核戦争の瀬戸際で

  • 東京堂出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784490209785

作品紹介・あらすじ

現在、北朝鮮の核問題に世界中が注目しているが、北朝鮮と米国を巡る危機は、すでに1994年に起こっていた。当時のクリントン政権で国防長官を務めたペリー氏が、核戦争の瀬戸際で生きてきた自らの人生を振り返った自伝、 『My Journey at the Nuclear Brink 』 待望の翻訳。

感想・レビュー・書評

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  • 世界最大級の核戦力を管理しながらも、核戦争を防ぐことに一生をかけたアメリカの元国防長官の手記。
    ロシアとウクライナや、北朝鮮など、今まさに核の脅威となっている問題の前史としても読めた。

  • ニュースの裏側で起きていた事がよくわかる

  • 【核戦争においては,長らく「規範」とされてきた防御への信頼が,単なる自己欺瞞でしかなくなってしまった。防御を信頼するというあり方は,きわめて人間的で無理がない。しかしそれは,目の前に新たな現実に対する一種の逃避に根差したものなのである】(文中より引用)

    アメリカの防衛政策の最前線で,特に核兵器の専門家としてキャリアを積み重ねた人物による回顧録。キューバ危機や朝鮮半島危機に直に携わった人物が考える,21世紀の核軍縮政策とは......。著者は,元アメリカ国防長官のウィリアム・J・ペリー。訳者は,東北学院大学で准教授を務める松谷基和。原題は,『My Journey at the Nuclear Brink』。

    自分は決して技術屋ではないので,本作を読んで特に関心が深められたのは,核政策に関するアメリカの政策決定プロセスに関する記述。また,日本ではあまり知られていませんが,冷戦終結後の旧ソ連諸国に残置された核兵器の無効化政策についても,ハッとさせられるエピソードとともに語られており,非常に読み応えがありました。

    ペリー氏の責任感というか使命感はすごい☆5つ

  • 革命的ともいえる相殺戦略は技術上かつ人類史上の画期的な生かであり、この核兵器の時代におけるアメリカの最も重要な業績の1つであった。それは重要な国家プロジェクトであるにとどまらず、危険に満ちた時代に対する新たな思考法を生み出した。相殺戦略は、核の悲劇を防ぐための恐ろしくも実際的な手段として、決定的な軍事的優位性を持っているというソビエトの自信を霧消させ、なおかつそれを経済的かつ驚くべきスピードで成し遂げた。軍拡競争を停止させ、遅らせるのに経済が不可避的に重要であるとすれば、相殺戦略の費用対効果の高さは、その面でも決定的に重要である。

  •  北朝鮮問題の記述を期待して読んだが、それ以上に幅広い分野にわたり面白かった。元々核を含む技術分野を中心に国防に関わり続けてきた筆者。キューバ危機でのソ連ミサイルの分析、また今はすっかり広まったステルス機やGPSという新しい技術が出始めの頃、など冷戦史を振り返るようでもある。
     確かに筆者は、シュルツ・キッシンシャー両元国務長官等と共に「核兵器のない世界」を主張してはいる。しかし、核兵器を全面的に禁止する条約よりも、核兵器の危険性を一歩一歩着実に減らしていく現実的なアプローチを信じると述べている。そのステップとして、指導者の決断までの時間を増やすための核体制の変更(誤報や勘違いが原因となる危険は減るだろう)や核物質の安全確保など、いきなりの全面核廃絶よりはハードルの低そうなことを挙げている。
     また筆者は、軍事の役割そのものは決して否定していない。先進技術に基づく強大な通常戦力の必要性は、核兵器の役割と数を減らすという意味でも、複数の箇所で誇らしげに述べている。94年には北朝鮮核施設への限定的攻撃計画を検討させているし、95年にはボスニア紛争に米軍を派遣している。また軍人の福利厚生には1つの章をまるまる使っている。在沖米軍が持つ抑止力についても述べている。筆者に賛同するか否かは別としても、日本での核廃絶論議ではあまり見ない視点ではないか。
     北朝鮮については、94年の枠組み合意までの過程と99年のペリープロセスはよく知られているとおりだが、筆者は対話に前向きだったクリントン政権の残り任期が限られていたことを残念がり、続くブッシュ政権では対話が打ち切られたことに批判的だ。2000年の段階では北朝鮮の核放棄や米朝関係正常化の可能性がある程度あったと述べてもいる。それが正しかったかは分からないが、99年の平壌訪問で子供病院に大量の医薬品を届けた時、医師が涙ぐまんばかりだったとの記述には少し胸を打たれた。

  • 東2法経図・開架 319.8A/P42k//K

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