時空旅行者の砂時計 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.81
  • (23)
  • (46)
  • (28)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 601
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488499211

作品紹介・あらすじ

瀕死の妻を救うために約60年前にタイムトラベルした加茂。妻を救うには彼女の祖先である竜泉家の人々を襲った『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止する必要があるのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして竜泉家の一族を呪いから解放できるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「竜泉家の呪い」
    竜泉太賀を筆頭とした竜泉家では多くの子孫が不可解な死によって、この世を去っている。その始まりは「死野の惨劇」から連なっており…。

    本作『時空旅行者の砂時計』の概要と感想になります。

    本作はSFとミステリを掛け合わせた本格SFミステリという部類の作品ですが、鍵となるのが小さな砂時計。主人公の加茂は竜泉家の末裔にあたる妻の伶奈の容態が回復せずに悩む中、突如掛かってきた不審な電話に導かれて58年前の竜泉家の別荘へ時空移動する。そこで起きる「死野の惨劇」を食い止め、「竜泉家の呪い」を解くことが伶奈の未来を救えると加茂は意気込むのだが…。

    乾くるみさんの『リピート』に少し似たSF要素でしたがイヤミスではなく、次回作の余韻ありで楽しめました。単行本で既刊の続編も来年1月と5月に文庫化とのことで、また竜泉家の謎を楽しもうと思います♪

  • 時空旅行者の砂時計という題名、ストレートな感じであるが、中身はどうだろう。プロローグでマスター・ホラは語り部であると書いていて、直球なところが、一層怪しく期待が持てる。タイムリープということはファンタジーであり、内容はミステリーだろう。

    2018年を生きる加茂冬馬はタイムリープにより1960年に飛ぶ。その背景(妻伶奈の家系)から本格ミステリーの要素が香ってくる。
    妻の「竜泉家の呪い」を解くことはできるのだろうか?

    ストーリーは一見平凡だが、本格ミステリーと言える内容だ。それは謎が謎を呼び、論理的に組み立てられた構成がそう思わせているのかもしれない。後半に入ると、益々ページを捲る速度が上がる。マスター・ホラは何者かも・・・。

    終盤はマスター・ホラからの挑戦状もある。犯人は誰か?それは、なぜ犯罪を犯したのか?が読み解く鍵になる。
    論理的に思考を巡らせれば、ある程度結末が見えてくる。その楽しさは秀逸である。
    加茂の妻を思う強い気持ちも心地よい後味を残した。

  • 案内人“マイスター・ホラ”に導かれ、加茂冬真は2018年から1960年へとタイムトラベルをした。妻の死を食い止めるには、彼女の祖先を襲った惨劇を回避する必要があるらしく──。

    1960年に竜泉(りゅうぜん)家の別荘で発生した事件『死野の惨劇』。当主・太賀の孫である文香(あやか)が綴った日記には殺人事件のことが記されていた。別荘にいた竜泉家の一族は最終的に土砂崩れで全滅して真相は闇の中へ。日記も土砂の下から発見されたものだった。竜泉家の血筋は妻の祖母・文乃が難を逃れたため途絶えることはなかった。だが、その事件に端を発した竜泉家の一族を襲う『呪い』。不可解な死を止めるには、惨劇の謎を解かねばならない──時を超えるSFミステリ!

    タイムトラベル×館ミステリ×クローズドサークル×呪われた一族×見立て殺人。
    おいしいところ全部乗せのデカ盛りミステリでありながら、それを大きな矛盾なく整頓してまとめ上げる構成力に唸らざるを得ない。SFという何でもありになりがちなものにルールを徹底させ、フェアな特殊設定ミステリとして組み上げるロジックが気持ちいい。読者への挑戦もあるので自信のある方はぜひ。ぼくの正答率は30%くらいかなあ…。手がかり自体はわかりやすい。そのピースをSF設定込みで当てはめる力が要求される難しさがある。

    ミステリはもちろん、SF設定やギミックもかなり凝っていて面白かった。タイムトラベルという手段があっても、逃れられぬその血の運命というものがあるのかもしれない。ただ、難点としてはSF設定に呪われた一族に不可能犯罪という情報量の多さ!人物リスト、家系図、地図は用意されているとはいえ、覚えることが多いッ!となる。呪われた一族のあるあるも実装されているが、人間ドラマやキャラの個性が設定の濃さに比べて薄味になっているのは否めない。ラストがスッキリして終わっただけに惜しい(ご都合主義かもだけど、あの終わり方でいいと思う)。

  • 図書館で単行本を読み、気に入ったので文庫本を購入。初回は展開が気になり先に先にと読み進めてしまったので今度はじっくりと読破。
    屋敷の間取りもキチンと頭に入って読めました。
    竜泉家は三部作らしいので次の話も読みたいと思います。

  • 加茂は妻の伶奈の命を救う為
    マイスター·ホラの声に導かれて
    2018年から1960年にタイムトラベルをする
    伶奈の祖先の竜泉家の人々を
    「死野の惨劇」から救うため立ち上がる

    数多い登場人物と数あるアリバイの証言
    タイムトラベルの仕組み
    付箋に書いていきながら読んでみた
    真犯人2人までは絞れたけれど
    正解まではたどり着けなかった

    王道ミステリーにSF要素がプラスされて
    不思議な読後感だった

  • 特殊設定ミステリの傑作。タイムトラベルとミステリの融合で、トリックやアリバイにタイムトラベルが活用されるという発明がある。
    竜泉家シリーズの第一作で、妻の死を回避するため、主人公は過去にタイムトラベルし、ある殺人事件の謎に挑むことになる。
    積み重ねられたロジックと、特殊なタイムトラベルという要素が相まって予想できない解決にたどり着くわけだが、これがフェアに作品としておさまっているのがすごい。
    ミステリの発展ってまだまだ余白があって、こんなにも楽しめるものなんだな。

  • マメムさんにお勧めしていただき読みました。

    タイムトラベルで、クローズドサークルミステリーで、屋敷の見取り図あったり、地図があったり、家系図あったりで、そして見立て殺人か!?という展開に、ワクワクしながら読みました。

    じっくりと読んだつもりだったのですが、鮮やかなトリックに驚かされました。

    • マメムさん
      初コメです。
      読了お疲れ様でした。終わり方含めてスッキリした読後感でしたら嬉しいです♪
      初コメです。
      読了お疲れ様でした。終わり方含めてスッキリした読後感でしたら嬉しいです♪
      2023/11/20
    • さえさん
      ご紹介ありがとうございました。エピローグがとてもよかったですね。
      三部作の二作目、三作目も読みたいと思います!
      ご紹介ありがとうございました。エピローグがとてもよかったですね。
      三部作の二作目、三作目も読みたいと思います!
      2023/11/20
    • マメムさん
      さえさん、お返事ありがとうございます。
      私も竜泉家を追いかけていこうと思います!!
      さえさん、お返事ありがとうございます。
      私も竜泉家を追いかけていこうと思います!!
      2023/11/20
  • 複雑な設定があるのに、期間が開きながら読んだことで少し手こずりました。

    設定にタイムトラベルが用いられているので、SFですが、その設定が丁寧に説明され、何度も推理にパートで検証されるので、良いミステリー読書体験でした。

    まず、妻の命を救うため過去の事件解決に乗り出すという舞台設定が面白い!随所に伏線が散りばめられ(伏線だな?と分かりやすい)、それらが緻密に回収されていきます。

    そして、エピローグの余韻が素晴らしい。後日談をもう少しみたかった。

    • マメムさん
      初コメです。
      特殊設定ミステリであるが故に読者をミスリードさせてくる所も含めて面白いですよね。次回作の文庫発売が楽しみです^_^
      初コメです。
      特殊設定ミステリであるが故に読者をミスリードさせてくる所も含めて面白いですよね。次回作の文庫発売が楽しみです^_^
      2023/11/13
  • 初めてのタイムワープ?ミステリー面白いです

  • 瀕死の妻を救うために約60年前にタイムトラベルした加茂。妻を救うには彼女の祖先である竜泉家の人々を襲った『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止する必要があるのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして竜泉家の一族を呪いから解放できるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。



    タイムトラベルをして事件を解決するなんて、なんだか新しい気がする。それも未解決の事件を自分が行って愛する妻のためとはいえ、名探偵するなんて…私には無理だと思った。そんな頭ないです。


    しかし、クローズドサークルになってしまった別荘で、少し不可能犯罪的な感じで次々に事件が起こる。読んでいるうちに、マジで犯人は誰なのよと気になって気になって仕方なかった。


    この一族、かなりごちゃごちゃしてるかんじがして、途中から誰がどういう関係か分からなくなってしまうときがあった。そして、月彦がすごい嫌なやつだったなぁ。そりゃ、太賀さんも少し差別するわなぁと思った。月恵ちゃんが告白した過去の話を聞いても月彦らしいというか、嫌なやつをすごい増してた。


    犯人はまさかの人だった。いやぁ、彼の生い立ちは可哀想だった。そして、元の時代に戻った加茂さんに、幸せが待っていて良かったし、文香ちゃん少しハードル上げすぎじゃない??って思ったし、なんだか良かった良かったとなった。


    なんだか次に続きそうなかんじで終わったけど、やはり続くぽい。そちらも読んでみようかな。


    2024.2.18 読了

全32件中 1 - 10件を表示

方丈貴恵の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
夕木 春央
夕木 春央
凪良 ゆう
雨穴
井上 真偽
呉 勝浩
知念 実希人
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×