星砕きの娘

  • 東京創元社
4.10
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027988

作品紹介・あらすじ

魔の化生、鬼の跋扈する地、敷島国。豪族の跡取りである弦太は、幼い頃に鬼に浚われて以来、鬼の砦に囚われの身となっていた。そんなある日、弦太は川で蓮の蕾を拾う。驚いたことに砦に戻ると蕾は赤ん坊に変化していた。赤ん坊は蓮華と名づけられ、美しさと強さを兼ね備えた娘に成長する。弦太が囚われて七年後、ようやく都から討伐軍が派遣され、弦太は蓮華とともに晴れて自由の身になるが……。第4回創元ファンタジイ新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼が跋扈し人を襲う敷島国。母と共に鬼に拐われ下僕とされていた鉉太少年は、逃亡者に付いていこうとした道中で蓮の蕾を拾う。不思議な事に蕾は赤子に変化。赤子は蓮華と名付けられ、鉉太を父とみなす美しく強い女性へと成長する。7年後、鬼の住処に都からの討伐軍が派遣され鉉太と蓮華は外の世界に踏み出す。「明」の星が登ると赤子に戻ってしまう蓮華の正体とは?単なる人と鬼との対決から武家社会での覇権争いへと話が大きくなっていき、それに伴い二人が躓きながらも成長していく姿がしっかり描かれていてとても読み応えあった。登場人物が皆生き生きとしてるし戦闘シーンも迫力あって良い。鬼道馬鹿の円宝がお気に入り。終盤がちょっと駆け足だけどいい結びに落ち着いたと思う。仏教的教えが結構多いのと巻末の選考経過がややネタバレ寄りなので注意。

  • 人の持つ闇が鬼を生み出す世界で。
    鬼に囚われた鉉太が、蓮から生まれた娘、蓮華と出会い、共に闘うファンタジー。

    鉉太を「とと」と呼び、朝になると赤子に戻ってしまう対鬼用最強兵器、蓮華が可愛すぎる!
    序盤は無邪気な無双っぷりを披露してくれるのだけど、彼女の生い立ちや、赤子と娘への転身を繰り返す真意に迫る中盤以降は、思案に暮れる蓮華を見るのが切ない。

    鉉太については平和な世を築くという志とは逆に、戦は激しさを増していく。
    この作品の人物描写やキャラクターの配置は、すごく惹きつけられるのだけど、戦乱シーンは説明的すぎてしんどかった。

    すべては移ろうもの。
    鉉太にとってこの言葉は、ある時は自分が耐えてきた苦難の意味を、塵と化してしまうような酷い響きを持っている。
    けれど蓮華にとっては長い長い間を彷徨い、求め続けてきたものさえ、やがては変わってゆく、そんな救いと希望のある響きを含んでいる。

    巻末には審査員の講評が載っているのだけど、プロのレビューを読むと、その目の付け所と、言葉の選び方の巧さに脱帽させられた。

  • ファンタジー物。読みやすかったし内容も面白かった。わりと展開は予想しやすい。アニメ映画化したらいいなーと思える作品。

  • 表紙買い。爽快な異世界活劇を想像してました。が。鬼、人、仏。慈悲、苦悩、救済。ドロドロした憎しみや痛みなど少し重めなお話でした。 ラストシーンに救われましたので、次のお話にも期待してます。

  • 蓮華の魂の昇華が心地よい。
    円宝・酉白・泉水、、、脇を固めるキャラクターも好きになれる

  • 鬼を生んでしまう人の心の罪深さや、その様々な情が絡まりあって見えてくる。その中で変わらない愛を注ぐ鉉太や、愛を注がれ変わった蓮花の成長が軽やか。

  • ハイファンタジー

    剣と縁の物語。
    人と鬼が諍う国、領主の後継ぎ 鉉太は幼き日に川面を漂う蓮の花の蕾と沈んだ大太刀を拾う。

    蓮の蕾は赤ん坊に、さらに美しい娘へと変化し「蓮華」と名付けられ、大太刀「星砕」で鬼を討ち浄化してゆく。この有様に触れ、鉉太は蓮華の天啓を悟る。やがて二人は領土と鬼の闘いに巻き込まれてゆく…

    蓮華は星砕と使命と共に、駆け抜ける傑作品。


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    時代物とファンタジー
    違和感は全くない。

  • これは面白かったです。え?まさか?という展開もあり(^_^)
    表現も美しく美しい場面を想像しながら読むことが出来ました。特に最後のほうの場面は楽しませていただきました。ストーリーもしっかりしていて読みごたえがありました(^-^)

  • 創元社の新人賞デビュー作。世界観がしっかりしててなかなか面白かった。離れ離れになってからの蓮華が突然あまりにも変わりすぎてて同じ人に見えなくて違和感あったのがなぁ。もう少し途中に変化の過程が見たかった。最後はああなるんだろうなと思っていた通りの結末だったけど、すっきり終わってよかったわ。

  • 2019.11.4読了

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