教師のNG思考

著者 :
  • 東洋館出版社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784491043548

作品紹介・あらすじ

誰もが陥ってしまう可能性のある、6つの「NG思考」

本書で扱う「NG思考」は6つです。

〇思わず誰かのせいにしてしまう 他責思考
〇手段がいつの間にか目的になってしまう 手段の目的化思考
〇成長を阻害してしまう 「横並び・安定・事なかれ」思考
〇柔軟性に欠けてしまう 極論思考
〇成果が出にくくなってしまう 無自己分析思考
〇子どもの可能性を狭めてしまう 学校内価値過大視思考

一見すると、どれもあまりにも「NG思考」であることが明らかすぎて、「さすがに自分は大丈夫だろう」と思ってしまうものばかりでしょう。
しかし、これらは、気が付かないうちに陥りやすい「NG思考」ばかりなのです。
例えば、「褒める」という行為。
「NG思考」とほど遠いように見えますが、場合によっては褒めることでかえって、教師の価値を押し付け、子どもの可能性を狭めてしまうことも……。
本書では、このような例を「学校内価値過大視思考」と呼び、「早く行動できること」「教師の言いたいことをすぐに理解できること」「板書をノートに丁寧に写せること」が学校内では評価されやすい事柄だと紹介しています。
このように「NG思考」には、「よかれと思って」や「熱心であるがゆえに」陥ってしまう側面があるのです。

教師も子どもも前向きに成長していくために

「NG思考」に陥るのは、ある種の防衛機制と言えます。
先生には子どもが好きで責任感が強く、熱心な方が多いです。
熱心であるがゆえに、なにか問題やうまくいかないことが起きたとき、自分の心を守るために「NG思考」に陥ってしまうようです。
「NG思考」に一度陥ると、抜け出すのに苦労します。
それは「なぜ、うまくいかないのか」「どうやったら改善できるのか」をうまく分析できない状況だからです。
その原因を分析するためにも、改善に向かうためにも、まずは「NG思考」を知ることが大切です。
「NG思考」を避けることで、子どもたちと自分なりの、そのクラスなりの正解に辿りつくことができます。
「NG思考」を排して辿りついた「正解」は、目の前の子たちにしか通用しない「正解」かもしれません。
しかし、それを模索し子どもと辿りつけるのが教師の喜びなのだと、著者である土居先生は語ります。

さあ、あなたも「NG思考」を知り、子どもたちとともに、自分なりの「正解」に辿りつくための第一歩を踏み出しませんか?

感想・レビュー・書評

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  • 「「育った」の内実は本当に成長でしょうか」

    この問いは常に大人として持って置かなければなぁと思った。
    「育った」っていうのは自分にとって都合の良いように
    子どもが動くようになっただけかもしれない。
    そこをおごらずに疑う姿勢が大切。

    学校内価値過大視思考って恐ろしいこと。
    廊下は右側を歩くも一緒だなぁと思う。
    学校での学びはすべて社会につながっていないと意味がない。
    学校での学びが学校だけで使えるものであれば
    人は一生を学校で過ごさなければいけなくなる。

    話の聞き方で体をむかせることも手段の目的化と読み
    ハッとさせられた。


    このNG思考はきっと教師だけでなく、すべての人が陥りやすい思考なんだろうなと思った。
    人間はやっぱり弱い生き物。
    人のせいにしていれば楽に生きられるし
    横並びで生きてれば角が立つこともない。
    だけどそんな人が生きる人生は自分の人生なのだろうか。

    人がNG思考から脱却できたときこそ
    自分の人生を自分が生きることになるのだと思う。

  •  これは何度も読みたい!というか読むべきだなーって思う。読むと、あーそうだよね。そりゃそうだ!ってなるけど、いざ振り返ってみると無意識的にNG思考に陥っているのではないか…と感じた。

     もちろん、自分なりに考えて、研究する。でもそれを否定されても躍起になって自分が正しい、まだそのことについての自分の研究が足りない、と自分を正当化してはいけない。でも、自分を否定してもいけない。自分の知らない世界に踏み出す勇気が大切、柔軟な思考が大切だと強く思った。幅広い視野を持ちたいと思った。極論思考に陥らないようにしたい。これが自分のいちばんの課題かな、と気づけた。

     今は目的を見失わず、自分と向き合う時間だと思う。与えられた時間を最大限に活用したい。

  • 教師としてだけではなく、さまざまなビジネスシーンで当てはまりそうな思考がたくさん。特に他責思考は自分の成長を最も妨げるものだと感じました。

  • 6つのNG思考が紹介されているが、全体を通して言えそうなことは、とにかく教師自身が目の前の課題に対して正面から向き合うことの重要さではないだろうか。学校には学校特有の空気が流れていて、それが教師の思考や行動力を鈍らせているようだ。「チーム学校」が合言葉となっている今、教師個々が独自に動くことが難しくなってきている。職人としての教師と、組織としての学校をいかに両立させていくかが課題として浮かび上がってくる。

  • 私の教員生活は20年を超えた。さまざまな本を読み、先輩の話を聞き、経験も積んだ。その内容がこの一冊に詰まっているように感じた。教員10年目くらいまでの方はこの本を読んで、教育感をブラッシュアップしていただければと思う。

  • 属人的な要素がきわめて大きいため、絶対的な「正解」がない教育という分野において、しかし「失敗」には多くの場合共通している部分があるのではないか、という著者の仮説から、
    「失敗」を避けることで学ぼうという、これまで読んできた多くの教育書とは真逆のアプローチで書かれた本で、その視点が斬新でした。

    具体的な事例が、例えば「他責思考」「手段の目的化思考」などカテゴリにそれぞれ分類されており、具体と抽象を行ったり来たりしながら理解していくことができて分かりやすかったです。

    土居先生については、著書を他にもいくつか持っており、またTwitterでの有益かつ上品な語り口での呟きにいつも感銘を受けており、自分の中でロールモデルに(勝手に)している方です。期待して見ています。

  • 「そうそう!そういうこと!」と思えることが多かった。自分への戒めを含めて、読み進めた。体と心の余裕がないと、NG思考に陥っていることには気付けない。客観的に自分や子ども、学校、社会を見られるようにしていきたい。

  • 今後の参考にと思い購入。
    とくに、他責思考。
    誰にでも陥る可能性があるため、常に自問自答しながらより良い方法、言葉の選択をしていきたいと思う。

  • ドキッとすること、耳が痛いことも多い
    特に手段の目的化
    本を読んで勉強した気になってませんか?満足してないですか?
    仕事に生かしてますか?
    少しでもプラスの変化がないとなんの意味も無い
    自分がやるだけならまだしも、子どもにそれをさせてないか。
    漢字を覚えることが目的なのに、10回書かせることが目的になったり....

  • 国語科の実践で共感するところがあった著者なので、拝読。ここ数年、考えていたことを丁寧に言語化されていたので、首がもげるほど頷きなら一気に読み終えた。〇〇思考という抽象的なことを、ご自身の経験を使って具体的に説明されることで、その後のまとめ(陥る要因、問題点、改善策)に説得力が増していた。
    6つのNG思考から「問い直し、問い続ける。」「中庸であり視野を広く持つ。」「変容を恐れず受け入れる。」そんな人として丁寧に生きようとする想いが伝わってきた。同年代にこのような先生がいると思うと励みになる。自分自身を見つめ直すきっかけになる一冊。

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著者プロフィール

1988年,東京都八王子市生まれ。創価大学教職大学院修了。川崎市公立小学校に勤務。国語教育探究の会会員(東京支部)。全国大学国語教育学会会員。全国国語授業研究会監事。教育サークル「深澤道場」所属。教育サークル「KYOSO's」代表。『教師のチカラ』(日本標準)編集委員。

「2022年 『子どもに一発で伝わる! 説明の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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