- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488070700
作品紹介・あらすじ
そこには、選別室、解釈室、筆生室、監禁室、文書保存所等が扉を閉ざして並んでいた。国民の見た夢を分類し、解釈し、国家の存亡に関わる夢を選び出すこの機関に職を得た青年は、その歯車に組み込まれていく。国家が個人の無意識の世界にまで管理の手をのばす怖るべき世界を描いた、幻想と寓意に満ちた傑作。
感想・レビュー・書評
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静かにじわ〜っと恐怖が込み上げてくる小説です。夢という無意識までを国家に管理支配されてしまうですから。多少の違和感を抱きながらも一族の血を見てさえも保身ゆえ躊躇いなくとんとんと出世する主人公(ヨーゼフ・Kを彷彿させるキャラ!)は異様なようで実にありがちな人間像です。全体主義への寓意と読み解くのが定石でしょうが、今の時代と照らし合わせれば我々は更に救いのない世界を生きていることを思い知らされるのです。おそろしいことです。
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物語の舞台が全く見えない始まりから、
狂気に満ちた数々の「夢」を潜り抜け、
妙にリアルで静かな終わりへ辿り着く。
火薬庫バルカン半島のアルバニアの地を
感じさせながら、世界を見つめる眼差し。
他の作品も非常に読みたくなりました。-
「火薬庫バルカン半島のアルバニアの地を」
鎖国しているアルバニアについて全く知らないのですが、ユーゴも分裂してバルカン半島は益々ややこしくな...「火薬庫バルカン半島のアルバニアの地を」
鎖国しているアルバニアについて全く知らないのですが、ユーゴも分裂してバルカン半島は益々ややこしくなりました。
カダレの作品は土臭い幻想性がとっても素晴しいのに、流通しているのは、この「夢宮殿」と松籟社東欧の想像力「死者の軍隊の将軍」だけなのが残念です。白水社の「誰がドルンチナを連れ戻したか」「砕かれた四月」がUブックスにならないかと念じています。2012/08/24 -
「土臭い幻想性」
まさに!だと思います。他の作品について、コメントいただいた通りの状況に対する思い、全く同感です。白水社にむけて、一緒に念じ...「土臭い幻想性」
まさに!だと思います。他の作品について、コメントいただいた通りの状況に対する思い、全く同感です。白水社にむけて、一緒に念じようと思います。2012/08/27 -
「白水社にむけて、一緒に念じようと思います」
宜しくお願いします。
ついでに「現代東欧幻想小説」も、、、
話は変わるのですが、 テア・オブレ...「白水社にむけて、一緒に念じようと思います」
宜しくお願いします。
ついでに「現代東欧幻想小説」も、、、
話は変わるのですが、 テア・オブレヒトの「タイガーズ・ワイフ」(新潮クレスト・ブックス)が面白そうです。。。2012/08/30
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もっとファンタジーかと思ったら、全く違うかった。独裁的な雰囲気と、理解が及ばない組織の不気味さがなんとも言えない作品。
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2012-3-9