- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488028565
作品紹介・あらすじ
『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く
〈竜泉家の一族〉シリーズ最新作は王道の“館”ミステリ
ちりばめられた伏線、密室の謎、二つの読者への挑戦
館に集うは『素人探偵』8名
VR空間と現実世界で繰り返される殺人・・・・・・
生死を賭けたゲームの行方は?
「犯人役を演じてもらいたい」と、メガロドンソフトから依頼を受け、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、そこには「幽世島」の事件に関わり現在はミステリ作家となった竜泉佑樹もいた……。しかしイベントは一転、探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかないーー! 『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く、 “館もの”本格ミステリ長編。
感想・レビュー・書評
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VRと現実を行ったり来たり! 最新の推理VRで生死を賭ける理不尽ゲームが面白いっ #名探偵に甘美なる死を
過去に様々な事件解決に携わった素人の探偵と称した者たちが、クローズドな孤島で新作VRゲームに挑む。VRでは犯人役と探偵役がゲームを行う予定であったが、参加者たちは人質を取られてしまい、強制的な殺人ゲームに巻き込まれてしまう。特殊設定ミステリー、竜泉家の一族シリーズの第三弾。
この作品は難しいっ でもそこが面白い!
VRとリアルで次々発生する事件、練りに練った組み立てが凄すぎて、ザ・本格特殊設定ミステリーといった感じです。読了後はがっつりミステリーを読みました感で満足度は100点です!
トリックもVRならでは大仕掛けがいっぱいで、さすがにここまでの突飛な発想は浮かびませんよ。すごすぎる!
ただアンフェアとは思わないけど、ギリギリだなぁーという気はした。これ以上は本格としては楽しめなくなりそうでバランスが難しいですね。また犯行現場の描写よりもルールや状況説明が複雑で、設定理解するのに苦慮するところが少し残念でした。
しかし本シリーズは、本格ミステリーと特殊設定によって、本気で読者を楽しませようとしてくれる「魂」を感じます。
注目の作家だと思うので、ミステリー好きは絶対読んでおくべき作品だと思いました。今後も期待いたします!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
特殊設定ミステリー
竜泉家シリーズ三作目
過去二作の主人公が登場し、素人探偵を集めたデスゲームに巻き込まれる。
監禁された館&VRの館という二重に構造が物語の構造にもつながり
全てが見えてきた時に三作目まで読んで良かったと思えた。
加茂さんが頑張ってる中ユウキくんが
積極的に推理する気なさげ
なのが不穏で良かったです。 -
面白さが残る一冊。
超苦手VRゲーム世界に読むのを躊躇ったけれどゆっくりクリアする気分で挑んだ。
ゲームを楽しむ感覚が一気に吹っ飛ぶ展開、容赦ないVR空間、指示に従うしかない状況の緊迫感に緊張感と不気味感。
しかもVR空間と現実世界のダブル殺人に頭は混乱。
それでも密室トリックの推理合戦に惹きつけられながら終盤まで導かれ全てが明かされていく過程はまるで何回も波に襲われる感覚。
その波がさらった砂浜に残るのは貝殻のような数々の伏線と数々の面白さ。
この作家さんはどんな設定でも面白さを確実に残してくれる気がする。お見事。 -
「時空旅行者の砂時計」、「孤島の来訪者」に続く、<竜泉家の一族>シリーズの第3弾。今回もクローズドサークルの館もの。前二作で探偵役の加茂冬馬と竜泉佑樹が登場する。それからあの方(?)も。
ゲーム会社から「犯人役を演じてもらいたい」と依頼を受けて、VRミステリーゲームのイベント監修を依頼された加茂冬馬。そして会場である保養所に集った8名の素人探偵。そこにはミステリ作家となった竜泉佑樹も参加していた。しかし、なんとそのイベントは、探偵役と人質になったその家族や恋人の命がかかったデスゲームとなってしまう。そしてVR空間と現実世界の両方で殺人事件が起きる。この謎を解き明かさなくてならない。
前二作と比べると、VR空間と現実空間という二重の設定となっており、読者にとっては複雑で、わかりにくい。しかし、ここが謎を解くカギとなっているのでしょうがない。あとVRゲームのガジェット(バイザー、グローブ等)についても説明不足と感じた。なじみのない人にはわかりにくいだろう。文庫化される機会があれば、修正してしてほしい。 -
竜泉家の一族シリーズで探偵というと、1作目の加茂冬馬、2作目の竜泉佑樹だが、さていかに。
どっちも出てきた。そしてマイスター・ホラも案内役として登場。前2作同様挑戦状もある。
今回はVRゲームの中でのルールだが、実際はどうなのかも想像できた。現実世界では名前は漢字で書かれているが、VR世界ではカタカナで書かれている。他にも違いがある。これらが謎を解く鍵になるのか?それともミスリードか?
このシリーズはSFミステリーというか特殊設定ミステリーというジャンルになるのだろうか?そして今回もクローズドサークルである。
解答フェーズに入って、加茂の記憶力が大きな力を発揮する。加茂の気持ちを考えると応援したい気持ちが膨らんできた。
ミステリーとしては王道で面白かった。加茂と佑樹がどうなるのかを推測すると、先が見えてくるが・・・その推測が正しければ。私の推測はしばしば外れるので、外れることを楽しみにしながら、読み進める。そして外れた。
意外な結論が待っていた。イヤ、意外ではない。三部作を順に読むことで、増幅される悲しくも儚い結論が。
三部作と言いながら、続編があることを匂わせている。もしそうなら楽しみである。
私は題名にこだわる。最初から「甘美なる」という表現に引っかかっていた。エピローグを迎えた時に、その答えが見つけられるだろうかという点も楽しみであった。もし私が題名をつけるなら、「名探偵に儚い別れを」とするとしっくりくる。
学生時代に自分で作った問題を「あれっ、どうやって解くんだったっけ?」と作っておきながらわからなくなった経験がある。策士策に溺れるというか、そんな時期を思い出させてくれる作品でもあった。 -
このシリーズ結構好き。途中何度も「いや、そのトリックはずるいでしょ⁈」と叫んだのに、読み終わってみるとトリックも動機もすんごく腑に落ちている自分がいてなんとも不思議な読書体験。