そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488173050

作品紹介・あらすじ

空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 運命的な出会いを果たしたテッド&リリー。男は女に酒の肴として妻ミランダの殺害願望話を提供。
    何故か乗り気のリリー。
    リリーは一体何者で何を抱え何を思い、何故テッドの妻ミランダ殺害に手を貸すのか。ミランダの行動は単なる不貞行為、テッドとの愛が冷めブラッドを愛した 果たしてそれだけなのだろうか。
    テッドとブラッド メンズサイドの欲求を満たしたいだけの行動が問題を引き起こし利用され、それに対して懲りずまた欲求を満たそうとして破滅する滑稽な姿を見届け、ヒューマンストーリーを想像したが、良い意味で期待を裏切ってくれた。

    単調では無いこの作品。読者にこのプランでいきます、と大まかな道筋を見せ信頼させ助手席に座らせといて、その高速並に単調な景色に飽きてきた頃急ハンドルを切ってガードレール突破な破天荒構築。
    スピード感がある訳では無いのだが、着地点の見えない荒道に興奮し後半は一気読みだった。

    強いて言えば、伏線があまり機能していないのが残念。リリーの過去やその家族構築、ミランダ母のかさ増し物語。刑事含めメンズ側の鼻の下を伸ばす体操のお時間。等々。
    点と線が繋がりボルテージ最高潮ド派手な幕引きとはいかない静かな着地点は味わい深いのだが少し物足りない気もしてしまう。

    とは言え、行動力と思考がずば抜けたこの頭脳派殺人物語を心の底から楽しみました。自作も楽しみです。

  • 痴話喧嘩的な話と登場人物達が嫌な人達で魅力感じられずなかなか進まなかったが、半分過ぎた辺りから嫌な人達の仕返し合戦みたいなのが逆に面白くなりやっとスイッチが入った。やっぱり好きなタイプの話じゃないけどオチはよかった。

  • 日本人はもっと魚を食べるべきだと思うんです(土瓶さんへの挑戦状)

    ノースウエスト航空の黒い髪の背の高いヒスパニック系美女のキャビンアテンダントに「ビーフオアチキンオアフィッシュ?」と聞かれたら食い気味に「フィッシュ!」と高らかに宣言してほしいんです

    そもそも戦後の欧米化により食肉文化が浸透することで徐々に日本人らしさというものが薄れていったこと、またそれがアメリカの陰謀だということはすでに皆さんもご存知かと思います
    つまりは日本人が日本人らしさを取り戻すには魚をもっと食べないといかんということなんですよ!(強い口調で押し切る)

    そして魚料理といばより日本人らしい煮付けをおすすめしたい
    そして魚の煮付けといえば100人の日本人に聞けば120人が一番好きと答えるカレイの煮付けですよね
    そのレシピはまずお鍋に水と調味料を入れてひと煮立ちさせます
    調味料は砂糖『そしてみりん酒醤油』なんちて(長いわ!)

    さて『そしてミランダを殺す』です

    いやぁちょっと売り口上で煽りすぎです
    全てにおいて予想の範囲内かな〜っていうね
    そこまで「やられた!」って感じはなかったかな?
    後半畳みかけるところもなんか落ち着いちゃってスピード感に欠けました
    また、いちいちそれぞれのキャラクターたちの行動の理由付けが希薄なんですよね
    サイコな方に振り切る訳でもなくなく
    え?そんな理由でそうなる?ってのが多すぎるんですね
    そんな中途半端ならぜんぜん理解できない!に振り切っちゃったほうが良かったかな?と思いました

    • ひまわりめろんさん
      うぐぐぎぐぎぐぐ

      このダジャレはミランダからみりんへの変換が肝なのは君が読み切った通りだよ
      悔しいが君の実力を認めないわけにはいくまい
      本...
      うぐぐぎぐぎぐぐ

      このダジャレはミランダからみりんへの変換が肝なのは君が読み切った通りだよ
      悔しいが君の実力を認めないわけにはいくまい
      本来なら私の負けと言いたいところだが今回は君のその謙虚さに敬意を表してドローということにさせてもらう
      だがこれで終わりではないぞ!また会おう土瓶君!

      はーハッハッハ、はーハッハッハッハ

      えっと、ミランダって誰でしたっけ?(笑)
      2022/05/21
    • 土瓶さん
      ひまわりめろんさん、こんばんはー。
       
      すいません。事後報告です。
      おびのりさんをご存じでしょうか?
      実は、おびのりさんの「少年と犬...
      ひまわりめろんさん、こんばんはー。
       
      すいません。事後報告です。
      おびのりさんをご存じでしょうか?
      実は、おびのりさんの「少年と犬」(馳星周)のレビューで、我々の灼熱のバトルのことを紹介してしまいました。
       
      よろしければご一読を。
      「涙活」なるものもご参加いかがでしょう。
      2022/05/23
    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん
      おはようございます

      おびのりさんは以前からフォローさせて頂いてましたよ
      ご挨拶はまだだったと思うのでちよっと覗いてきますね〜ん
      土瓶さん
      おはようございます

      おびのりさんは以前からフォローさせて頂いてましたよ
      ご挨拶はまだだったと思うのでちよっと覗いてきますね〜ん
      2022/05/24
  • 下品な人間関係が交錯するアメリカンクライムミステリー。高品質な海外ミステリーが体験できる傑作!

    空港のバーで偶然出会った二人が、密かな殺人計画を企てる。妻の浮気を許さない夫は具体的に計画を進めるが、想定しないことが起こり…

    あまり体験したことのないストーリー展開、結局この話はどうなるのか全然読めない。特に中盤からの怒涛の展開はマジスゴイ。これは楽しい!わくわくが止まらないです。そしてなんとも怖いラスト、いやーそうなりますよね。

    海外ミステリーは国内ものにはない、洋画を見ているような雰囲気がたまらないですね。
    独特の坦々とした書きぶりなので、流して読んじゃうと重要な情報を落としがち。ただこれは心情描写や比喩が多すぎる国内ミステリーにはない、海外ミステリーの魅力の一つだと思うので、前向きに丁寧に読むようにしましょう。

    本作の読みどころは、なんといっても4人の登場人物ですよ。
    騙された人、狡猾な人、もっと狡猾な人、ただただ不幸な人…
    人間関係の絡まり具合が、超下品で最高です!ミステリーはこうでなきゃ。

    作者の次回作もまだまだあるようでので楽しみです。国内ミステリーにちょっと飽きた方は、楽しめること間違いなし!超おすすめです。

  • ある本屋の創元推理文庫コーナーを眺めていたら、この題名に惹かれて読んでみました。

    読み始めたときは、ミランダの夫が主人公だと思ったが、どうやら違ったようだ。幾人かの登場人物が一人称で現れるのも面白い。
    さて、ミランダは殺されるのか、誰が殺すのか、犯人は捕まるのか。。。
    少しずれますが、欧米人らしい性的表現が、ところどころあるので、娘には読ませたくないかな。

    取り留めのない感想でした。

  • ミステリーというよりも上質なクライムノベルといった方がしっくりとくるのではないでしょうか。

    本書は、男女4人の視点から描かれるある殺人事件を舞台としたクライム・エンターテインメントです。
    第一部、第二部、第三部と分かれていますが、第一部を読み終わって第二部を読み始める時には、あまりに状況の違いに頭を殴られるようなショックを味あわされます。そして、第二部から第三部にかけての怒濤の展開は、もはやページを閉じることが出来ないくらいの面白さで、まさにページ-ターナーな小説です。

    ある空港のバーでたまたま知り合った、美しい赤毛が特徴の儚げで謎めいた美女リリーと大金持ちで若手実業家のテッド。その場かぎりの会話ということで、リリーはテッドからテッドの妻ミランダが浮気していることを告白され、ミランダを殺したいほど憎んでいるということをテッドから聞かさます。そんなテッドの言葉に共感し、リリーは本当に妻を殺したいのならテッドに協力しようと申し出ます。そしてリリーとテッドによるミランダ殺害の為の完全犯罪の計画が進められていくのですが、事態は全く予想外の方向へ進んでいくのです…。

    本書は、リリーとミランダの学生時代のエピソードから現在の状況へと、その場面ごとに、シーンの入れ替わりを経ながら物語が進んでいく型式をとっています。

    シーンごとに語り手を変えていく筆者のこの手法は、読者にその語り手の心情を自らのことのように体験させる効果があって、非常に臨場感が高まります。
    そして、一番本書で特徴的なところは、殺す側と殺される側の心理が単純に描かれている訳ではないというところでしょう。

    狩られる者が狩る者となり、そして逆に狩る者が狩られる者となる。

    まさに心理戦の様相を呈し、オセロの一手、一手ごとに黒だったものが白となり、白が黒となる。
    そして、最終的には悪女二人の因縁の対決、そして真相を追う警察との攻防が繰り広げられるのです。

    実際、リリーは客観的に見れば間違いなく悪女で、確実にサイコパスでもあるのですが、彼女の心の底にある「ただ穏やかな暮らしをしたい」という心情には非常に共感できる部分が多い女性です。
    もう一方の悪女・ミランダも浮気をしたり、財産を独り占めしようとするなど、まあ悪女ではあるのですが、ミステリー好きの読者側から見れば、そこまでの悪女でもなく、ごく普通の女性でもあると言えます。

    そんなリリーとミランダの結末はどうなるのか・・・首尾良く相手を出し抜き、警察の手から逃れることができるのか・・・。手に汗握る攻防が続きます。

    本書の読了感ですが、一抹の寂しさが心の中を吹き抜けるといったところでしょうか。
    往年のピカレスク・サスペンスの傑作、アラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』のラストシーンを思い浮かべたのは私だけではないのではないでしょうか。

    もう、ありきたりのミステリー小説に飽きてしまって、ちょっと趣向の変わったミステリーノベルを読みたいなと思った人にはうってつけの本だと思います。
    著者の次作『ケイトが恐れるすべて』も今度、読んでみようと思います。

  • ある日、出会った美女に殺人を持ちかけられたら?
    しゃれたタイトルと、あらすじ紹介の2行目で想像したのと似たようなタッチの作品ではありましたが。
    展開は予想外で、クール!

    空港のバーで、テッドは知り合ったばかりの美女リリーに妻が浮気していると喋り、殺したいと口走ると、当然だと言われる。
    妻の名はミランダ。
    まさかと思いつつも、再会を約束する二人。

    リリーというのが実は、普段は地味な勤めをしている目立たない女性。
    テッドは企業家で大金持ち。
    ミランダは美人だが気が強く、わがまま。
    とはいえ、殺されるほどのことをしているかと言うと、そうでもない。

    ただ、現実にも出会ったら、「嫌だな」と思うだろう‥
    そういうタイプの存在を、さっくり殺してしまう、というのに、ちょっと笑ってしまうブラック・ユーモア。
    動機としては弱いので、罪を犯してもバレず、すぐは捕まらないでいるのも。
    こんなことを実行する人間は、普通ではない、サイコパスに違いない。
    でも、「嫌だな」という気持ちの中には「こんな奴、いない方がいい」という考えも混じっているかも?
    いや、あくまでフィクションなので。

    ダークめな犯罪小説だが、視点が変わる面白さや意外性ある盛り上がりがスマートに描かれています。
    ミステリの各賞で2位と上位だったのは納得です。

  • ちょっと期待はずれかなぁ...

    三部構成で主要登場人物はリリー、テッド、ミランダ、ブラッドの4人。

    著者の作品も、訳者も初読みでしたが、二部までの文末が「...た。」「...た。」「...だ。」のオンパレード。

    それに気づいた瞬間から少し読むのが苦痛に感じてしまいました。

    三部に入ると文末の表現は一気に変わるのですが、ここに隠された意図も私には気づくことも出来ません。

    テッドが死に、ミランダが死に、ブラッドも。

    そうなれば必然的に残るのはリリーなんですが...

    確かに構成は面白いと思いました。

    視点が変わり、時間軸が変わり、同じシーンを視点を変えて描くところなんてなかなかにくい。

    ただなんか薄っぺらく感じてしまったのは、そこまでの疾走感もなく、まさかの大どんでん返しでもなく、かと言ってレクター博士のようなサイコパスでもない。

    次はちょっと気分転換で違ったジャンルの本でも読んでみよう。



    説明
    【年末ミステリランキング上位独占の傑作!】
    『このミステリーがすごい! 2019年版』第2位
    『週刊文春ミステリーベスト10 2018』第2位
    『ミステリが読みたい! 2019年版』第2位

    読者・書評家が大絶賛! 予測不可能な殺人計画の行方は!?
    ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに声をかけられる。彼は酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす。話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開してテッドの妻殺害への協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。4人の男女のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が語られるスリリングな快作! 

    • ひまわりめろんさん
      ですね

      あ、ヒボさん
      こんにちは!

      どなたかがレビューで言及されてましたが、『カササギ殺人事件』に圧勝されての全部2位ということなので…...
      ですね

      あ、ヒボさん
      こんにちは!

      どなたかがレビューで言及されてましたが、『カササギ殺人事件』に圧勝されての全部2位ということなので…ま、あとは言わずもがな…ですがあまりに期待値が高すぎてちょっぴりかわいそうな気がしてきましたw
      2022/05/22
    • ヒボさん
      ひまわりめろんさん、こんにちは♪
      「カササギ」と比較されてもなぁ...って感じです。
      あれは下巻に入った瞬間の衝撃が過去最高でした!

      同じ...
      ひまわりめろんさん、こんにちは♪
      「カササギ」と比較されてもなぁ...って感じです。
      あれは下巻に入った瞬間の衝撃が過去最高でした!

      同じ訳者さんの「ケイトが恐れるすべて」も積読なのですが、手をつけるのが少し先になりそうですσ(^_^;)
      2022/05/22
  • おもしろかった!
    導入部から最後の一文まで、
    緊迫感が途絶えることはなかった。
    最近読んだミステリーの中では
    群を抜くストーリー展開の素晴らしさ。
    (ただし、少々アダルトな展開も多めなので、
    ああ、また始まったかー、な所もなきにしもあらず)

    タイトルの「そしてミランダを殺す」の通り、
    最初はどんなふうにこの殺人が行われるのかという興味がメインだったのが、徐々に
    登場する女性たちの頭脳戦にワクワク。

    語られることのない結末までもが
    なんとも言えない余韻を残した。


    ※全くの余談ですが、最後の方に出てくる弁護士の名前が「ステファニー・フリン」で、ポー&ティリーシリーズ大好きのわたしは同姓同名の登場に思わず叫んでしまった!

  • 途中まですごく良かったのになぁ。
    なんだろ、もう一捻りほしいというか…
    偉そうですみません…

    最後までピンとこなかったこと
    ●どうしてチェットを殺したのか?
    →自分が狙われてたから?

    ●警察官がリリーに好意をもっている描写
    →必要あったのかなぁ?

    誰かわかる人ー、教えてくださーぃ!!

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