真実(ヴェリティ)の帰還 上<ファーシーアの一族> (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488562052

作品紹介・あらすじ

王位に野心を燃やすリーガルにとらえられたフィッツ。命はとりとめたが、払った犠牲はあまりに大きかった。一方バックキープでは、王は殺され、継ぎの王は行方知れず。身の危険を感じた継ぎの王妃は、間一髪でリーガルの魔手を逃れて旅立ったものの、従うは道化ただひとり。王位は簒奪者の手におちた。フィッツはリーガルに復讐すべく、狼を伴い単身内陸の地を目指すのだが…。

感想・レビュー・書評

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  • 墓から復活したフィッツ
    ブリッチとシェイドにいらだちをぶつける
    リーガル暗殺に行く
    吟遊詩人一家と出会う(フィッツはモテる
    古き血族と出会う(あんまり出番少ない
    リーガルの暗殺失敗
    ヴェリティに「来い」と<技>で伝えられる
    捕まったりする
    吟遊詩人スターリングと出会う(フィッツはモテる
    矢を背中に受けながらも山の王国にたどりつく

  • 『騎士の息子』、『帝王の陰謀』の続き、
    ファーシーアシリーズの最終部。

    ぬくぬくとした貴族・王族の生活から離れ、
    自分の運命を切り開く主人公。
    陰鬱な独白と地味な足取りの旅がひたすら続きます。

    下巻の後半からは
    ファンタジーそのものの流れと勢いと、
    これまでの地味に描かれていた人や国の設定がどんどん合流していって、
    読む手が止まりませんでした。

    ハッピーエンドを求める方は、
    『黄金の狩人』から始まる三部作を続きにどうぞ。

  • このシリーズも第3部目。読めば読むほど、主人公の苦難の道をともに歩んでいる感覚に陥ってくる。
    フィッツの苦労も文章量もお値段もどんどん増えていき、読むのにいろんな意味で重みが増してくるのだが、それでも読み進めずにはいられない。
    3部目はより一層、フィッツに困難が待ち構えている。2部でリーガルにとことん追い詰められ、1部や2部の仲間は助けてくれない。いや、絆を結んだ狼ナイトアイズが彼を支えてくれる。フィッツだけでなく、読者にもほっと一息つかせてくれる存在だ。
    読者も受難の道を歩まされ、なかなか先には進まさせてくれないのだが、最後の最後にやっと光が見えてきた。あぁ、下巻が早く読みたい。
    しかし、こんなに重いファンタジーを読んでると、ちょっとやそっとのものでは物足りなくなってしまいそう。

  • なんだか「アルジャーノンに花束を」を彷彿とさせる、もどかしい文章から始まり、人の感覚を取り戻して行く過程がまたもどかしい。そして壮絶な「親離れ」。フィッツの叫びはシェイドとブリッチを飛び越え作者に向けられているように感じてしまった(笑)。それほどにフィッツの辿ってきた人生は壮絶で過酷。ブリッチの語りには涙が出た。

  • 2008年4月27日読了。

    う〜〜〜ん。前巻に引き続き、あれでもかこれでもかと、フィッツに苦難が降りかかる巻。
    無事生きながらえたと思ったのに、その後も何度も何度も捕まるし・・・。頼みのヴェリティは帰ってこないし・・・どうなるんだ〜〜〜!と思ってたら、最後になんとか助け手のところまでたどり着いて、ほっとした。
    ナイトアイズとの心の絆がいいですね。人は裏切るけど動物は裏切らない・・・。
    フィッツが人間不信にならない事だけを願うのみ・・・。

  • 【ネタバレ有?】●『騎士の息子』『帝王の陰謀』に続く〈ファーシーアの一族〉三部作の完結編。
    不幸で不幸で、もひとつ不幸な主人公フィッツ君は、この完結編に至っても不幸なのでした。
    読み終わった後、人生って苦難の連続だよなあ、としみじみ思ってしまった。 ●継ぎの王の庶子として生まれたフィッツは、獣と心を通わせる〈気〉を持ち、一種の魔法である〈技〉も身につけ、祖父でもある王の暗殺者として訓練された身。
    そこだけ読むと、誰がどう見ても恵まれた身の上なのに、そうじゃないんだなこれが。
    獣と通じる能力は人々に忌まれ、決して世継ぎにはなれない庶子の血は野心家の叔父に憎悪され、恋人は彼から離れ、信じた人は「彼のためを思って、善意で」彼を裏切り、未熟な〈技〉は敵につけいられる隙となる始末。
    ぶっちゃけ某泰麒より不幸。
    一人称小説なので評価は下しにくいが、別に、主人公の性格は悪くないと思うんだけどなあ。
    頑固で意地っぱりで、内省しすぎた挙げ句、ひとつのことを思い定めたらそればっかりで、いささか視野狭窄になってしまうきらいもありますが、本質的に他人を思いやることのできる心根の持ち主だし、どっちかと言えば控えめであんまり出過ぎない。
    おおう、ちょっと眼鏡ボディーガード・アティカス君のようだな(笑)
    そんなフィッツ君には、やっぱり月並みな幸せは縁遠いのでした・・・ある意味、なんて現実的なオチのつくファンタジーだ。哀。〈続〉

  • ファーシーアの一族・3部作の最終作(上下巻)です。
    どう結末をつけるのか!?手に汗を握る感じでした。
    それが…… おお〜なるほどね!

    六公国を統べてきた王には3人の王子があり、長男はシヴァルリ、次男がヴェリティ、三男がリーガル。
    主人公はシヴァルリの庶子フィッツ。
    中途半端な立場で孤独を抱えたまま育った少年が何度となく危機に晒されて、思い詰めて無謀な行動に走る若者になっていきます。
    が、しだいに周りの人の深い思いに気づいていくあたりは、非常に良く描かれている作品です。

    王の次男ヴェリティ(真実)は兄の補佐となるべく育てられた誠実な人で、一族に伝わる遠視能力を駆使して、不気味な海賊「赤い船団」と戦います。
    決着をつけるためにヴェリティが伝説の「旧きもの」を探索しに赴いたまま消息を絶ったのをいいことに、三男のリーガルが王位を簒奪、都を内陸へ移すことに。
    フィッツはリーガルの拷問で命を落としかけ、ブリッチらの奇策で辛くも生き返ったものの、もはや公然と生きる道は閉ざされていました。
    リーガルへの復讐のために正体を隠しながら単身、内陸へ向かうフィッツ。
    この旅の途中の有様や出会う人々などの描写も面白いです。

    孤独な旅の間も、「気」で結ばれたかけがえのない相棒の狼ダークアイズはもちろん、大活躍。
    山の王国で変貌を遂げた王の道化との再会もあり、友情が深まります。
    上巻の表紙の美形はこの道化でしょう。苦難に晒されて面変わりしたフィッツ自身も元はすごい美形だったと明らかになります!?

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