真実(ヴェリティ)の帰還 下<ファーシーアの一族> (創元推理文庫)
- 東京創元社 (2006年2月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488562069
作品紹介・あらすじ
リーガルの罠からフィッツを救ったのは、行方不明となっているヴェリティの圧倒的な"技"の力だった。"わがもとへ来よ"ヴェリティの呼びかけに、応えようとするフィッツ。一方、彼を捨てたはずの恋人は、密かに娘を産んでいた。このままでは自分の幼い娘が、後継者争いに巻き込まれる。フィッツは王を見つけ、六公国を救うことができるのか?三部作ついにクライマックス。
感想・レビュー・書評
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【ネタバレ有?】●さて、第三部の魅力は、旅シーンにもあり。
先には復讐のために、後には王を探すために、フィッツは長い旅をするのですが、この間の描写がよいです。旅小説です。
沿海部から内陸、はては山岳地帯へと旅をするために、彼はどうやって必要な装備を手に入れるか、どんな人間と行動を共にするか、移動と季節に伴う気候の変化に対してどう対応するか、等々。
私と致しましては、特に密輸業者と旅をするシーンがよろしいですね。
そうそう、そんな感じ、と思わされてしまう。(←輸送される旅人たちが適切な移動を行うために指示されて動く光景が、まさにああいう感じ。別に密輸業者と一緒にいた経験はないが。)
●あとは、今回初登場なのにいきなり馴染んでいるケトルに一票。
こういう頑固で偏屈な老婆はよろしいですな。
ナイトアイズ(※狼)と道化も、相変わらず基本をはずさず良し。
一方、王と王妃は、苦労がたたって、ちょっと性格が暗くなってしまいました・・・それもやむなし。
そして、第1部ではいい感じに爺さんだったシェイド☆ ・・・・・・あんたなにを若返っとるんだ!? ガクリ。 ●続編も翻訳されれば読むでしょう。と言うか翻訳して下さいお願いします。
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山の王国からヴェリティ帰還まで。
表紙はケトリッケンとヴェリティ?
この頃のフィッツは20歳。表紙の男はやや老けている。ひげもしっかり描いているし。手もなんだか少し銀色を帯びているような気もする。弓を持っているからケトリッケンは確定。フィッツは今までに何回も表紙になっているし。
シェイドはなぜヴェリティの剣に気づく??
ヴェリティが終盤にフィッツに剣を渡すのだが、続巻でシェイドがこの剣を「ヴェリティの剣」だと気づいて、フィッツが喜ぶというシーンがある。だが、この剣はヴェリティがフィッツにバックキープで手渡した剣とは違うもののはず。ヴェリティがドラゴンになる前に、フィッツに「以前に渡した剣はなくしたようだからこれをやろう」といって渡すもの。なぜシェイドがこの剣をヴェリティの剣だとわかったのか? フィッツもそれに普通に「よくわかったな」みたいに応えてるし。
1.鞘とか柄にヴェリティの紋章が入っている
2.以前にフィッツがヴェリティにもらった剣と勘違いした。
ヴェリティがフィッツに剣を渡す場面にシェイドはいたかな? 忘れてしまった。いないと思うけど。
リーガルを殺したのは誰?
口調からフィッツではないっぽい。シェイドなら普通に殺せるだろうが、殺すかどうかわからない。獣の描写があるから古き血族だろうか。リーガルは古き血族に散々にひどいことをしたから、その復讐だと考えるのはまあ自然。
フィッツが悲惨すぎる
モリーとブリッチ。もしや…とは思っていたが悲惨すぎる。
ヴェリティも悲惨ではないか。ケトリッケンも悲惨。
ドラゴンを目覚めさせるのは<気>?
血すなわち生命の力をそそぐのはわかる。だがなぜ<気>? 旧きものは<技>のエキスパートじゃなかったのか? どこからそういう発想がきたのか。ただ、技と気はまったく非なるものではないことがわかっている。ナイトアイズがドラゴンに思念を送れたように、やはり技なんだよなー。旧きものって気にも通じていたのか。気がない人はどうやってドラゴンを目覚めさせるのか。英知王とかヴェリティは気をもっていない、だからドラゴンを目覚めさせることができなかった。そして、自分でドラゴンをつくり生命を注いだ。うーむ。ドラゴンと気の関係ってどうなっているのだ。ドラゴンも獣だからかな? -
やっとこさ、読み終えた〜。くらい、くらいフィッツの物語。最後は国が救えて良かったね。って、みんな幸せにならないのね。
リーガルはアッサリ弱くなったし。
ちょっと物足りない。 -
フィッツが肉体的に痛めつけられることが多かったこれまでの話とはうって変わって、今度は精神的苦痛に耐え続ける旅。この旅の道中が、3部作通して、読むのが一番つらかった。同行者達は苛立ってるしぶつかるし、先は見えないし単調だし。
何故か、人生の真理を語るセリフが多かったような。
時を超えた幻想、不思議な力による「ワープ」、ドラゴン。ファンタジーっぽさが一気に増した。
終わり方は、、、登場人物たちにとって、これはハッピーエンドではない。でも、この話にはベストな終わり方だと思った。 -
2008年5月7日読了。
意外な終わり方でした。そうくるか〜〜〜!って思いました。
ヴェリティがなんか好きだ。あの生真面目で不器用な生き方好きだ〜と思ってたので、ちょっとショック。
でも、最後は彼にとってはやはり解放だったのかなぁとも思う。
かなり読み応えのあるシリーズでした。
久々に出会ったファンタジーの佳作です。 -
3部作それぞれ上下巻ある6冊の最終巻に当たります。ぐいぐい世界に引き込まれてしまう、読み応えのある作品です。ファンタジー読みなら必読ですよ!王家の影の存在として暗殺者の訓練を受けてきたフィッツがその成果を発揮!?一人で王国を横断、宮殿の奥に入り込んでリーガルに迫った後、今度は真の王ヴェリティの元へ駆けつけるため、追っ手をかわしながら山の王国へと渡ります。禁忌とされながらも今に伝わる「気」で繋がる人々や謎の「旧きもの」の存在もしだいに明らかに…!
リーガルの魔手を逃れて夫を探すヴェリティの妃ケトリッケンや、捨てられた城を守るペイシェンス、たくましく生き延びるモリー、吟遊詩人として名をなそうとするスターリングなど、女性達が皆りりしく生き生きとしていて、魅力的です。
毎回暗い出だしなんですが、そこでめげないで読んで下さい〜。
フィッツがよほど老いてからの回想かと思えるのですが〜違うんです!
独特な重厚感とスリル溢れるリアリティはなかなかのもの。
3作全体の相乗効果というか、この世界の濃さにどっぷり漬かっていた頭がまだぼーっとしております。
あちらでは15年後の続編が出ているとのこと!早く読みたいものです〜。