半分世界 (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 202
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488788018

作品紹介・あらすじ

3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏は、最寄り駅から自宅までの間で一瞬にして19329人となった――第7回創元SF短編賞を受賞した表題作をはじめ、まっぷたつになった家で暮らし続ける一家とその観察に没頭する人々を描く「半分世界」、町じゅうが白と黒のチームに分かれ、何百年もの間“試合”を続ける町を舞台にした「白黒ダービー小史」など4編を収録。第39回日本SF大賞候補となった衝撃のデビュー作、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • ■吉田同名
    突如1人の人間が19239人に増殖した世界の話。
    これ、めちゃくちゃ面白かったです…
    1人の人間の人生が崩壊して沈静して
    団結して1国(みたいなその人だけの社会)が出来て
    忘れ去られていく、、、
    ある作品の●ッドマンズパレードを思い出した苦しくなったな

    ■半分世界
    表題作。
    このあらすじを読んで読みたくなった。
    これは本当奇怪な設定だけど
    半分の家になった家族ではなく、
    フジワラー(半分の家になった家族を傍観する藤原家ファン)の生態に着目されてるのがめちゃくちゃ面白い。

    ■白黒ダービー小史
    これは他のに比べるとサラッと読みました。
    ロミジュリ………?いや、国?宗教?思想?
    現実世界のような、、、や、でも白黒つけるがための
    ボール蹴りに縛られた世界の話。
    終わり方が潔く、かっこよく、よかったかな。

    ■バス停夜想曲、あるいはロッタリー999
    なんだこの話は!!!!!はい、脱帽。
    バスが来ない、いつ来るかも誰もわからない
    バス停のお話。
    もうどこに迷い込んだんだという狂った世界観。
    最高ですわ、、、「バス停ポリフォニア」が
    出始めたあたりからもうこれはヤバいが確立された。

  • よくこんなこと思いつくな…。奇天烈な発想なのに描写がとても緻密。もしかして本当にあった出来事じゃないかと思わせられるリアリティ。読んでいて破綻がなく、すんなり受け入れられる自分にも驚く。19329人の吉田さんも、半分の家に住み続ける藤原一家も、白黒に熱狂する街も、こないバスを待ち続ける人々もこの世界のどこかにいる気さえしてくる。特に『バス停夜想曲』は、田舎住みの自分からすると「永遠にバスは来ないのでは?」という疑心暗鬼はものすごく身に覚えがあるが、それをここまで広げるとこんなにも面白い。
    SFはあまり得意じゃないけど、子供の頃絵本や児童書を読んだ時のように荒唐無稽な世界に浸った。ずっと読みたい、読んでいて楽しい。

  • 奇妙な本
    やや気持ち悪くもある
    それなのに時にくすりと笑ってしまう
    なんとも言えない読後感…

  • めちゃくちゃ面白かった。飛浩隆さんの解説をそうだよなと頷きながら読んだ。奇想(19329人に増殖した吉田さんとか)から始まって、そこから始まるものが、緻密に大胆にバカみたいに語りながら、社会や人間に踏み込んでいく。僕らの好きなSF。スゴイぜ‥。

  • 「吉田同名」と「半分世界」読了。どちらもお話の終わりにむけての渦(?)がすごい。後半の二ツは一旦寝かせる。

  • いやぁ、面白かったー!

    どの短編も発想力がすごいし、結末なんかもよく考えてある!
    SFなのかもしれないけど、人間の本質をついてるのがすごい。
    「半分世界」なんて、最後、すごすぎてゾッとしました!
    ケンスケ、すごい!

  • BRUTUS202111合本掲載 評者:樋口恭介(作家)

  • 「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」の
    何日も目的のバスが来ないバス停の栄枯盛衰は
    火の鳥を全編読んだ後のような気持ち

    SFってなんなんだ???

  • 記録文体でまるで本当に起こっていたかのように記述するという手法はSFでは珍しくないが、それにしてもその記録対象が発想としてぶっ飛んでいる。逆に物語としては起伏に欠けるところもある。読む人を選びそうだが、まあたいがいのSF者はこういうの大好きかな(笑)。

  • 「吉田同名」
    「半分世界」
    「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」

    バス停の話が1番好きだった。コルサタルの「南部高速道路」を思い出したけど、コルサタルと違うのは、解散しなかったところ。続けちゃうんだなあと。ただ、その内容は既存の歴史イメージをなぞった(男が暴力と破壊を、残った女が子どもを産んで歴史をつむぐ)感じで、新鮮さはあんまりなかった。それより前半の、バスこないどうしようパートの方がおもしろかった。

    ただ、この作家さん天才だなあと思う。帯にあるとおり、脱帽した。

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著者プロフィール

’84年千葉県生まれ。作家、翻訳者。’16年に短編「吉田同名」で創元SF短編賞を受賞し、’18年、受賞作を含む短編集『半分世界』で作家デビュー。’20年『ホテル・アルカディア』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。最新作は『四分の一世界旅行記』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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