スチーム・ガール (創元SF文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488770013

作品紹介・あらすじ

飛行船が行き交い、甲冑型の蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。ゴールドラッシュに沸くこの街で、カレンは高級娼館で働いている。そこへある晩、町の悪辣な有力者の元から少女プリヤが逃げ込んでくる。プリヤに一目ぼれしたカレンは彼女を守ろうとするが、町には娼婦を狙う連続殺人鬼も現われ、さらに隣国の侵攻の噂も。カレンは蒸気駆動の甲冑型ミシンを身にまとって立ち向かう――ヒューゴー賞作家が放つ傑作冒険SF!

感想・レビュー・書評

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  • 港町ラピッド・シティーにある高級娼館を舞台にした、スチームパンク百合冒険活劇(ごった煮風な紹介になってしまった)。蒸気駆動タイプの機動甲冑ってロマンだよな(主な用途はミシンだけど)。もっと甲冑を使った戦闘シーンがあっても良かったな。翻訳の文体に癖があってちょっと読むのに手こずりましたが、総じて面白いSF小説でした。

  • 決して面白くないわけでは無い作品なのだが、
    タイトルから想像するに、サクラ大戦(帝国華撃団)的な
    蒸気で駆動されるパワード・スーツ同士の集団白兵戦の描写を
    勝手に期待していたので、予想外に地味な展開に肩すかしを食らったかのような読後感。 
    でも、ゴールドラッシュ時代のアメリカの雰囲気が楽しめたので良しとしよう。

    *** 追記 ***
    そういえば、日本語の『みしん』とは、
    英語の“Sewing Machine”の“マシン”が訛ってできた
    和製英語でしたね。
    だから語源的には、ミシン(Machine)が
    パワードスーツに変形しても問題ないとの理屈なのかしら。

  • カレン・メメリーは”縫い子”だ。
    彼女はモンシェリという館で働いている。
    実際に19世紀後半のシアトルで約三千人の女性が”縫い子”として登録されていたそうだ(訳者あとがきより)。
    どうして” ”がついているかって?
    だって彼女たちは、娼館で働く、娼婦だから。

    本書にはアメリカの歴史がそれとなく織り込まれている。
    私はなんとなく舞台をイギリスのように感じていたが。
    例えばラジウム時計の生産現場で、筆を舐めてその先を尖らせていた女性行員たちに発症した奇病。
    放射性物質を摂取したことで起きた顎の骨のガンだ。
    この話などが盛り込まれることで、近代と、SFが混ざった独特の面白い世界を作り上げている。
    また、主人公メメリーの恋や、解放奴隷の副保安官(かっこいい!)といった、今までの常識を外れたことで、よりその新鮮さが際立つ。

    愛しているのに嫌い。
    カレンは父を殺し、カレンを娼婦にした馬に複雑な感情を持つ。
    様々に揺れ動く感情が本作の魅力だ。

    スチームパンクっぽさは物語の後半の方が強い。
    やや冗長に感じた前半部分は、それを求めてしまうと物足りないかもしれないが、多様性、矜持、そう言ったものに目を向けてみると面白さを感じられる。

  • レビューを書き忘れていたから急いで書いた。出版されてすぐに読んで、途中までで図書館に返したのだった。

    創元から出てるにしては、スチパンSFで百合設定。主人公の一人称語りで進むこのお話、私には異色に思えた。アニメのノイタミナ枠なんかでやったら良さそうな話。

    筋書きは皆さん紹介してらっしゃるから割愛するが。なんとなく生気のない、無気力そうな主人公の
    語り口がしんどく、鋼鉄の街の風景には惹かれるけど、ちょっとあわないなと思って閉じてしまった。

    読ませるちからがない本じゃないから、お好きな向きにはたまらないはず。私はもっと、生き生きした主人公のほうが好きだったというだけなので。新味のあるSFがお好きなら、おすすめ。

    ちょっとけだるげな少女が戦うのが好きなら、きっといいですよ。

  • 内容紹介が気になったので購入。
    東京創元社のメルマガでチェックした時はもう少し大人しめの内容かと思っていたが、けっこう派手な内容だったw 割と若い読者を想定しているのかな〜という感じ。

  • 原子力嫌いなので、、、

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    飛行船が行き交い、甲冑型の蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。ゴールドラッシュに沸くこの町で、カレンは高級娼館で働いている。そこへある晩、少女プリヤが逃げこんできた。プリヤに一目ぼれしたカレンは彼女を守ろうとするが、立ちはだかるのは怪しげな機械を操る町の有力者。さらには娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとって立ち向かう! ヒューゴー賞作家が放つ傑作冒険SF。訳者あとがき=赤尾秀子
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488770013

  • SFというより娼館が舞台の少女向き児童書という感じ。一応SF的な機械が出てくるのだが、そこら辺がジブリっぽさを想起する。
    「大草原の小さな家」と「女ハックルベリィ・フィンの冒険」とジブリ映画を捏ねてオーブンに入れてひたすら美味しく焼くと出来上がります、みたいな冒険譚だった。
    主人公の語り口がぼんやりと詩的で穏やかで、そこがハックルベリィ・フィンっぽい。
    百合もあるんだけど、そんなに百合っぽさは感じなかった。

  • 例えば、バントルの屋敷の機械がダイナマイトでぶっ壊れるシーンとか、派手な戦闘や爆発シーンなど過激な部分(ついでについでにいうと言うとお色気シーンも)、つまりはアクション娯楽映画でメインになる部分の描写がカットされていますね。これをこのまま映像化すると、1人でキネマの木根真知子姉さんが観たら消化不良を起こして悶えそう。
    でも、スチームパンクのガジェットはとっても素敵です。

  • ちょっと文章が読み難いかな。
    ストーリー的にも何がしたいのか良く分からない状態で話が長々続くので、途中で飽きてしまう。恋愛も一目惚れした相手にいきなり命を懸けるという具合で、恋のドキドキ感も無くつまらないです。

  •  蒸気機関が発達した架空のアメリカの港町を舞台にしたSF活動劇。
     娼館で働く少女カレンは、逃げ込んできたインド系の少女プリヤを守るため、娼館の仲間とともに、不思議な能力で町を牛耳ろうと画策する悪徳経営者と戦う。
     紹介文にあるような、蒸気機関で動く”着用するミシン”を甲冑のようにまとって少女が戦闘する、という日本アニメばりのシーンは結局登場せず、何やら機械的なガジェットが適当に散りばめられてスチームパンクとしては中途半端。ゴールドラッシュに沸いていた頃のアメリカの時代感や、同性のプリヤに思いを寄せるカレンの心情は丁寧に描けていたので、単純にその雰囲気は楽しめる。

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