ドラッカーと論語

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492045381

作品紹介・あらすじ

長きにわたって読み継がれる
「経営者の二大経典」が一挙にわかる画期的書!

孔子の『論語』とドラッカーの『マネジメント』。 両者が生きた時代はまったく異なるが、『論語』と『マネジメント』で語られる「組織」、そして人間の生き方という部分では、本質的な共鳴を見せている。
 難解な『マネジメント』を読み解くため、『論語』をサブテキストとして用いる。一見すると奇をてらったような手法に見えるが、実はドラッカーを理解する「近道」だと私は考えている。
 東西の2人の知の巨人が後世に生きる我々になにを伝えたかったのか。読者の皆様がそれを理解していく上で、本書がその一助になれば幸いである。(序章より)

感想・レビュー・書評

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  • ミニコメント
    経営者にとっての経典といわれる、ドラッカー『マネジメント』と孔子『論語』。
    両者ともに多くの人々に重要視されていながら、難解な書籍ゆえ手が出しにくいと感じている人も多いのではないでしょうか。
    『論語』をサブテキストとして『マネジメント』を読み解く。
    経営者の二大教典がわかる画期的書。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1108494

  • タイトルから頭がひっくり返る、安冨先生が力強く、強引なまでに「同じことを言ってる!」と強弁する、そして為す術もなく説得される。ドラッカーの「マネジメント」は則ち「仁」なんですよ、びっくりですね。「仁」については『生きるための論語』に当られた方がよいでしょう、これは組織論。面白いです!(いつも)。千頁の『マネジメント』を読みたい衝動に駆られる。図書館で見てみようと思います…(2019-10-19)

  • 旭山動物園のミッションは人類に野生動物のものすごい迫力を思い知らせること
    組織を構成するのは、人間である。人間の集まりを運営する事は人間にしかできない。どんな技術が進歩しても、機械やシステムは仁たりえない
    1.真剣に自分を知る努力をする
    2.他人のことを理解することができるようになる
    3.その結果、自分を他人に理解してもらうことができる
    ドラッカーは、コンピューター内にある情報は所詮、組織内部のデータに過ぎないと述べ、組織が必要としている情報は組織の外にあると断言している
    今や、顧客が情報を持っている。誰であれ、情報を持つものが力を持つ

  • ドラッカーと論語 安冨歩 東洋経済新報社

    孔子の論語は暮らしの中で少々染み込んではいたけれど
    ピーターFドラッカーによる「マネージメント」の提唱も
    岩崎夏海の「もしドラ」も知らずにこの本を読みだしたので
    最初の二ページを読むまでちんぷんかんぷんだった

    マネージメント《徳治》武力によらず徳を持って目指す政治
               目的を定めた行為
    マーケティング《知己》己と相手を知ることでニーズを生みだすコミュニケーン 
    イノベーション《学習》手段としての経済を支える生産組織や制度と市場や製品の開発
               シェアはイノベーションを起こさない
               
    ポスト資本主義は組織を解体するための組織
    機械化の危険性・ブラック企業の小人化・情報を握る者・関所の消滅とコミュニケーション
    P2P・企業とNPO・

    常識人の常識を守りつつその標識を揺るがす・賞味期限の切れた真筆なドラッカー・
    intrgrity of characterは真筆さや誠実さでなく
    人格の統合=人として一貫性が有る=仁(歪められてブレることのない人格)
    立場主義の日本では人格を省いた真筆さと言う誤訳があったからこそ
    ドラッカー思想が受け入れられたのだと安冨さんは言う(p238)

  • ・ドラッカーのマネジメント論の要点は3つ
     1)自分の行為のすべてを注意深く観察せよ
     2)人の伝えようとしていることを聞け
     3)自分のあり方を改めよ

    ・学習回路を開いている状態が「仁」であり、
     仁たりうる者を君子と呼ぶ。

    ・フィードバックこそが、ドラッカー経営学の
     最重要概念

    ・君子とは「仁」たりうる者。つまりは学習回路が
     開いている状態を維持し、過ちを過ちと素直に
     認めて、それを修正できる者だ。

    ・自らの行いを注意深く観察し、自らのあり方を
     変える。これこそが、マネジメントの本質である。

    ・仁たりうる者は、「知」と「不知」とを明確に
     区別することができる。

    ・外界とコミュニケーションをとる
     「マーケティング」で「己を知る」

     フィードバックを通じた学習「イノベーション」で
     「改める」

     これら二つが、マネジメント「仁」

    ・関所に替わって、重要な利益源泉となっているのが
     「ブランド」である。

    ・自分自身の周囲のコミュニケーションを
     マネジメントすることが「政」である。

  • 投稿日 2014-11-09 10:11:00
    論語を通じてドラッカーを解釈する本。

    といっても、それほど驚くことではないかもしれない。
    なぜなら、日本の資本主義の創設者(?)の渋沢栄一は、すでに経営を論語を通じて、論じていたわけだし、日本のビジネスマンの必読書として、「論語」をわきにおいて仕事をしている人も結構いるんじゃないかな?(私もそう)

    が、安富さんが主張する「論語」の読みは、「フィードバックを伴う学習のプロセス」ということ。これはかなりの驚きで、これまで読んできた「論語」はなんだったんだ!と目から鱗が落ちまくりなんです。

    これって、もうセンゲの「学習する組織」そのものだよね。
    (センゲも、南懐瑾を通じて、多分「論語」は読んでいて、影響を受けていると思われる)

    ということで、その安富さんが、ドラッカーをどう読みか?というのは、かなり注目。

    安富さんが「論語」をこう読むという部分は、すでに他の本で知っていたのだけど、それにもとづくとドラッカーがこうなってしまうんだ、というのは、かなり納得性が高いです。
    内容は、ぜひ読んでください。

    で、なるほどと思ったのは、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を「もし、ドラッカーが、「もし高校・・・を読んだら』を読んだら」というところ。ここの部分は、たんに「つかみ」じゃなくて、かなりこの本のエッセンスに近いところにあるんですね。

    つまり、マネージャーがもつべき根本的な資質としての「真摯さ」という翻訳の問題。
    (「もしドラ」では、ここを読んで、主人公の女子高生は嗚咽する)

    安富さんによると、原語は、”Integrity of character"で、直訳すれば、「人格の統合」つまり一個人として一貫性があるという意味のはず、「真摯さ」というのは、誤訳に近いのではないか?ちなみに「マネジメント」の最初の翻訳本では、「人間としての誠実さ」となっている。こうした原語により近い解釈があるにもかかわらず、わざわざ「真摯さ」という翻訳にしてしまったのは、確信犯ではないか。

    つまり、日本の社会では、「人格の統合」、「学習する組織」用語では「自己マスタリー」、「言行一致」、西水美恵子さん用語では、単純に「本気」、というものが、機能しにくい。多分、それをやるとその人はいじめられてつぶされるので、日本にドラッカーを根付かせるために、上田惇生さんが「真摯さ」としたのではないか、という問題提起なんですね。

    本当に、そのとおりだと思いました。
    今の日本で、みんなが、「人生の目的」と「仕事の目的」の統合に進んだら、きっと会社的、社会的に大混乱なんでしょうね。(でも、私は、そうしたことが当たり前になる組織、社会になればいいと願っているんだけど)

    でも、著者は、「真摯なドラッカー」は、賞味期限切れだと指摘します。
    と同時に、現在でも、日本では、「人格の統合」は機能しないのではないか、とします。

    というところで出てくるのが、「論語」を通じて、ドラッカーを読むという戦略だったんですね。西洋的な「人格の統合」という概念は、東洋の「論語」が本当は言いたかったことなのだ、というルートから「人格の統合」の必要性を訴えて行こうという戦略なんですね。

    あー、素晴らしいな!

    この発想って、渋沢栄一が、日本に資本主義を導入するときに、そのベースとして必要となる倫理性を論語に求めたのと同じ発想、同じ戦略なんですね。(西洋では、「プロテスタンティズム」の倫理性が資本主義の精神なのかな?)

    いやいや、ドラッカーって、スゴいなと思いつつ、なんだかストイックな感じが今ひとつ好きになれなかったんですけど、「人格の統合」であったり、安富流の「論語」であるならば、大賛成ですよ。

    上田惇生さんの訳でないドラッカーを読まなきゃ、という気分になりました。

  • ドラッカーと論語の共通理解を示しながら、仁の重きについて述べており、とても興味深く考えさせられる内容であった。論語とドラッカーを個々に読んでみたいと感じた。ドラッカーのエッセンシャル版の捉え方が大きく変わり、もしドラを以前読んだことがあったが、流行としてのドラッカー火付け役としては意味があるが、内容は疑わしいと理解した。何度か読み返してみたい一冊。

  • マネジメント、エッセンシャル版は本質を伝えてないんだと言うことがこれを読んでよく分かった。論語の解説も面白く、古典を旅する学問の面白さの一端にも触れられたような気がする。

  • 素晴らしい本です。ドラッカーを儒学を代表する論語で読みとくというのは、日本人のこころにあっているし、マネジメントの本質を理解しやすい。

  • 論語とマネジメントの解釈に賛否両論ありそうだけど、今や解釈に正解のない古典を自分のものにした人だからこそ語れる内容だと思う。精読、積読したい一冊。

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。
著書『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出』(NTT出版)、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)、『生きる技法』『合理的な神秘主義』(以上、青灯社)、『生きるための論語』(ちくま新書)、『満洲暴走 隠された構造』(角川新書)ほか

「2021年 『生きるための日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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