逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 SFウ 15-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488780043

作品紹介・あらすじ

かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されていた暴走人型警備ユニットの〝弊機〟。紆余曲折のすえプリザベーション連合に落ち着いた弊機は、ステーション内で他殺体に遭遇する。弊機は警備局員のインダーたちとともに捜査をはじめるが……累計ヒューゴー賞4冠&ネビュラ賞2冠&ローカス賞3冠&日本翻訳大賞受賞の大人気シリーズ、第3弾登場! スピンオフ短編2編を併録。

感想・レビュー・書評

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  •  <マーダーボット>シリーズの3巻目で、長編と二つの短編からなっている。今作はステーション内で起きた殺人事件の犯人を追うミステリー仕立てになっている。人間とかかわりあうのが苦手な警備ユニット<弊機>が探偵役として、どう立ち回るのか。いかにして犯人を探し当てるのかがポイント。妙に人間臭いところがある<弊機>が活躍するこのシリーズは、ハズレなしだな。
     短編2編は文字通り短くて、長編の隙間を埋めるエピソードといえるだろう。

  • マーダーボット・ダイアリーの3冊目。今回は2冊目でも言及があったプリザベーション・ステーションの事件がメインです。ハッキングを禁じられているのもあって、これまでとは違う弊機の活躍が見られます。殺人事件の捜査ということもあって、ミステリー仕立てです。
    原作はまだ続くみたいなので、翻訳版も続いてほしいですね。

  • 人型警備ユニットの”弊機”が活躍するアメリカ発のSF。
    しかし弊機、先週はついに天下の日経さんにまで言及されてましたね。今後もーちょいメジャーになってもおかしくない気がします。
    https://twitter.com/nikkei_kotoba/status/1572526052647264257

    さて本著、表題作の中編+短編2編で構成されていますが、『逃亡テレメトリー』は流石に「遠隔測定法」なんて訳語を当てても意味不明だし、苦心の跡が伺えます。
    どことなく鬱屈した弊機の語りは本巻でも健在。今回も楽しませていただきました。

    さて、前の巻の『ネットワーク・エフェクト』では企業リムの生態について詳しく触れられていましたが、本巻はプリザベーション連合を舞台にしており、いよいよ?彼らの暮らしぶりが紐解かれたなぁと。
    そしてなーんとなく、著者によるアメリカ発の福祉国家への憧れ?が書かれているような。「プリザベーション連合は奇妙なところで、食事、医療などの人間の生存に不可欠なものは無料で、場所を問わずに提供されています」とか、そう思うと少し味わいを感じるような。
    他にもデモクラシーの理想像が描かれているようにも思え、例えば、いかに強力かつ有能な警備ユニットであって、いかに困った事態が発生していたとしても、システムへの無制限なアクセスを与えないこと(そして、警備ユニットもそれを尊重していること)であったり、今回の登場人物インダーの「しかし個人攻撃はしない。あくまで味方なのだからな」というセリフであったり。
    弊機が、民主主義の理想郷たるプリザベーション連合が、今後どうなっていくのか、見守っていきたい限りです。
    (しかし、前の巻の終わりではARTと旅するコトになったと思うので、しばらくは読めないかな…)

    あと、非常にどーでも良い話ですが、本著の分厚さ(と言うか薄さ)がひと昔のラノベを彷彿とさせて、とっても懐かしく感じました(笑
    富士見の480円くらいの厚さのヤツだ…と。まぁ本著、880円ですが。

  • 今回はページ数も新キャラ数も少なめなのでさくっと。謎解きやアクションについて特段の新奇性はなかったけれども、シリーズものの安心感で楽しめた。こうして人はローダンに手を出すのだろうか。

    ゆったり楽しいけれど、逆に言うと疲れているとき向けかな。

  • 相変わらずの「弊機」だけど、安定の3作めで安心して読めちゃうというか、アクションよりも謎解き要素が多めで、地味にのんびり読むスタイルというか。ドキドキは少なめだけど、弊機が弊機であることによかったよかったと親目線的な気分になれるシリーズになったなと。あと3作品は最低でも作られるそうなので、刊行を楽しみに待ちましょう。

  • 今度の弊機は「探偵」です!
    メンサー博士のホームグラウンドで
    彼女の警備をしながら暮らし始め
    まだまだ周囲との関係構築中なのに
    殺人事件に遭遇してしまう。

    もしメンサー博士を狙う企業に
    つながるなら一大事と捜査に乗り出すものの
    一緒に行動する人間たちは
    弊機こそ犯人じゃ…と疑っているし。
    そんな中で事件はただの殺人じゃなく
    あるビジネスに絡んだものだとわかってくる。
    救出劇のようなスリリングな場面も。

    推理する助けになっているのは
    弊機の大好きなドラマってのが(笑)
    すぐ「さっさとドラマみたい」とか思うし。
    相変わらずで何よりです〜。

  • 弊機さん!待ってました〜
    マーダーボットのシリーズ4冊目。溜息つきながらも人間を全力で助ける弊機がまた見られて嬉しい。
    中編「逃亡テレメトリー」では殺人事件の犯人捜査に協力する弊機。ミステリドラマの知識は…あんまり使わなかったみたい。今回もクスッと笑える表現が多くて楽しい。「焼き菓子」はネタとして外せない(笑) 個人的に好きなグラシンとラッティの出番も多くて良き良き。
    時系列的には「ダイアリー」最終話と「エフェクト」の間。プリザベーション連合のステーションで、暴走警備ユニットの扱いをどうしようかってしてる段階。弊機のハイスペックぶりがいつもながら小気味良い。うまくいかずに落ち込む時の自虐的な言い方も相変わらずで。地道な捜査ばかりでなく、救出の緊迫した場面も、見せ場の戦闘シーンもちゃんとある!

    短編「義務」は「ダイアリー」の前の採掘場での話し。弊機…良い奴。短編「ホーム」はメンサーから見たマーダーボット。企業の権力執行の手段を目的として製造された構成機体だが、その目的から切り離すのは本人だ、と言うメンサーが好きだな。自由意志があるのなら、自分に命令できるのは自分自身だけだ。人もそうでない者も。

  • 表題作は弊機が殺人事件の犯人を追う話、と聞いてミステリっぽい話だなと思っていたら、わりとミステリそのまんまに事件の謎を徐々に追っていく話でした。今までのアクション主体の展開とは一味違いましたが、こちらもとても楽しみました。

    もちろん(?)弊機の人間嫌いぶりと、それでも人間から目を離せないひねくれたやさしさは魅力的なままで、ここぞというところでは持ち前の性能を存分に発揮してくれてかっこよさも変わらず、相変わらず魅力的なキャラクタです。ポヨン、って表現があまりにも……かわいすぎでした。

    メンサーと弊機の関係性が好きなので、メンサー側からの心情を伺える短編もあったのが嬉しかったです。長編も予定されているとのことなので、彼女の出番もぜひ、と願って気長に待ちたいと思います。

  • 人型警備ユニットの“弊機”は紆余曲折の上にたどり着いたプリザベーション連合のステーション内で他殺体に遭遇する。
    いろんなぼやきを脳内で垂れ流しつつ犯人探しを始める“弊機”だがそこには複雑な事情が絡んでいて……。
    表題作含む3篇収録

    表題作は中編。一作目と二作目の間の話。“弊機”の独り言がすごい楽しい。割と喧嘩腰だよね(笑)
    他に、メンサー達に会う前の“弊機”を描く「義務」と、プリザベーション連合に戻ったメンサー視点の「ホームーそれは居住施設、有効範囲、生態的地位、あるいは陣地」が短めの短編として収録。→

    「義務」が好きだなぁ。メンサーたちに会う前から“弊機”は“弊機”なんだよなぁ(笑)これは業務ではありません。人間がどうなろうと知りません。とか言いながら助けちゃうんだよねー。好き。
    「ホーム」はメンサーたちチームのわちゃわちゃが楽しい。ラストはカッコいい!

  • 表題作の中編と二つの短編が収録されている。
    ただし、時系列では全くバラバラのお話。

    「暴走テレメトリー」ではミステリーの探偵役となるが、やっぱり「潜入」シーンが一番の見どころ。
    「義務)は非常に短いが、とても印象的なお話。
    「ホーム……」では、これまで全て「弊機」の一人称だったものがメンサー博士目線となり、チョット新鮮。

    最初のワクワク感は減少したものの、相変わらず楽しいから、まだまだ読みたい物語です。

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