手/ヴァランダーの世界 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209230

作品紹介・あらすじ

田舎で暮らしたいと思っていたヴァランダーは、同僚に紹介された物件の裏庭で、地面から人間の手の骨が突き出しているのを見つけてしまう。地面の下には骸骨と衣服の残りが埋まっていた。ヴァランダーは家の過去の持ち主に遡って調べ始めるが……。書店でのキャンペーン特典用に書き下ろされた短編「手」と、マンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した「ヴァランダーの世界」を併録。シリーズファンなら絶対見逃せない一冊!

感想・レビュー・書評

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  • ヘニング・マンケル『手/ヴァランダーの世界』創元推理文庫。

    ヴァランダー・シリーズの書店でのキャンペーン特典用に書き下ろされた短編『手』と、ヘニング・マンケル自身によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した『ヴァランダーの世界』を併録したファン・ブック、或いはヴァランダー大全と言えるような作品になっている。

    『手』。販売促進用の短編ということで、気を許していたら、スリルとサスペンスにあふれた一連のシリーズ作品と同じレベルの作品に仕上がっていた。ある日の休日、ヴァランダーが同僚に紹介された古い家屋の物件を見に行くと何かに躓き、よく見るとそれは人間の手の骨であることに気付く。ベテラン刑事のヴァランダーが歩けば事件に当たるのだ。やがて、そこから白骨化した古い遺体が発掘され、白骨遺体は女性のものと判定される。ヴァランダーは古い家屋の過去の持ち主まで遡り、古い遺体の調査を行う。

    シリーズ最終巻の『苦悩する男』よりも前にオランダで出版された作品。ヴァランダー・シリーズは本作が本当に最後の刊行になるようだ。

    『ヴァランダーの世界』。ヘニング・マンケル自身によるシリーズ各巻の解説、登場人物索引、地名索引、ヴァランダーの好きなもの、文化索引などが詳しく書かれており、ヴァランダー大全といった造りになっている。

    人間味あふれるヴァランダー刑事の魅力が詰まった作品。個人的にはこのシリーズはスウェーデンのハリー・ボッシュ・シリーズだと思っている。

    最後にシリーズ全作品を翻訳してくれた柳沢由美子さんに感謝したい。

    本体価格1,300円
    ★★★★★

  • 【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』 - 杉江松恋|WEB本の雑誌
    https://www.webdoku.jp/newshz/sugie/2021/07/22/131032.html

    手/ヴァランダーの世界 - ヘニング・マンケル/柳沢由実子 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488209230


  •  ヴァランダーシリーズ、本当に最後の一冊。
     収録作の『手』は、オランダブックフェアの読者プレゼント用として発表された中篇。田舎に戸建ての家を欲しいと、同僚から紹介された物件を見にきたヴァランダーが庭で発見したものは、手の骨だった。一体誰なのか?はるか遠い過去に遡る捜査が開始される。

     何と言っても本書のお勧めは、マンケル本人による作品紹介、登場人物、地名等を網羅した「ヴァランダーの世界」。ファンが作るようなものを、作者自らが作成しているのが、スゴすぎる。

     この「世界」を手元に置いて、シリーズ一作目から順を追って、また読んでいきたいものだ。

  • マンケル自身が書いた、ヴァランダーものに出てくる地名、人物索引があるというので購入。さらにヴァランダーものの作品全部の導入が書かれている。さすが作者の書く紹介文、作品の目の付け所がかかれている、うまい。プラス短編「手」がある。これがおもしろい、とてもよかった。

    「手」
    田舎に住みたいヴァランダー、紹介された家に見に行くと、なんと庭から人間の手の骨が突き出ていた。手は前の住人、その先の住人と調べていくと出て来た秘められた出来事。第二次世界大戦の影が見える。

    ヴァランダーの紹介文になると、「どちらが犯人でどちらが犠牲者かはとうてい言えるものではなかった。」と締めくくる。

    2004,2013
    2021.6.18初版

  • 表題作も素晴らしい出来栄えやけど、索引が凄すぎる。読み継がれてほしいな。

  • 正真正銘、最後のヴァランダー刑事シリーズ。中編の「手」はテンポも良く面白かった。作者からのヴァランダーシリーズについてのエッセイは、読んで良かった。彼がなぜヴァランダーシリーズをあのように終わらせたか少し分かった。思ったより引きずってしまっていたので、何とかケリが付けられそうだ。また時間が出来たら、一から読もう。

  • 素晴らしい作品をありがとうございました

  • 「クルト・ヴァランダー」シリーズ。今作で最後。一番好きなシリーズもので思い入れも強い。今作は中編が一編とシリーズの索引、著者の解説がついている。表題作はいつもながらの地道な捜査、ヴァランダーの頑固さ、不器用さ、怒りっぽさが出ている。娘とのやりとり、同僚との捜査と特別何かがあるわけではないけれど引き込まれてしまうのがこのシリーズ。もう新作が読めないのが残念。これからもシリーズを通して何度も読み返す作品だと思う。

  • 刑事ヴァランダーのシリーズは面白かったけど、
    舞台解説が読みたいほど冊数無かったよ…(/_;)
    係わった事件の落穂拾い的な短編集が読めるものだと勘違いしていたので
    一作だけでガッカリ

  •  ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダーシリーズ最終巻。といっても長編は「苦悩する男」で終わっており、そこにはヴァランダーの生涯の最後が書かれているので、ここに収められている表題作は別途書かれていたものの新収録という体裁だ。その最終発表作が文庫判450頁のうち150頁ほど。残りの2/3は著者による覚え書きと詳細な人物、地名索引からなっている。それはそれで価値のあるものではあるが、ずらっと並んだもうほとんど忘れている過去作の人物名や地名をみても仕方ないという気もする。表題作の方は幕間の余興ていどのものであり、久々にヴァランダーに会えたという懐かしさ以上のものではない。なんにせよこれで終わりというのはさびしい。

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