暗黒の羊 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488448141

作品紹介・あらすじ

轢き逃げや通り魔事件の動画をSNSにアップしたことから死の女神と崇められ、過激な動画の投稿がやめられなくなり、事故現場を追い求める女。仲間外れの黒い羊になることを恐れ、仲間の死を願う女子高校生など、年齢も育ちも違う羊たちの運命が交錯し、そして絡み合う。その影に蠢くのは、羊目の女なのか。かつて真行寺姉妹が殺し合ったという、いわくつきの洋館で、羊目の女に殺したい人間の名前を三度唱えると……。『強欲な羊』の恐怖ふたたび。

感想・レビュー・書評

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  • 轢き逃げや通り魔、火事などの動画をSNSにアップしたことで、「死の女神」と崇められて過激な動画投稿がやめられなくなってゆく女。家にいる男は夫ではないと怯える妻に困惑する隣人など、悪意に満ちた連作短編集。


    前作『強欲な羊』に続くシリーズとのことで、前作の登場人物なども登場しているそうですが、なにぶん前作を読んだのがかなり前なのでいまいち記憶が曖昧です。やっぱり読み直してから読めばよかったかもしれない。いつも同じようなこと言ってますね。
    前作を読んでおくとより面白いのでしょうが、一応こちらの一冊だけでも十分楽しめます。
    ミステリでもありますが、どちらかというとサイコホラー。
    いじめや狂愛、過剰な承認欲求など、様々な人の……特に女性の心の闇・恐ろしさが全五話の収録作品で十二分に楽しめます。
    大人しく、従順、どちらかというと善の印象を抱かせる「羊」。その羊になぞらえられた女性たちがが見せる邪悪さは、そんなギャップもあり余計恐ろしく見えます。

    個人的には、過激なSNS投稿に取りつかれた女性の話『炎上する羊』の、一歩間違ったらどこにでもありそうなメンタリティと承認欲求のリアルな感じが好きです。


    ***
    収録作品の『不寛容な羊』が好きだったな方にはこの本もおすすめ↓
    『この闇と光』(角川文庫) /服部 まゆみ

  •  オーディブルでとても面白く聴いたが、もう一度聴きたいとは思いません。

  • 「.....すべては、因果でつながっている」

    これだけ練り込まれた短編連作集には、そうそうお目にかかれない。前作必読! 悍ましいまでの恐怖、悪意、狂気...。某事件もモチーフに。今回も、ものの見事にやられました! 羊目の女が現れぬように、うん、善因を積もう!

  • いやミスになるのだろうけど、あまりカウンターは食らわず。
    物語をもう一度整理して読み直したいかな。

  • 2022年5月13日読了。

    『炎上する羊』
    田中信隆とその妻・穂乃花はドライブの最中に偶然、轢き逃げ現場に遭遇する。
    穂乃花がたまたま撮影していた動画に犯人の顔とナンバープレートが映っていた事で犯人逮捕も時間の問題だと思われたが、盗難車であった為捜査は難航。
    そんな中、穂乃花が自身のSNSにその動画をアップしていた事に信隆は唖然とする。
    その動画には轢き逃げによって亡くなった女子高生も映っているのである。
    その動画を見て不快になる人や遺族の方が動画を見てどんな気持ちになるかと説得を試みるが、その動画へ犯人に見覚えがあるとコメントが寄せられた事によって、犯人逮捕へ繋がる。
    ネット上で『死の女神』と呼ばれるようになった穂乃花の行動は次第にエスカレートしていく…

    『暗黒の羊』
    昔、美人姉妹による殺し合いがあったとされる古い廃洋館での都市伝説。
    洋館の中にある六角形の部屋に入り、「羊目さん、私はあなたの生贄です。どうぞお受け取りください」と3回繰り返すと羊の目をした女が現れる。
    その女に捕まる前に「私の身代わりの羊は、○○です」と殺したい相手の名前を3回唱えれば、羊目の女が始末してくれるというもの。

    かつて自分の事をイジめていた女を殺したい。
    自分を拉致した犯人を殺したい。
    兄へのストーカー行為をする女を殺したい。
    互いに殺したい相手がいる美月・夢・玖理子の女子高生3人は、噂通り廃洋館で羊目さんを呼び出す事に…

    『病んだ羊、あるいは狡猾な羊』
    ある日、マンションの一室に越してきたばかりの女性のもとに「知らない男が家の中にいる!」と助けを求めてきた隣人の女性。
    その部屋から出てきた男性は、その女性の旦那だと言い張る。
    妻は『妄想性人物誤認症候群』という病気で身近な人が偽物に入れ替わっていると思い込んでしまう病なのだという。
    しかし、その女性の怯えようは尋常ではなく嘘をついている様子もない。
    本当のことを言っているのはどちらなのか…

    『不寛容な羊』
    雪山で遭難しかけていた男が発見した一件の小屋。
    そこには1人の老人と、娘ほども歳の離れた女が3人。そして幼い女児が1人…。
    関係性の分からない人々を見ているうちに、これは老人による監禁事件なのではないかと疑い始める男。
    探り始めるうちに意外な事実が…

    『因果な羊』
    17年前に、廃洋館で羊目の女を呼び出した過去がある女性達がまたもその地に足を踏み入れていた。
    その一人の女性がこの廃洋館を買い取ると言い出す。
    その理由は…


    前作『強欲な羊』から8年越しの続篇。
    前作との繋がりもあるということで、あまり間隔を空けずに読んだ。
    『強欲の羊』以上に巧みな連作短編集となっていて、全ての話の登場人物が緻密に繋がりあっていた。
    自分の中では連作短編集と言えば伊坂幸太郎氏のイメージを抱いていたが、この『羊』シリーズはなんとも見事な連作となっていて美輪和音氏の筆力に脱帽。
    ラストが気になる終わり方だったので、続編があるのか無いのか何とも言えないが、あれば是非読みたいシリーズです。

  • 前作に引き続き、どんよりした気持ちにさせる連作短編集。
    決して後味はよくない。
    でもミステリーとしては面白いので、イヤだなーと思いながらページをめくっている。
    人間の恐ろしさというか暗黒面を引きずり出すようなストーリーを読んでいると、認めたくないけどドキッとする瞬間がある。

  • 『病んだ羊、あるいは滑稽な羊』の気持ち悪さ…
    読み進めるのが苦痛に感じるほど気持ち悪く、、、
     
    『不寛容な羊』はあれ?って思っていたら
    まさかそんな…となって。
     
    それにしても人間は嫌な生き物だ…( ´ • ·̫ • ` )

  • 前作に続き面白かったが、オーディブルで聴いたため、なかなか登場人物の名前が覚えられず若干苦戦。

  • 前作よりも話の繋がりがわかりやすかった。前作を読んでから読んだ方が絶対楽しめます。

  • 前作「強欲な羊」はホラー要素強めだったけど、今作はサイコ・サスペンス強め。
    「不寛容な羊」が凄く良い。

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