- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027681
作品紹介・あらすじ
1991年4月、雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。米澤穂信、デビュー15周年記念刊行。初期の大きな、そして力強い一歩となった青春ミステリの金字塔を再び。巻末に特別書き下ろし掌編を収録。
感想・レビュー・書評
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米澤穂信さんの初読み本。
なんか昭和な空気が漂うなぁと思ったら、米澤さんの高校時代が元になっているらしい。
昭和の高校生は大人だったな。 -
高校3年生の守屋と万智は、春の雨の日、雨宿りする外国人に傘を渡そうとしたところ、彼女が行く当てをなくして途方に暮れていると知り、旅館をしている友人宅を紹介する。マーヤと名乗るその少女は、17歳のユーゴスラヴィア人で、日本語が堪能で、2か月滞在する予定だと言う。彼女と触れ合うにつれ、彼らは自国の文化を再認識するとともに、最初はどこにあるのかもわからなかった国、ユーゴスラヴィアへの関心を深め、またその未来に不安をいだくのだった。
激流の中にあっては微力であるとは知りつつも、自分の中の想いをかけたいともがく青年の姿を、異文化交流のユーモアも交えて描く。
*******ここからはネタバレ*******
マーヤ、守屋、万智、いずる、文原、それぞれの人物設定が妙で安心して楽しめる。
冒頭の部分がかなり硬い印象だったので、回想部分に入ってからは力が抜けて読みやすくなった。
守屋と万智の関係がとっても微妙に描かれているが、私にはそれ以上のものは読み取れなかった。
紛争地域のことは日本にいては報道を見聞きして想像するしかないのだが、友人を持つといっぺんに身近なものになる。
タイトルの「妖精」はマーヤのことだったのか。読み終えて気づく。 -
戦場になるかもしれない遠い祖国を思う少女。
謎解きを混ぜながら、ユーゴスラビアと戦争を扱って青春小説にしてしまう筆力に圧倒されました。
話が重いので、お話後半は読みたいけど読みたくない、不思議な感情が…。
再読するのは躊躇いますが、読んで良かった! -
主人公守屋と共に、ユーゴスラビアの衝撃を味わった。小ネタのミステリーに挟まれながら。高校生の大刀洗、雰囲気充分です。
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SL 2023.3.24-2023.3.25
2016年に文庫版を読んでいるので実は再読。花冠の日を読みたかったから。
前半は日常の謎を絡めた青春の書。
後半は戦争が起こって気楽な高校生だけではいられなくなった主人公たち。
その後の太刀洗万智を別の人間の視点から描いているというのも興味深い。他の作品ではそこまで冷たくはないよね、実際。 -
救いのない展開を予想していたので、これまで読むのを躊躇っていた。古典部シリーズのように日常の謎を絡めた話でもあり、青春のほろ苦さを感じさせる。
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書き加えられた話があって、とても締まった話になっている。新装版で大正解。