さよなら妖精【単行本新装版】

著者 :
  • 東京創元社
3.59
  • (27)
  • (49)
  • (56)
  • (8)
  • (5)
本棚登録 : 428
感想 : 64
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027681

作品紹介・あらすじ

1991年4月、雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。米澤穂信、デビュー15周年記念刊行。初期の大きな、そして力強い一歩となった青春ミステリの金字塔を再び。巻末に特別書き下ろし掌編を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 15年ぶりぐらいの再読。

    自分のしたいことは何か?
    やりたいことはあるのか?
    他人がやりたいことを見つけていくのを見て焦る、この時期の自分を思い出すような守屋の心理がとてもよく分かった。

    そんな時に知らない世界から妖精がやってきたら、その世界に目を奪われて、自分のするべきことがそこにあるように錯覚するのも、とてもよく分かる。もちろんマーヤに心を奪われることも。

    再読なので結末を知っているのに、白い封筒の中身を読むと血の気が引いた。こんなに悲しい結末でなければ、ユーゴスラビアの悲劇を感じることはできなかっただろう。

    初読の時にはなかった短編「花冠の日」を読んだ。辛い。。。
    なんだよこれ、辛いじゃないか。

  • 米澤穂信さんの初読み本。
    なんか昭和な空気が漂うなぁと思ったら、米澤さんの高校時代が元になっているらしい。
    昭和の高校生は大人だったな。

  • 高校3年生の守屋と万智は、春の雨の日、雨宿りする外国人に傘を渡そうとしたところ、彼女が行く当てをなくして途方に暮れていると知り、旅館をしている友人宅を紹介する。マーヤと名乗るその少女は、17歳のユーゴスラヴィア人で、日本語が堪能で、2か月滞在する予定だと言う。彼女と触れ合うにつれ、彼らは自国の文化を再認識するとともに、最初はどこにあるのかもわからなかった国、ユーゴスラヴィアへの関心を深め、またその未来に不安をいだくのだった。

    激流の中にあっては微力であるとは知りつつも、自分の中の想いをかけたいともがく青年の姿を、異文化交流のユーモアも交えて描く。



    *******ここからはネタバレ*******

    マーヤ、守屋、万智、いずる、文原、それぞれの人物設定が妙で安心して楽しめる。

    冒頭の部分がかなり硬い印象だったので、回想部分に入ってからは力が抜けて読みやすくなった。

    守屋と万智の関係がとっても微妙に描かれているが、私にはそれ以上のものは読み取れなかった。

    紛争地域のことは日本にいては報道を見聞きして想像するしかないのだが、友人を持つといっぺんに身近なものになる。
    タイトルの「妖精」はマーヤのことだったのか。読み終えて気づく。

  • 戦場になるかもしれない遠い祖国を思う少女。
    謎解きを混ぜながら、ユーゴスラビアと戦争を扱って青春小説にしてしまう筆力に圧倒されました。
    話が重いので、お話後半は読みたいけど読みたくない、不思議な感情が…。
    再読するのは躊躇いますが、読んで良かった!

  • 世界史的事件と、高校生の小さな謎解きが、何故か然程の違和感もなく融合した、米澤穂信さんらしい作品、と言えましょうか。

    同じユーゴ内戦を扱った作品として、島田荘司さんの『リベルタスの寓話』を読んだ時のような、悲惨な描写がなかったのは幸いで、主人公のマーヤの最期も直前のシーンまでであったのが救いです。

  • 主人公守屋と共に、ユーゴスラビアの衝撃を味わった。小ネタのミステリーに挟まれながら。高校生の大刀洗、雰囲気充分です。

  • SL 2023.3.24-2023.3.25
    2016年に文庫版を読んでいるので実は再読。花冠の日を読みたかったから。
    前半は日常の謎を絡めた青春の書。
    後半は戦争が起こって気楽な高校生だけではいられなくなった主人公たち。
    その後の太刀洗万智を別の人間の視点から描いているというのも興味深い。他の作品ではそこまで冷たくはないよね、実際。

  • 救いのない展開を予想していたので、これまで読むのを躊躇っていた。古典部シリーズのように日常の謎を絡めた話でもあり、青春のほろ苦さを感じさせる。

  • 異邦の少女・マーヤとの出会いと別れから一年、彼女の安否をめぐりユーゴスラヴィア六国のいずれに帰国したかを主人公・守屋路行は推理する。彼の日記を通して描かれるマーヤと過ごした日々がとてもとても眩しくて……やっぱり米澤穂信なんだよなぁ……。
    新たに書き下ろされた『花冠の日』も作品へ花を添えておりぜひ読んでいただきたいです。

  • 書き加えられた話があって、とても締まった話になっている。新装版で大正解。

全64件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

米澤穂信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×