脳天気にもホドがある。 ―燃えドラ夫婦のリハビリ日記

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492043998

作品紹介・あらすじ

脳出血で倒れ、右半身麻痺と失語症のリハビリと闘う夫との日常を、愛情たっぷりに描く痛快エッセイ。自分が倒れないための本音の介護情報が満載。「リハビリより鉄道、介護よりドラゴンズ」という脳天気な夫婦の、発病から1年間のお笑いリハビリ日記。

感想・レビュー・書評

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  • 脳出血で倒れて右半身麻痺と失語症になった夫との闘病、リハビリ生活を描いた体験記。
    著者は書評家でもともとユーモアに溢れた文章を得意とするので、かなり深刻な状況なのに悲壮感が感じられず、笑いながら楽しく読めてしまう。家族が倒れたときに必要となる手続きや実務的なノウハウも満載。リハビリには趣味が大きな力となることがわかった。
    しかし軽いノリで書かれてはいるが、著者がたいへん献身的に介護していることが伝わってくる。二人の幸せを祈りたい。

  • 昔、まだインターネットがこんなにも普及していなかったころ
    パソコン通信なるものがあり
    掲示板みたいなものと思って貰えばいいんだけれど
    その中のひとつニフティサーブというものを利用していて
    主に自転車の会議室にどっぷりはまっていた時期があった
    1990年代の後半頃のこと

    自転車という大きなくくりの中に、ロードやマウンテンバイクなどと
    細分化された括りの会議室があり、地域別の会議室などもあった
    パソ通自体もそんなに誰もがやってるものでもなく
    ましてや若い娘(27歳〜30歳くらい)はもっと少なく
    パソオタ気味のおっさん中心の会議室の面々に
    まあ可愛がって貰っていたわけだ
    当時から新聞連載を持っていたので
    多少は文章が書けた、というのも理由かもしれんが
    何しろテキストベース、顔は見えない世界だ
    27歳女子だ、かわいがるだろう普通

    自転車の会議室なんで、そのうちツーリングしようという
    オフ会話が盛り上がり、実際に会議室のメンバーに会った後では
    サルというあだ名がつけられたタカクラの位置は微妙に変わっていた
    そんな事はもう忘れたが

    そんな会議室で、飛び抜けて面白い文章を書く人がいた
    年の頃は同じくらいの女性だ
    面白いだけでなく時折会議室で持ち上がる議論にも加わり
    ずばっと自分の意見を述べたり、歴史に詳しかったり
    いったい何者なんだろう1?と思うくらい、その人の書き込みは
    燦然と輝いていたのだった

    そして会ってみるとイマドキ(当時のね)のボディコンスーツに
    身を包んでバシっとメイクも決めた美人で巨乳のお姉さんだった
    こちらはスッピンのモンチッチ
    年はひとつしか違わないのに
    あんな面白い文章書いて、そのうえオシャレ人間(BY 海月姫)
    なのにそのオシャレ人間の中身はサバサバとしていて漢(おとこ)だった
    そりゃあ憧れるだろう普通
    会議室では彼女のことを姉と呼んで慕い尊敬していた
    そしてちょっぴり憎んでいたのだった

    やがて彼女が名古屋に嫁いで
    私も結婚し自転車の会議室からも遠ざかったけれど
    彼女がたちあげたミステリ書評サイトでの活躍は
    眩しく見つめていたのだった

    その彼女の初の著書が

    「脳天気にもホドがある。」
    サブタイトルは
    「燃えドラ夫婦のリハビリ日記」
    (東洋経済新報社)
    著者は大矢博子さん

    彼女のダンナさんが脳出血で倒れ
    その後の1年間をまとめた本だ
    帯の背表紙部分に書かれている通り
    「お笑いリハビリ日記」
    である

    彼女のダンナさんは筋金入りの鉄オタ自転車オタ
    パソオタ、ドラゴンズオタだ

    脳出血の後遺症で失語症になったダンナさんは
    嫁の名前は言えなくても
    「クモハ」という電車の名前は出て来るという

    そんなような介護エピソードも笑いが満載で
    あと夫婦でドラゴンズファンだから
    ドラゴンズの動向も頻繁に挟み込まれる
    どんな介護日誌やねん、である

    同様の脳卒中関係の患者さんやご家族には
    とっても役に立つ実用知識もたくさんあり
    何より元気になれると思います

    名古屋の書店ではドラゴンズのコーナーに置かれてるらしい
    (もう一度、どんな介護日誌やねん)

    おすすめです

  • 立浪引退〜開幕投手浅尾とか今読むと懐かしいのう…もっと中日ネタが多めでも良かったけどその分御夫婦が微笑ましいので(笑)著者の実体験としてこのような事態に陥った場合は体験記、闘病記のたぐいよりも病気自体の専門書を読んだとあるのが実はツボった(苦笑)

  • すごい形の闘病記だなあw
    表に悲壮感が全く現れていない。
    こんな風に前向きに大概のことは笑い飛ばしていきたいものだ。

  • 中日ドラゴンズファン夫婦の闘病記録。
    もともと作者の書評サイトを長年見ていたので、評価が少し甘いのはそのせい。

    作者のクセというか表現方法には慣れていたので、一気に読んでしまった。
    あと、医療現場で働いているから読みやすいというのもあるけど、でも一般の人が読んでもとても読みやすいと思う。
    野球に興味がなかったらどうかはわからないけど…。

    作中ではあえて悲壮感などを押し出さずに書ききっているけれど、本当に献身的に面会し、看護・介護されていたことが伺える。

    趣味があるって、救いになるね。

  • 授業の課題のために読んだのだけど、
    奥様の明るくポジティブな姿、すてきでした

    体験記としても読みやすく参考になります。おすすめ。

  • 好きなことが力になる。夫婦共にうちと同世代だから、身につまされる・・・・はずだが、やはり笑える。前向きに、ユーモアを持って取り組んでいくこと。友人知人や環境に恵まれた夫婦だからこそだろうけど、そういう人間関係を築いてきたのもこの人達の力だ。

  • いや、普通に笑って読めばいいんだろうけれど、実際には大変だったんだろうなぁ。「なっちまったものはしょうがない」て状況を的確(!?)に判断して即応していく姿は素晴らしい。「いざ」という時の役に立つかどうかは判らないけれど…関係者全員に幸あれ!

  • 闘病記も、もともと人を楽しませる文章で食っていたプロにかかるとこうなるのか、という見本ですね。
    患者は旦那さんで著者は介護する家族です。病気が嬉しいものであるはずがなく、後遺症は重篤(右半身の麻痺と失語症)でしたが、病気&傷害=不幸ではないことがビシビシ伝わってきます。
    そして、突然の大病に対して有効なのは「知識」「ネットワーク(仲間)」「収入」の3本柱だと感じました。

  • 闘病リハビリ日記。おそらくこういう立場になってしまった人が読めば役に立つし、励まされる点が多いと思います。だけど「励ます」といってもおためごかしな雰囲気はぜんぜんなくて。そりゃね、介護も大事だけど。何もすべてを犠牲にする必要なんてないんですよね。
    そして「なまもの!」読者にとっては面白ーく読めるエッセイです。もちろん、今はかなり元気にされてるってのを知っているからこそ笑って読めるんですけどね。野球ファンではなく鉄道ファンでもない私ですが、はい、充分に面白かったです。これは続編も読みたいぞー(あとがきのオチは「なまもの!」読者には周知ですが。あまりにできすぎなシチュエーションですよ)。
    みほろさんのほのぼのカットも満載。「なまもの!」読者はもちろん、Ayalist読者も、身内にリハビリ必要な人がいる方、いないけどいつかはなってしまうかもな方、とにかく万人にお薦めです。

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著者プロフィール

1964年生まれ。書評家・文芸評論家。著書に『読み出したら止まらない! 女子ミステリー マストリード100』『歴史・時代小説 縦横無尽の読みくらべガイド』など。2020年4月より書評委員。

「2022年 『味比べ 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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