- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488587147
作品紹介・あらすじ
ペンリック19歳、婚約者を迎えに行く途中、病で倒れている老女の最後を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女が持っていた魔が、あろうことかペンリックに乗り移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。ペンリックは魔を制御し、庶子神神殿の神殿魔術師になるべく訓練を始めるが……。ヒューゴー賞など四賞受賞の〈五神教〉シリーズ最新作登場。
感想・レビュー・書評
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ロイス・マクマスター・ビジョルドの<五神教シリーズ>の新たな作品。
気立てのいい若者の身にある日、<魔>が入り、いきなり魔術師に。さて?
既に3冊出ている<魔術師ペンリック>シリーズの1冊目。
<五神教シリーズ>の前の作品群とはかなり雰囲気が違い、これから読んで差し支えありません。
田舎の領主の末息子ペンリック。
金髪で青い目で長身の、のんびりとした若者だ。
謹厳な長兄や乱暴だが腕の立つ次兄、にぎやかな姉たちと比べて特に取り柄はなく、本は好きだが、やりたい仕事もない。
婚約が決まって出かける途中、道に倒れている老女を助け起こし、そこで<魔>がその身に入ってしまう。
老女は、強大な魔を宿す、神殿でも最高位の魔術師ルチアだったのだ。
魔術師は他にない力を持ち、神殿に属して人を助ける活躍をするのだが、一般には怖れられる存在。
本来は修行をしている人間が次代として受け継ぐものだが、たまたま臨終の際にそばにいた子供や動物に入ってしまうこともあるという。
何の経験もないペンリックがいきなり、幾多の人格を持つ歳を経た魔と共に、難題に立ち向かうことに。
5つの神がいて各々神殿がある世界で、一神教であるキリスト教とは大いに違う、革新的発想。
ただ、父と子と精霊、それに聖母信仰、古代神の民間伝承などを考え合わせると、中世ヨーロッパの人々の実感とそう違わない?かもしれない。
作り込んだ設定を背景に、何も知らない善意の若者が主人公なので、わかりやすい物語になっています。
2話目からは4年後で、ペンリックも魔術師としての実力も高まり、捜査官とタッグを組んで旅をしながら事件に取り組みます。
巫師という、動物をその身に宿した能力者というファンタジー設定の存在も魅力的。
珍道中と危機を取り混ぜながら、ペンリックの優しさ公平さが随所で光るのが、嬉しいところ。
SFとファンタジーの賞を総なめにする大作家ロイス・マクマスター・ビジョルド。
円熟した筆致はさすが。肩の力を抜いた書きっぷりが読んでいて快適です。
2018年12月初読。再読して、書いています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
五神教シリーズですがシリーズ未読でも問題なくたのしめます。
登場人物達に都合がいい世界にならないファンタジーがお好みの方もたのしめるのでは。
今作の主人公のペンリックの設定が田舎貴族の末っ子・不幸な過去がない・明るく素直で本好きな子設定なのでこの世界に馴染みがない読者にも読みやすいと思います。
中篇3作のうち1話目がペンとデスの出会い。残り2作は4年後と時間が経過していてペンリックがいっぱしの魔術師に成長しています。
個人的にはペンリックと魔であるデスデモーナのやりとりがとにかくおかしみがあるので2人の成長過程も読んでみたかったです。
翻訳されていない残りのペンとデスの物語も読みたいので翻訳され発売されることを願います。 -
5神教シリーズってこんな話だったっけ?と思いながら、でも楽しく読みました。
どことなくヴァルデマール的なユーモアもありつつ。
若干のミステリィもありつつ。
主人公たちの掛け合いが楽しい作品は好きです。
ペンリックがとことんお人好しで柔らかく優しい人物なのがまた良いですね。
決してほのぼの系な話では無いと思うのだけど、ペンリックの人柄のお陰で、なんとなくほのぼの系な雰囲気になっている気がする。
あと、訳者さんの匙加減も良い感じだと思います。
続編もあるのかな? -
「五神教シリーズ」の一冊ですが、特に他の巻とそんなに関係なので、単独でOK。他の巻とは違い、割と楽観的な主人公、ペンリックは出会ったご婦人から「あるもの」を受け取ってしまう。そこから、ペンリックの人生は大きな転換を……。
ビジョルドの異世界ファンタジーは、都合のいいように展開しなくて、ミステリ要素もあってほんと好き。二分冊の一冊なようなので、続編も出してほしい。ペンリックとデスのやりとりがものすごく楽しい。 -
続きが読みたいと思う
まだ翻訳されてない章があるらしいので、楽しみが出来た
初著者だったけど、興味が湧いてきたので大元のシリーズを最初から読もうと思う -
五神教シリーズ。主人公のペンリックは金髪碧眼長身で弓の腕にも長けた若者、てことで、ビジョルドさんの作品では珍しいタイプの主役なのではないか。
思いもよらず魔術師となってしまったペンリック、その立場にだんだん馴染んでいくところが描かれるのかなと思いきや、短編集(中編かも)ゆえに、二作品目ではすっかり板についていた。馴染んでいく過程も見たかったなー。
ファンタジーでありつつミステリー風味でおもしろかった。 -
まだ未訳のものも早く読みたいでーす!
スペースオペラで好きになった作家だけれど、ファンタジーも楽しいなー
新作も読みたいけど、『マイルズ』や『死者の短剣』も枝葉やその後、その来歴なんかを読ませて欲しいと思う世界 -
ある日突然、魔を受け継いで、魔術師になったペンリックの物語。この魔術師の能力は、魔術師だったものが死ねば、最も近くにいた者に、その能力が受け継がれるというもの。この設定が面白かったです。中編3編ですが、いろんな神がいる世界観に慣れるまで、少し時間がかかりましたが、慣れた頃に読んだ最後の『ペンリックと狐』面白かったです。まるでジョジョのような能力が、いろいろ読めて楽しかった!
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ロイスマクマスタービジョルド作品を初めて読んだ。五神教の設定や地理的舞台設定はガッチリして展開性を感じるが、「チャリオンの影」から始まる3部作からの援用のようで、本作品では雰囲気を盛り上げる程度の効果にとどまる(本書はシリーズなので、現時点では、というべきだろう)。
「魔術師ペンリック」が面白かったが、「ペンリックと巫師」「ペンリックと狐」は楽しめなかった。「魔」「魔術」の設定が独特で入り込みにくく感じた。ペンリックが万能すぎる感じがライトノベルっぽい。
と色々描いたが、続編は購入済。並行して読んでいる「チャリオンの影」は導入から断然面白いし、本シリーズにも今後の展開性に期待ができる。まずは読む。全てはそれから。