ハルさん (ミステリ・フロンティア 31)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017316

感想・レビュー・書評

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  • お父さんのハルさんが、一人娘の結婚式を控えて
    若くして亡くなった奥さんに語りかけながら
    ふうちゃんの成長を振り返っていきます。

    最初はハルさんの女々しさに、うむーっと思っていましたが
    ほのぼのしたやさしい眼差しと出さない部分でおろおろしてる感じに
    あたたかい気持ちになりました。
    幼稚園のおしゃまなふうちゃんが、小学生になり中学生になり
    高校生になり大学へいき、そして結婚してしまう。
    エピローグの結婚スピーチにはちょっと泣けてしまいました。

    幽霊の奥さんが謎解きのヒントを与えるというなんともゆるい展開で
    謎自体もかなりゆるいけど、ほんわかするちょっぴり切ないお話でした。

    ハルさんの職業が人形作家ということで、なかなか興味深かった。
    もう少しそこのところを深く知りたかったかも。

  • 本屋さんに文庫が並んでいた。気になったコピーとともに。
    手にした本は2007年初版。へぇー意外に古い作品だったんだ、と。
    優しさに溢れた物語でした。

    人形作家の父、ハルさんと、その娘 ふうちゃん。
    「ハルさん」というタイトルからお母さんか娘かと思っていたらお父さんだったとは。ここでまず惹き込まれた。

    少し読むと表紙にある探偵の服を着たふうちゃんの物語がでてくる。
    その物語を読み終えて表紙を見返す。
    (あーぁ、いいシーンだ...)

    ふうちゃんがいなくなった時におろおろと心配するハルさん。
    親がすべての不安を取り除いてあげることは不可能と理解して、子どもを信じて恐怖に打ち勝つしかないと伝える瑠璃子(母)さんの言葉が染み入る。
    子どもをもつ親は本当に葛藤するのだと。

    親と子の愛情ある成長物語がリレーされていく。
    各話ごとに挿入される日常のミステリーが物語の中で違和感を感じる部分もあったのが少し残念。

    ハルさんの目線とともに、ふうちゃんの成長を一緒に見届け、幸せを感じる良い作品でした。

  • 妻に先立たれた人形作家のハルさんと、忘れ形の一人娘・ふうちゃんの成長をほのぼのと描いたお話。
    親業真っ最中の私にとって、子育てに役立つ素敵な言葉や姿勢がたくさんあり、読んでよかったと心から思います。

    うちの子もいつか私のもとから飛び立ち、一人で歩いて行く。
    その日が来るまでに、自分で物事を考え、情報を収集して判断し、自分の力で生きていけるようにしてあげるのが親の仕事。

    改めて感じさせられました。

    そしてハルさんの素敵なところは、子どもの「こんなことできるようになった」に素直に感心し、子どもが決めたことや考えたことを反対せずに受け入れ、心から応援してあげる姿勢だと思いました。
    私はよく「そんなのだめ」とか言っちゃうから。。。ダメ母です。先回りして危険や失敗を回避するのではなく、自分で体験して身を持って感じてもらうことが大切なのかもしれません。

    今、パパ業・ママ業をされている方に、おすすめの一冊です。

  • 男手一人で娘を育てるハルさんの、ほのぼのとした優しさが光るミステリー。娘の成長が、章毎に上手く繋がっています。娘が結婚する相手との出会いが、ハルさんに起因していたというのも、運命的ですね。こんな穏やかな父親に育てられたら、私も違う人間になっていたかも。

  • ビスクドールの人形作家ハルさんが一人娘の結婚式に向かう道すがら、思いあふれてくる幼いころから今までのそれぞれののふうちゃんの姿。それをうまくミステリー仕立てにあしらって、最後はほろり。子育てって子供を独り立ちさせる事なんだと、しみじみ思いました。

  • すごく好きな作品!
    著者の藤野さんは児童文学の作家さんらしくて。だから読みやすいのかな?

    現在と回想のシーンが分かりやすくて、ハルさんの記憶をわたしたちも一緒に振り返ることができる。
    そうして日常の小さな謎を一緒に共有することで、ふうちゃんへの思い入れも強くなっちゃったりして。

    あまり頼りになるとは言えない心配性のハルさんだけど、ふうちゃんを大切に思う気持ちが本当にあたたかくて、読んでいて優しい気持ちになれると思う。
    浪漫堂のおじさまも素敵だし、人形職人って職業にも少し興味が湧いた*

    読後あたたかい気持ちになれる、ぜひともオススメしたい1冊です。

  • お父さんが浮き世離れしすぎている感がありますが、全体を通してほのぼのします。ラストは、無理にこじつけなくても良いと思うのですが、それでもグッときました。

  • ハルさんとふうちゃんは親子だ。お母さんの瑠璃子さんはふうちゃんの小さい頃に亡くなった。それから二人で生きてきた。そんなふうちゃんが今日は結婚するのだ。結婚式に向かう間にハルさんの心にはふうちゃんが小さかった時からの思い出が湧き出してきた。そのときそのとき、どうしてもハルさんが困った時には瑠璃子さんが頭の中に現れて教えてくれた。今日は瑠璃子さんと二人でふうちゃんを見送るのだ。

  • 人形作家で裁縫が得意で頼りないハルさんが回想する、結婚する一人娘のふうちゃんとのこれまでの日々にほのぼのした。幼稚園児の時の消えた卵焼き、小四の時の一人旅、中二の時のいじめ疑惑、高三の時の花屋での骨折入院、大一で里帰りをした時の人形の入れ替わり疑惑の謎を、ハルさんが心の中で会話する亡き妻が解く。

  •  キャラとか設定とかは全然嫌ではないはずなのに、1話目からあんまりすっきりとした気持ちで読めなかった。
     いくら忙しくてバタバタしてたとしても、新人だとしても、保育士としてそれでいいの?
     てか、それを話のオチとして持ち出していいの?

     1話目がそんなで、モヤモヤしながら2話目に進んだけど、途中で断念…。
     途中でもう何言ってんのかわけ分かんなくて、どうでもよくなった。

     このかたの別の作品を前に読んだときも、何かわけ分かんないなぁ…て思って断念したんだけど、やっぱり今回もダメだったわー。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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