巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451110

作品紹介・あらすじ

ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐内先輩が拉致されました!」「えっ、また?」お待たせしました、日々つつましく小市民を目指す、あの互恵関係のふたりが帰ってきます。人気シリーズ11年ぶりの最新刊、書き下ろし「花府シュークリームの謎」を含めた番外短編集。四編収録。

感想・レビュー・書評

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  • 4篇ともお菓子に関する謎解きなのだが、人間心理や状況に対する小鳩くんと小佐内さんの推理の組み立てが凄い。まいっちゃうなあという感じ。今回は小佐内さんのえぐさがそんなには出ていないなあ。ちょっと義理堅い所もある?いやいや油断していたら足元をすくわれるよ。

  • このシリーズ自体読んだのが、
    ここ1年以内なのでピンときてませんでしたが、
    11年ぶりの新刊だったんですね!

    前作からほぼ地続きで読みましたが、
    2人の感じ、良い意味で何にも変わってない!

    この2人にまた会いたいなぁ。

  • 小市民シリーズ第4弾。
    常悟朗と小佐内さんの小市民を目指すための物語の短編集。今回は今までの3巻の幕間に近い物語で、時系列も飛び飛びとなっている。最初の『巴里マカロンの謎』で出会った古城秋桜との物語が軸になっており、それにまつわる話が展開されていく。今回も日常の謎を扱いつつ、ダレることなく推理が行われていてとても面白かったです。二人の関係性も3つの長編を挟んでいるからか信頼感が読み進める内に高まっているので前長編3編を読んでからこの作品を読むとより楽しめる作品になっていると思います。

    それぞれの短編のレビュー
    『巴里マカロンの謎』
    古城秋桜との最初の出会いとなった作品。指輪がマカロンに入っているというのと古城秋桜と春臣との関係性を考えてまさか...と思ったらやはりそう言うことだったのか。なかなかこの子は強かだなぁという印象だった。

    『紐育チーズケーキの謎』
    礼智中学の文化祭に招待された常悟朗とゆきがそこで起きた事件の謎を解き明かす話。2度目の拉致に私も「またか」という感想だったが、常悟朗もだったかと。チーズケーキの作り方がヒントになるとは思わなかった。伏線も上手く回収されていてとても気持ち良いです。

    『伯林あげぱんの謎』
    まさかの最初に答えがあったとは...。あげぱんでロシアンルーレットをしようとしてた新聞部には「当たり」が入っていなかった。だれもが容疑者っぽいのに誰も嘘を言っているように聞こえる。そして誰も「当たり」を食べていないというオチが面白かった。そして、最初の部分を読むと...あぁそういうことだったのかと納得できるとうになっているのが面白かった。

    『花府シュークリームの謎』
    古城秋桜が未成年飲酒の罰で停学になってしまうという話。
    これも最初のなんと言うこともない描写が伏線になっていて上手いなぁと思った。
    まさかの秋桜の義母が登場。娘に対する愛情があるのかないのかが分からない所がとてもリアルだと感じた。そして最後のゆきの秋桜に対する印象がとても良かった。そうなって欲しいと私も思いました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    小鳩常悟朗:福山潤
    小佐内ゆき:黒沢ともよ
    堂島健吾:日野聡
    門地穣治:河西健吾
    古城秋桜:石見舞菜香
    田坂瑠璃子:中原麻衣

  • 連作短編集。

    11年ぶりの小市民シリーズ新刊ということに、まず軽く驚き。

    「伯林あげぱんの謎」が、一番おもしろかった。

    小鳩君が謎と向き合うときに、小山内さんがいないという、例外的展開。
    オチもたのしく、にやりとしてしまう。

    日常の謎だけれど、「花府シュークリームの謎」は特に悪意がちらつき、苦い読後感。

  • 過去の苦い経験から小市民を目指して協力関係を結ぶ小鳩君と小山内さんのシリーズ新作!11年ぶり!という事で前作までの記憶は吹っ飛んだまま読みましたが大丈夫でした。小山内さんにだけ一つ多く運ばれたマカロン。文化祭中の校庭で消えたCD。新聞部の記事の為に用意された辛い揚げパンを誰も食べていない不思議。前の話で知り合った秋桜ちゃんは何故覚えのない理由で停学を言い渡されたのか?といった日常の謎が推論の積み重ねで一つの解に達する過程が楽しく綺麗。話の構成は揚げパンが特に好み。最後の締めににやり。最後の停学の話の締めが最初の話に絡んでいるのもいい。始めは二人が大人しめだけど徐々に本性が漏れ出す(特に小山内さん)のがあー、こうだったなと懐かしくなった。

  • 「そう、小鳩くんはこしあんなのね。わたしたちがもう少し親しかったら、シェアをお願いするところよ」

    友人関係ではない、恋人関係でもない、互恵関係なふたりの日常ミステリ、小市民シリーズ待望の第4巻。四篇収録の中編集です。

    互恵とは、それぞれが心に誓ったことを破らないためにお互いを見張り合い、また誓いを脅かす厄介ごとからお互いの身を守り合うこと、です。

    手掛かりはすべて作中に提示される類のフェアなミステリ小説ですが、面白くてページをめくる手が止まらないので謎を解くヒマが無いのが難点。
    ふたりの関係性がなんか可愛くてですね。
    発売日に買ったのに他の本に押されて今頃までかかってしまった。
    タイトルが「冬季限定」でないのはなぜだろう。

      パリ
    ①巴里マカロンの秘密
    (小佐内さん待望の)パティスリー新規出店に出向いたふたりが、ちょっと目を離したすきに一つ増えてしまった皿の上のマカロンの謎を解くお話。

    ニューヨーク
    ②紐育チーズケーキの謎     コスモス
    マカロン事件で知り合った中学生、秋桜に誘われて文化祭へ出かけたふたり。
    突然小佐内さんがさらわれてしまった(また)!さらわれた小佐内さんはどこに?誘拐犯が探していたCDはどこへ消えてしまったのか?チーズケーキは別に謎じゃないのね!

     ベルリン
    ③伯林あげぱんの謎
    新聞部が、記事のために自分たちで食べたロシアンルーレットあげぱん(一つだけ超辛い)。しかし部員の誰もが、当たりを引かなかったと言い張っている。
    誰かが嘘をついているのか、それとも…?
    冒頭、小佐内さんが涙を浮かべているシーンが、儚くてかわいくて、心情を想像すると可哀そうで、でもふふっと微笑んでしまうような印象的な場面でした。

    フィレンツェ
    ④花府シュークリームの謎
    秋桜が、無実の罪で停学になったとのSOSを小佐内さんに送ってきた。ふたりは彼女の無実を証明しようとする。解決はややビター。シュークリームも別に謎じゃなかったね…。


    というお話でした。
    一番謎解きっぽくて面白かったのはあげぱんでした。
    小鳩君と一緒に考えながら読みました。
    ミステリ作家って、米澤穂信以外は追いかけてないんだけども、日常の謎モノはもうちょっと読んでみたいとずっと思ってます。

    あれ、小佐内さんが復讐しなかったですね。だから限定じゃなかったんでしょうか。秋季限定読んだの11年前だから、全部復讐してたかどうか忘れちゃったけど…。

    パリ・ニューヨーク・ベルリンは読めたし変換できるけど、フィレンツェ花府は読めないし変換も出来ないよ!…と思ったら検索範囲内では出てこないな花府。英名フローレンスからの造語かしらん。

  • 春、夏、秋ときて、冬はないの?と思っていたら、お久しぶりの“小市民”は世界各地のスイーツが登場。

    相変わらずの不思議な距離感を保ち続けるふたり。
    今回は、小佐内さんがこれまでになくチャーミングでした。
    泣き顔という珍しいシーンが見られたり、意外なほどに古城さんに優しかったり、ラストでお菓子に囲まれて、ただめちゃくちゃ幸せそうだったり。

    小鳩くん、次作では今度はキミが格好いいところを披露できるとイイね。

  • 四編収録の『小市民』シリーズ最新作。出てくるスイーツはとても甘くて美味しそうだけれども、扱う事件は結構ビターです❗

    時系列としては、『春期限定』と『秋期限定』の間の話しらしいので、『夏期限定』以降程の小佐内さんのブラックさは感じられませんでしたが、個人的にはこれ位に止めて欲しい気がします❗

    好きな話しは、『伯林あげぱんの謎』です♫十一年振りの新作ということですが、次回作はもう少し早くあのふたりに会いたいです❗

  • 前回私がこのシリーズを読んだのが6年前。
    当時の自分の感想を読んでも、
    正直思い出せないくらいだ。
    だがこの本は番外編で短編集なので、
    何となく関係性を思い出しながら読んでみた。

    スイーツ大好き小山内さんと、
    小市民を目指す小鳩くんのちょっとした推理。
    それぞれの話に美味しそうなスイーツが
    絡んできて、スイーツが食べたくなる。
    最初の話は少しモヤっとしたけれど、
    それも最後の話で丸く収まって読了感は良い。

    本編は秋季限定で終わっているシリーズ。
    この一冊が冬季限定になるのか、
    はたまた、ただの番外編なのか。
    私としては改めて冬季限定が読みたいなと思う。

  •  11年ぶりの小市民シリーズということに驚いたが、その作品が「冬」でないことにもっと驚いた。まぁ、確かに本作では「冬」と題するには小品すぎるので、幕間ということで納得はするものの早く「冬」が読みたい。
     ということで、本作であるが古城秋桜絡みの事件3篇と伯林あげぱんの話の4編で構成されている。ミステリ的にはあげぱんがベスト。小鳩・小山内の関係性の面白さは古城がらみの3編という感じだろうか。あげぱんは推理していく過程の面白さは当然だが、手掛かりの提示し方がうまい。読みながら「なるほど」とか「これだな、きっと」などとつぶやいてしまうほどだ。しかし、こんなことがきちんとミステリとして成り立ってしまう舞台作りがよくできている。小市民シリーズ早くつづきが読みたい。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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