時の彼方の王冠―デイルマーク王国史4 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488572099

感想・レビュー・書評

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  • すごくおもしろかった

    4部作の最終巻
    前作までの登場人物が出てきて複雑に絡み合っていた

    1作目で南北の対立で子供たちを殺されてクレネン一家の子供たちを保護してくれたハナート伯爵がミットにヒルディとイネンを人質にとってノリスの暗殺を強要したり
    行き場のない気持ちになったモリルを旅に連れて行ってくれた詩人が犯人だったり
    そしてそれも娘を人質に取られて苦しみの末に錯乱してしまった結果だったり

    いい人が単純にいい人ではなく、
    時とともに変わってしまったり、様々な側面があるのを見せられた。

    ただ特にミットと友達になったと思ったヒルディが今作ではミットに冷たくなってしまったのは悲しいし納得がいかないと思った。
    ミットが反乱に加担するのを冷静にいさめていたホービンが「血まみれホービン」の異名をとるようになってしまったのには何があったのかもとても気になる。

    最後には恋愛もののようになってミットとメイウェンが惹かれあってハッピーエンドになってよかった。
    ちゃんと再会が見たかった気もするのが少し残念

  • 堂々の完結編。今まで登場してきた人物達(特に子供達)が成長した姿で出てきます。前作ではいい人だった人が意地悪になっていたり、残虐な面を見せていたり、人間の生々しい変化が書かれています。全員いい子ちゃん、を期待したわけじゃなかったけど、それでもやるせない登場人物も何人かいます。

    けれど、やっぱりおもしろい!
    そして数え切れないほどの仕掛けに伏線に言葉遊びが入っていて、繰り返し読まないともったいないです。

    架空の国とは思えないほど設定が緻密で、
    本編には出てこなかったいくつかの話のうち、
    魔女センノレスの戦いはだけはせめて見てみたかったなぁ~と思います。

  • デイルマーク王国史、全4巻。
    ひとつひとつが独立した物語として大変出来が良いのだけど、最終巻を読むと、それが何倍にも膨らむ。
    こんなに壮大な歴史物語は、一体どれだけの下準備をかけて書かれたのか、想像するだけで眩暈がする。
    最終巻を読んで、それまでの三巻のあれやこれやが見事に繋がって、密な織物に変化する様は、背筋がぞくぞくするほどの感動だ。
    キャラのその時の感情や立場が、年を経るとまた変わる。そんなところもしなやかに描くジョーンズが素晴らしい。

  • うわあ。やっぱりこれスゴいのでは。
    なぜこんなの書けるの。


    再読だったので一応色々とわかった上で注意深く読んだのだけど、読み終わって「うっはー」となってしまった。
    そしてしばらくして今度はじわじわと唸ってしまった。

    「うっはー」ってなんだ。


    時代や場所の違う3つの物語。
    3巻それぞれ独立したものとしても楽しめるけれど、
    そこで起こっていた色々な出来事や登場人物逹がひとつの流れになって、
    おまけに新たに全く違った視点の入った4巻目はやっぱり見事。
    まさしくカルテット。

    神話だって元はきっと素朴なもので
    物語ってのは現実と地続きなんだよ
    ということを知らしめてくれる作品。

    あまり分かりやすいとは言えないし万人受けはしないだろうけど、絶版なのはたいへんもったいないな。

    解説を先に読んではいけません!

  • この人の作品って、どんどんとっちらかっていくんだけど、最後に向かって急に登場人物が恋に落ちていることに気づいて、大団円、みたいなぐいぐい強引なおはなしが多い印象だったのだけれど(それも好きなんだけど)、このシリーズはきちんとおはなしとしてまとまって正統派ファンタジーしてました。

    第1巻は最初は戸惑いながらもだんだんと惹き込まれ、2巻もモリルの話が続くのかと思いきや、まったく別の主人公の別の生活の物語。そして3巻は過去に遡りさらに不思議な物語。

    ところがそれがこの4巻で、さらに「時の彼方」を巻き込みつつ、最後に向かって収束していくのはお見事!というほかない感じでした。個人的にはハウルより面白かったです。

    もう一度ちかいうちに3→2→1→4の順番で読み直してみようと思います。

  • デイルマーク4部作最終巻。いままでのお話が見事につながって、素敵なラスト。ミットはかっこよくなったけど、モリルがあまり目立たなくてちょっと残念。後期のジョーンズ作品とはちがい、落ちついたファンタジー。

  • デイルマーク年代記の最終巻、これまでの三巻の登場人物が時間を超えて参集する完結編。とにかく素晴らしい出来。

  • 前作までがピタリとつながる。好印象だった人物と、悪印象だった人物が逆転現象。人間だもん。いろんな面を持ち合わせてるよね。それを表現できちゃうのがまたすごい。

  • (「BOOK」データベースより)
    “唯一の者”の娘ノレスを殺せ―女伯爵の命を受け旅立った親衛隊員ミットは、ノレスこそがデイルマークの真の女王となるべきことを知る。一方、現代の少女メイウェンは二百年前の世界に送り込まれ、ノレスとなってミットや詩人モリルらとともに王冠を探す旅に。が、彼女にしか聞こえない不思議な声が、何かを目論みメイウェンにささやく…。ファンタジイ四部作、ここに完結。

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著者プロフィール

1934-2011。英国のファンタジーの女王。映画『ハウルの動く城』の原作者。

「2020年 『徳間アニメ絵本39 アーヤと魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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