難点は、全く違う文化圏を如何にして統合するか?
    歴史をみても、日本人たちと大陸とが接触すると、争いになる。
    唐・新義vs百済・倭、元寇、豊臣秀吉の朝鮮侵攻、韓国併合。

    司馬遼太郎が「鬼胎の時代」と呼んだ昭和の前半。まさに大陸とどう関わっていくか?「帝国日本」の時代だった。結局、多様な文化圏を統べることが出来ず、皇国として同化しようとして失敗した。「帝国」って日本の政治には合わないシステム。

  • 前著「世界史とつなげて学ぶ中国全史」が面白かったので、読んでみた。

    最近、昭和史の本を読んで、どうして日本は中国や米国との戦争に向かったのかというところを学んでいて、一つ一つの事件に含まれるなかなかに現実の複雑性を味わっているところで、いわばかなりミクロの視点を見ていたところ。

    で、この本は、「日本全史」というロングスケールの時間軸で、かつ中国史、および中国との関係史のなかでの超マクロな視点で、その辺のところを論じている。

    前著と同様に、だれがどう判断したとかみたいな話しではなくて、気候、人口、経済とかのマクロな要因を中心に世界史との関連のなかで議論が進んでいく。

    なるほど、日本が中国から受けた影響、そして、日本が中国に与えた影響のなかで、近代においては、日中の対立がどう展開していったかが構造的に解明される印象。

    そして、戦後においても続く日中、日韓関係の問題も一貫した視点で理解することを可能してくれる。

    ちょっとマクロすぎる感じはするけど、この視点は大事だな〜。

  • 日本の歴史を大変緩やかに大きな時間軸で捉える良書。

    冷静に、日本国民が広く西洋を意識し出したのは、江戸時代後半の蘭学以降の、ここ最近のことだし、それが急激に強まったのは、第二次世界大戦以降のアメリカの属国になってのことだ。

    地政学的には、中国・朝鮮半島・沖縄の方が死活的に重要なのは言うまでもなく、文化的にも類似している東洋の視点で日本の歴史を捉え直してみたい方には大変オススメだと思う。

  • おおむね、序盤1/3が奈良時代から江戸時代まで、中盤の1/3が江戸時代、終盤1/3が明治から第二次大戦まで
    細かい知識の羅列はなく、著者の考えが分かりやすく展開されているので、読みやすい

    序盤1/3の記述はあっさり 遣隋使、遣唐使を通じて中国の知見を積極的に取り入れてたんじゃないの? 日本の仏教文化はこの時代に形成されたんじゃないの?と習った気がするので少し物足りない

    中盤以降が著者の分析が面白くなってくる 戦国時代から江戸時代にかけての日本国内の経済状況、農村と都市の発展の拡大、幕府の経済政策など、とても説得的感じられる

    終盤は日本と中国との関係に絞って江戸幕府・明治政府と清朝との関係、日清戦争→日中戦争について 日本と中国との関係に絞った説明なので、全てが説明されているわけではないが十分に説得的だし、面白い

    続けて歴史の本が読みたくなる

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著者プロフィール

1965年、京都市に生まれる。現在、京都府立大学文学部教授。著書、『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、大平正芳記念賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞)、『中国経済史』(編著、名古屋大学出版会、2013年)、『出使日記の時代』(共著、名古屋大学出版会、2014年)、『宗主権の世界史』(編著、名古屋大学出版会、2014年)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会、2017年、アジア・太平洋賞特別賞、樫山純三賞)ほか

「2021年 『交隣と東アジア 近世から近代へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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