名探偵に甘美なる死を

著者 :
  • 東京創元社
3.78
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本棚登録 : 792
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028565

作品紹介・あらすじ

『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く
〈竜泉家の一族〉シリーズ最新作は王道の“館”ミステリ
ちりばめられた伏線、密室の謎、二つの読者への挑戦
館に集うは『素人探偵』8名
VR空間と現実世界で繰り返される殺人・・・・・・
生死を賭けたゲームの行方は?

「犯人役を演じてもらいたい」と、メガロドンソフトから依頼を受け、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、そこには「幽世島」の事件に関わり現在はミステリ作家となった竜泉佑樹もいた……。しかしイベントは一転、探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかないーー! 『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く、 “館もの”本格ミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • VRと現実を行ったり来たり! 最新の推理VRで生死を賭ける理不尽ゲームが面白いっ #名探偵に甘美なる死を

    過去に様々な事件解決に携わった素人の探偵と称した者たちが、クローズドな孤島で新作VRゲームに挑む。VRでは犯人役と探偵役がゲームを行う予定であったが、参加者たちは人質を取られてしまい、強制的な殺人ゲームに巻き込まれてしまう。特殊設定ミステリー、竜泉家の一族シリーズの第三弾。

    この作品は難しいっ でもそこが面白い!
    VRとリアルで次々発生する事件、練りに練った組み立てが凄すぎて、ザ・本格特殊設定ミステリーといった感じです。読了後はがっつりミステリーを読みました感で満足度は100点です!

    トリックもVRならでは大仕掛けがいっぱいで、さすがにここまでの突飛な発想は浮かびませんよ。すごすぎる!

    ただアンフェアとは思わないけど、ギリギリだなぁーという気はした。これ以上は本格としては楽しめなくなりそうでバランスが難しいですね。また犯行現場の描写よりもルールや状況説明が複雑で、設定理解するのに苦慮するところが少し残念でした。

    しかし本シリーズは、本格ミステリーと特殊設定によって、本気で読者を楽しませようとしてくれる「魂」を感じます。

    注目の作家だと思うので、ミステリー好きは絶対読んでおくべき作品だと思いました。今後も期待いたします!

  • 特殊設定ミステリー
    竜泉家シリーズ三作目

    過去二作の主人公が登場し、素人探偵を集めたデスゲームに巻き込まれる。
    監禁された館&VRの館という二重に構造が物語の構造にもつながり
    全てが見えてきた時に三作目まで読んで良かったと思えた。

    加茂さんが頑張ってる中ユウキくんが
    積極的に推理する気なさげ
    なのが不穏で良かったです。

  • 面白さが残る一冊。

    超苦手VRゲーム世界に読むのを躊躇ったけれどゆっくりクリアする気分で挑んだ。

    ゲームを楽しむ感覚が一気に吹っ飛ぶ展開、容赦ないVR空間、指示に従うしかない状況の緊迫感に緊張感と不気味感。

    しかもVR空間と現実世界のダブル殺人に頭は混乱。

    それでも密室トリックの推理合戦に惹きつけられながら終盤まで導かれ全てが明かされていく過程はまるで何回も波に襲われる感覚。

    その波がさらった砂浜に残るのは貝殻のような数々の伏線と数々の面白さ。

    この作家さんはどんな設定でも面白さを確実に残してくれる気がする。お見事。

  •  「時空旅行者の砂時計」、「孤島の来訪者」に続く、<竜泉家の一族>シリーズの第3弾。今回もクローズドサークルの館もの。前二作で探偵役の加茂冬馬と竜泉佑樹が登場する。それからあの方(?)も。
     
     ゲーム会社から「犯人役を演じてもらいたい」と依頼を受けて、VRミステリーゲームのイベント監修を依頼された加茂冬馬。そして会場である保養所に集った8名の素人探偵。そこにはミステリ作家となった竜泉佑樹も参加していた。しかし、なんとそのイベントは、探偵役と人質になったその家族や恋人の命がかかったデスゲームとなってしまう。そしてVR空間と現実世界の両方で殺人事件が起きる。この謎を解き明かさなくてならない。

     前二作と比べると、VR空間と現実空間という二重の設定となっており、読者にとっては複雑で、わかりにくい。しかし、ここが謎を解くカギとなっているのでしょうがない。あとVRゲームのガジェット(バイザー、グローブ等)についても説明不足と感じた。なじみのない人にはわかりにくいだろう。文庫化される機会があれば、修正してしてほしい。

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    https://books.rakuten.co.jp/rb/16981475/

    gelande
    https://gelande.art/

    名探偵に甘美なる死を - 方丈貴恵|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028565

  • "加茂は倉庫にあったロープを掴むと、彼女の首に巻きつけて締め上げる。ぐぎりと鈍く潰れるような音がし、犠牲者の身体に短い痙攣が走った。
    どのくらいそうしていただろう、耳元で囁く声がした。
    『また犠牲者が一人』
    (p.11)"

     本書は、autumn522akiさんのレビューで知りました。ありがとうございます。

     VRミステリーゲームの試遊会のため、孤島に集められた8人の素人探偵たち。彼らは家族を人質にとられ、命を懸けた「ゲーム」に参加せざるを得なくなってしまう。「ゲーム」から解放されるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件の謎を解き明かすしかない。果たして彼らは、タイムリミットまでに真相に辿り着けるのか・・・?

     本書の特徴は、何といっても「VR技術」をモチーフにしていることだろう。命を懸けた二重の推理ゲームという設定を実現させるための小道具に留まらず、VRの本質(つまり、仮想世界は現実と「重なる」部分もあるが、人の手で「書き換えられる」)を十全に活かす尖ったトリックには一読の価値がある。著者の前2作で見られた古式ゆかしき「読者への挑戦状」は本作でも健在なので、本書をこれから読もうという腕自慢の「素人探偵」の方々は想像力を働かせて挑戦してみてはいかがだろうか?・・・ちなみに、僕は30分考えて敢え無くギブアップした(笑)

     仕方がないとはいえ、作中での推理ゲーム(と読者に対する犯人当て)をフェアに成立させるためルールの説明パートがやや重く、理解するのに少々苦労した。また、登場人物の心理面に些か納得できないところがある。ムチャクチャな犯行動機に突っ込まれるのは作者も承知の上だろうからその判断を尊重するとして、不破が犯人の誘いに敢えて乗ったのは解せない。別の、より自然な持って行き方はなかったのだろうか。

  • 竜泉家の一族シリーズで探偵というと、1作目の加茂冬馬、2作目の竜泉佑樹だが、さていかに。
    どっちも出てきた。そしてマイスター・ホラも案内役として登場。前2作同様挑戦状もある。

    今回はVRゲームの中でのルールだが、実際はどうなのかも想像できた。現実世界では名前は漢字で書かれているが、VR世界ではカタカナで書かれている。他にも違いがある。これらが謎を解く鍵になるのか?それともミスリードか?

    このシリーズはSFミステリーというか特殊設定ミステリーというジャンルになるのだろうか?そして今回もクローズドサークルである。
    解答フェーズに入って、加茂の記憶力が大きな力を発揮する。加茂の気持ちを考えると応援したい気持ちが膨らんできた。

    ミステリーとしては王道で面白かった。加茂と佑樹がどうなるのかを推測すると、先が見えてくるが・・・その推測が正しければ。私の推測はしばしば外れるので、外れることを楽しみにしながら、読み進める。そして外れた。
    意外な結論が待っていた。イヤ、意外ではない。三部作を順に読むことで、増幅される悲しくも儚い結論が。
    三部作と言いながら、続編があることを匂わせている。もしそうなら楽しみである。

    私は題名にこだわる。最初から「甘美なる」という表現に引っかかっていた。エピローグを迎えた時に、その答えが見つけられるだろうかという点も楽しみであった。もし私が題名をつけるなら、「名探偵に儚い別れを」とするとしっくりくる。
    学生時代に自分で作った問題を「あれっ、どうやって解くんだったっけ?」と作っておきながらわからなくなった経験がある。策士策に溺れるというか、そんな時期を思い出させてくれる作品でもあった。

  • 「犯人役を演じてもらいたい」と、メガロドンソフトの椋田千景(39)から依頼を受け、ゲームディレクターの十文字海斗(37)の協力のもと、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。
    会場であるメガロドン荘に集ったのは8名の『素人探偵』。コメンテーターの六本木至道(74)、探偵事務所所長の不破紳一朗(56)、元犯罪者で自称万屋の未知千明(37)、市民病院の事務員の東(アズマ)柚葉(35)、高校二年生の乾山(ケンザン)涼平(17)、自称放浪者の棟方希(ノゾミ)(25)。そしてミステリ作家青葉遊奇こと竜泉佑樹。
    しかしイベントは、探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかない。失敗すれば待つのは死。

    VR空間での「犯行」と、現実世界の犯罪の二本立てでややこしい。設定を飲みこむのに時間がかかってしまった。物理トリックは相変わらず「そうなんだ~」ですます不甲斐ない読者。
    動機があまりにも八つ当たりの逆恨みで、成功した、いい年した大人がやることかと思ってしまう。特に、ある素人探偵殺害の話は、何がしたいのかと。それでタガが外れたところもあるのだろうが、ほんとに何がしたかったのか。被害者側がけっこうまともなので、犯人側の狂気が目立つ。
    マイスター・ホラがいる理由は、今後につながるのだろうな。興味深い。

  • 面白かった!
    今度は誰が狙われるのか、どう反証するのかドキドキだっ。
    VR空間とかドールハウスとか、かなり混乱したしイマイチよくわからない部分もあったけど、それでも面白かった。
    まさかホラがこの現場にいるとは。
    そして千景と加茂の関係が切ない。

  • このシリーズ結構好き。途中何度も「いや、そのトリックはずるいでしょ⁈」と叫んだのに、読み終わってみるとトリックも動機もすんごく腑に落ちている自分がいてなんとも不思議な読書体験。

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