言語の七番目の機能 (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016760

作品紹介・あらすじ

1980年、フランスの哲学者、記号学者のロラン・バルトの交通事故死のニュースが世界をかけめぐった。ミッテランとの会食直後のことだった。事故当時彼が持っていたはずの書類が消えていた。実はそれは、国家の安全保障に関わるものとのことで、パリ警視庁のバイヤール警部に捜査の命令が下る。バルトは事故死ではない! とすれば、いったい誰がロラン・バルトを殺したのか? しかし、学者の世界、記号学や哲学などまったくちんぷんかんぷんの警部は若い記号学者シモン・エルゾグを助手に指名し、二人でパリ大学から、ボローニャ、ヴェネツィア、アメリカのイサカ、と世界を駆け巡る。どうやら消えた書類は言語の七番目の機能についての論文らしい。ヤコブソンの「言語の六つの機能」に続く、もうひとつの機能に関する論文……。謎の秘密組織〈ロゴス・クラブ〉、ブルガリアの秘密警察、ロラン・バルト、ミシェル・フーコー、ウンベルト・エーコ、ジュリア・クリステヴァ、ジャック・デリダ、ドゥールーズ&ガタリ、アルチュセール、ラング、サール……実在の学者、政治家等々が乱舞する学問と政治をめぐる007! 『HHhH――プラハ1942年』で、世界の文学界を驚嘆せしめたビネによる記号学的ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 評を書くときには、読者がその本を読む気になるかどうかを決める際の利便を考慮し、どんなジャンルの本かをまず初めに伝えるようにしているのだが、本書についてはどう紹介したらいいのか正直なところ悩ましい。シャーロック・ホームズ張りの推理力を発揮する人物が、ワトソン役の警視とともに殺人事件の謎を追うのだから、謎解きミステリというのがいちばん相応しいのだろうけれど、ミステリとひとくくりにしてしまうと少々具合が悪いことになる。通常のミステリ・ファンが本書を面白がるとは思えないからだ。

    『黒死館殺人事件』から法水麟太郎の超絶的な博学の披露を取り去ってしまったら、並みの推理小説と大して変わらないという評を読んだことがある。まあ、それは確かにそうだろう。衒学趣味(ペダントリー)を味わうことが謎解き興味より大事にされているのが明かな作品なのだ。名探偵を主人公に据えた探偵小説には、もともとそういうきらいがある。人の窺い知れない謎を解き明かすことのできる人物には、他を圧するだけの知の持ち主であることが要求されるのだ。それを出し惜しみするのはかえって無理がある。

    シモン・エルゾグは、パリ第八大学(ヴァンセンヌ)で記号学の講座を受け持つ講師。今はサン=ドニにある大学がヴァンセンヌにあることから分かるように、時代は一九八〇年から八一年にかけて。フランスの政治で言えば、大統領がジスカール・デスタンからフランソワ・ミッテランにかわる激動の時代。社会党のミッテランが大統領に選ばれた日のパリの狂騒ぶりは、よく覚えている。

    シモンが捜査に加わることになったのは、ジャック・バイヤール警視が大学を訪れ、無理矢理シモンを相棒に選んだからだ。ついには、一緒に大統領の執務室に招かれ、正式に国家に雇われることになる。どうやらことは国家的な一大事らしい。イデオロギー的にはヴァンセンヌに勤めるシモンは左派で、現大統領には批判的だが、ことの経緯上やむを得ない。何しろ、交通事故で入院中のロラン・バルトが、実は事故ではなく誰かに襲われた疑惑がある、というのだ。

    この小説は、フランスの政権移行を背景に、時代の寵児であったロラン・バルトの事故死を題材にした謎解きミステリの形をとりながら、記号学や構造主義といった当時の知の体系を軽やかにさらってみせるとともに、フーコーやデリダ、ドゥルーズ、アルチュセール、ジュリア・クリステヴァ、フィリップ・ソレルスといった綺羅星のごとき哲学者や作家たちを巻き込んで、ロマン・ヤコブソンが残したとされる『一般言語学』の草稿をめぐる、てんやわんやを露悪的な形で嘲笑してのける、かなり厄介な小説である。

    ただ、小説内に書かれているアルチュセールが妻を絞殺した事件は実際に一九八〇年に起きているし、ロラン・バルトが交通事故に遭ったのも同じ年の二月で、史実と創作を巧みにないまぜにしてみせる小説作法は、ゴンクール賞最優秀新人賞を受賞した『HHhH―プラハ、一九四二年』以来、この作家の得意とするところだ。本作の目玉は表題にある『言語の七番目の機能』である。ヤコブソンの本には言語の持つ六つの機能が紹介されているが、七番目はない。ところが、草稿にはそれが書かれていたというから穏やかでない。

    バルトはどこからか草稿を入手し、ひそかに屋根裏部屋に隠し持っていた。そして、紙片の裏表にびっしり「言語の七番目の機能」について書き写したコピーを持ち歩いていた。何者かがそれを奪う目的で彼を襲ったと考えられる。アルジェリアで戦ったこともあるバイヤールは左翼とインテリには縁がない。コレージュ・ド・フランスを訪ねてフーコーにバルトの話を聞きに行ったのはいいが、話の内容がさっぱり分からない。そこで、話を翻訳してもらおうと記号学の専門家を探しに今度はヴァンセンヌを訪れ、シモンを見つけた次第。

    風体が逞しく押し出しのいいバイヤールと線の細いインテリのシモンという、二人のコンビがなかなかいい。読者はバイヤール同様、記号学について何も知らなくても心配することはない。すべて、シモンが分かりやすく翻訳してくれる。そして、知的エリートの際限のない大言壮語を聞かされたり、性的に放埓の限りを尽くすさまを見せられたりするたびに、腹の中でバイヤールがつぶやく悪口雑言に共感する。この仕掛けが小説の工夫なのだ。

    ビネは、フーコーやソレルスの文体を模倣して、パスティーシュの技量を見せつけながら、返す刀で、口舌の裏に隠された名誉欲やライヴァルの足を引っ張ろうとする敵愾心などをここぞとばかりに暴き立てる。言葉が華麗で文体が流麗であればあるほど、その内実の醜悪さが浮かび上がる。ミステリ仕立ての本作が意識したはずの『薔薇の名前』の作者、ボローニャの賢人ウンベルト・エーコを除いて、ほとんどのフランス人の哲学者や作家はひどい書かれようだ。フーコーの性豪振りなどあからさま過ぎて、これでよく文句が出なかったなと心配になるほど。

    映画『ファイト・クラブ』から着想した「ロゴス・クラブ」という秘密の会合が面白い。拳ならぬ弁論で戦う一対一の争いである。弁論術のレベルによっていくつかの位階があり、相手を倒すことで位階が上がるシステムだ。もっとも、本戦ともなれば試合に敗れると指を切り落とされるという痛い判定が待ち受けている。まだ誰も知らない「言語の七番目の機能」を手に入れることができれば、恐らく無敵の勝者になれるだろう。

    大は国家権力をめぐる暗闘から、小は個人の名誉欲まで、様々な思惑がいくつも重なりもつれあって何人もの人命が奪われる。パリ、ボローニャ、イサカ(アメリカ)、ヴェネツィア、ナポリと、大西洋を挟んでヨーロッパとアメリカを股にかけた壮大な謎解きミステリであり、スパイ小説でもある。カー・チェイスあり、傘に毒薬を仕込んだ暗殺あり、謎の日本人の二人組まで登場する一大エンターテインメント。時移れば、あの知の巨人もこう揶揄われるのか、と構造主義やポスト構造主義華やかなりし時代を知る者には、ほろ苦い思いを抱かせる問題作ではあるが、読ませる小説であることは間違いない。

  • 昔々、1990年代初めなのでこの小説の舞台となったときから10年後くらいにあたるだろうか、フランス現代思想なるものがエライと思って白さが眩しいみすず書房の本を色々と本棚に並べていた。それらの本の著者の中でも大物の一人であるロラン・バルトの死をめぐるミステリーで、フーコーやデリダも出てくると聞いて、これはいかにも読んでみなくてはと手に取った。

    実在した思想家を登場させた荒唐無稽なパロディックミステリーなのだけれども、こいつはどれだけローラン・ビネが仕掛けたネタを見抜くことができるのか勝負を仕掛けられているのだ、と思った。ということで、いくつか仕掛らしきものを書き出してみた。そこには驚くべき時限爆弾も仕掛けられていたのだ。

    以下、ネタバレ注意で。
    ---
    ・アルチュセールが妻のエレーヌを絞殺する原因となったエピソードは、ラカンの『エクリ』に収められた「『盗まれた手紙』についてのゼミナール」のパロディであることは明らか。絞殺したのは実際に起きたことなので、大胆だけど面白い趣向。こいつは比較的わかりやすい仕掛だ。

    ・BHL (ベルナール=アンリ・レヴィ)は1976年までミッテランのアドバイザーを務めていた。バルトの病室にソレルスとクリステヴァと共に現れたのは、彼がミッテラン側のスパイとして二人の行動を見張っていたから、と読むと合点がいく。

    ・2018年にクリステヴァがブルガリアの諜報機関に協力していたことが機密文書の情報公開で明らかになった。大した役に立たなかったという話だが。このスキャンダルが公になる前に書かれたこの小説の中でクリステヴァとブルガリア諜報機関がその関係を思わせぶりに出てくるのは先見の明というのか、そういう噂はもとより彼の国ではあったのか。クリステヴァの言い訳はブルガリアに残した家族に配慮したためということだが、本作中にクリステヴァから父への手紙が書かれていたのは偶然にしては驚き。現実も小説もどっちも奇なり、という珍しい例。時限爆弾一発目。

    ・ときおり小説内に「作者」が顔を出すのは、ロラン・バルトが宣言した「作者の死」への対抗なのだろうか。小説の技巧として成功しているとはあまり思えないが、それも含めての皮肉も込めた表現なのだろうか。『物語の構造分析』をもう一度読みなさいと言われているような気もする。

    ・デリダが死んだのは2004年。作中、おいおいここで殺しちゃうのかと思った。どこで生き返ってくるのかと思ってたら最後まで生き返らなかった。最後には物語の筋上死んでもらわないといけない事情があったのはわかったが。

    ・一方で自殺させられたジョン・サールもまだ存命。サール=デリダ論争の相手を殺しちゃったら、自殺しないといけなかったのかな。AIの議論で有名な中国語の部屋を論じた論文を出したのがちょうど1980年。というようなことを調べるためにwikipediaを見ていたら、2017年に84歳で24歳の助手にセクハラをしたかどで訴えられて2019年に大学を追放されている。現実の君が実は一番破廉恥だったかという意外なるオチが用意されていて素晴らしい。二発目の時限爆弾。

    ・デリダが偽の言語の七番目の機能を即興で作った、という設定は、ヴェネチアにおいてソレルスがロゴス・クラブで理解不能な弁論を行うことを通して、デリダのテクストへの痛烈な批判になっている、と言っていいはず。おそらくローラン・ビネはデリダのことが殺したいほど心底嫌いで、彼の熱心な読者ごと小馬鹿にしているのだろう。

    ・ソレルスが去勢されたのはバルトの著作『S/Z』の分析対象となった『サラジーヌ』の主人公が去勢された歌手であったこととも関連しているというのはこじつけか。いや、そう読むこともまた読者に委ねられているのだ。そもそもソレルスが自身の著作『女たち』でクリステヴァ、バルト、ラカン、アルチュセールなどの実在の人物に仮託した小説を書いているので、まだ存命だがこれくらいしても文句あるまいと思ったのだろうか。

    ・第五部パリの1981年5月の全仏オープンの決勝は、小説の通りボルグとレンドルでフルセットまでもつれたところまでは本当だが、最終的にはボルグが勝って、全仏4連覇、6度目の優勝を飾った。「自分が小説の登場人物ではなく、現実世界に生きている証拠がほしい」と思いながら見ていた全仏。敢えて現実と違う結果を書くことで現実ではないということを虚構である小説の中でも表現したということか。赤土のクレーコートのローラン・ギャロスとロラン・バルトのRolandが共通であることは偶然ではあるまい。ちなみにローラン・ビネは綴りが違う。残念。

    ・エピローグのナポリの地震の復興でカモッラというマフィアが多額の復興資金を着服した話は本当の話。ひどい話だ。

    ・分からないのは日本人二人組がなぜあんなに味方をしてくれるのか。バルトが日本びいきだったからかな。ちなみに第一部で日本料理について、箸は食べ物を虐待しない、とか、いつも食べる人の前で作られるのは敬っているものの死を人前にさらすことによって神性化する(ちなみに、すき焼きのこと)、は創作ではなく実際にバルトが『表徴の帝国』の中で真面目に語っている。おかしな話だ。

    ・ちなみに主がいなくなったバルトの部屋で置かれていたヤコブソン著『一般言語学』で、シモンも触れた「魔術的もしくは呪術的機能」について書かれているのは、第四部詩学、手元のみすず書房の第10刷でP.190である。確かにリトアニアのおまじないもロシア北部の呪文もある。これは嘘作り話ではなかった。疑ってすまない。きっと栞はこのページに挟まれていたんだな。自分もここに栞を挟んでおこう。
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    それにしてもつくづく、フランス現思想は言葉遊びが過ぎたものだと思った。でも、それがよいところでもある。
    NHK 100分de名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』でも次のようなエピソードが紹介されている。
    「ジョン・サールが、フーコーに対してなぜあんなに難解な書き方をするのかと聞いたところ「フランスで認められるためには理解不能な部分が10%はなければならない」と答えたという。そのことを、さらにブルデューに話したところ、「10%はだめで、少なくともその二倍、20%は、理解不可能な部分がなければ」と語ったという」

    この本を読むにあたって本棚から引っ張り出したバルトがやっぱりわからんなと思っていると、石川美子さんという方が『零度のエクリチュール』、『記号の帝国』(旧版『表徴の帝国』)、『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(旧版『彼自身によるロラン・バルト』)といったところを訳し直していることに気が付いた。石川さんは、中公新書から『ロラン・バルト 言語を愛し恐れつづけた批評家』というロラン・バルトの紹介本を出しているようなので、まずこれを読んでみようかなと思ってkindle本をさっきポチってみた。わからなさを楽しむのがまた楽しみ。

  • ロラン・バルト謀殺と言語の七番目の機能の謎とは | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/653379

    【鴻巣友季子氏書評】記号論の雄R・バルト殺害の謎に挑む|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20201013_1601668.html?DETAIL

    Webミステリーズ! : ローラン・ビネは「現実とフィクション」というテーマを追い続けている作家です。
    http://www.webmysteries.jp/archives/24182923.html

    Webミステリーズ! : 編集部の片隅で『言語の七番目の機能』について、くらりがジャン=ジャック・ニャン吉と語り合う?
    http://www.webmysteries.jp/archives/24105338.html

    言語の七番目の機能 - ローラン・ビネ/高橋啓 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488016760

  • ※私には難しすぎたので再読予定です。

    大学講師のシモン・エルゾグは、哲学者、記号学者の
    ロラン・バルトの交通事故死の解明のため
    警視ジャック・バイヤールに無理やり駆り出される。

    実際に起こった事件を元に実在の人物が
    様々な事件を引き起こしていく。
    学者には疎いのですがかなりめちゃくちゃな
    書かれ方をしていて心配していたら、後書きでも
    他の方の感想でも心配されていて笑ってしまいました。

    言語の七番目の機能を得ることができたら
    世界は良くなるかな?いや悪用されるだけでしょうね。

    2020年11月16日再読
    メモを取り、未知の人物名は検索しながら
    読みました。

    バルトが持っていた文書の行方、ロゴスクラブ
    でのバトル、政治家たちの言動。
    実在人物をこんなに書いちゃっていいのかと
    やっぱり思うけど面白い~。
    第1章のパリをしっかり読み込めばあとは
    なんとか押さえ込む感じで読んでいけました。
    シモンは七番目の機能を独力で手にすることが
    できたのかどうか...。

    筋をしっかり把握しながら読むと、ブルガリア人と
    日本人が不気味。特にシモンを助けてくれる日本人は
    結局なんだったのでしょうね。

    本書を読んで実在人物をこれほどに書いても
    誰も訴えない、というところがとてもフランス的
    だと思いました。今、国内で、表現の自由で
    揺れているのも頷けます。


    ヤコブソンの言語の6つの機能
    指示、感情表出、働きかけ、話しかけ
    メタ言語的、詩的

    ちょっとネタバレ的なので
    下に書きます。






    7つ目とされる機能
    魔術的もしくは呪術的機能

  • 哲学をちょっとかじっただけの私でも知っているような有名人が次々と!
    登場人物がこれだから、読み始めたときはかなり難解に思えて、私はこの本を最後まで読めるのだろうか…と不安になった。
    そんな思いも杞憂に終わり、物語が大きく動く100頁あたりからは、話のスジがわかりやすくなり、頁を繰る手も速くなっていった。

    言語学、言論、アクション、エロ、複雑に絡まってゆく思惑、言語の七番目の機能という謎。
    総頁数500弱と私にとってはなかなかの長編だけれど、刺激的な展開で最後まで飽きずに読み切ることができた。
    爽快感のあるロゴスのやりとりはまさにファイトクラブさながら!
    シモンの活躍ぶりは目を見張るばかりで、話が進むごとにひょろひょろの弱っちい印象が塗り替えられていった。
    バイヤールも最初と随分印象がかわる。
    この2人のドタバタっぷりがまた面白くて、もう一度2人に会いたい!と思わされる。

    ただ、もう少し登場人物や時代背景に明るければもっと楽しむことができたのかもしれない。
    また機会が巡ってきたら手に取ってみたいと思う。

  • 読むのに時間がかかった。軽やかにミステリーを楽しむという感じではなかった。出てくる登場人物について、この人どういう人だっけ?みたいなことをいちいち思い出したり調べたり。そんなことしなくても小説の中である程度説明してあるのだけれど。

  • 記号学的ミステリとの触れ込みだが重くも難解でもなく、前作『HHhH』とも通底する安定のビネ節とでもいうべきものが確かにあり、かつ、今回は基本的に全編パロディに次ぐパロディなので、ゲラゲラ笑いながら読めて、精神衛生に良い。

  • これは楽しめなかった、楽しむ教養が私になかった。ロラン・バルト?フーコー、クリステヴァ、デリダ、ソレルス、実名と言われても名前は聞いたことがあるレベルか、知らない人ばかり。ヤコブソンの六つの言語の役割って何?
    探偵もの風で、謎解きよりは、アクション挟む立ち回りや謎組織のバイオレンスなディベート対決などのエンタメ要素が読みどころか。主人公シモン・エルゾグが頭文字シャーロック・ホームズを模した人物なのだが、それをもってしてもノレず。
    HHhHは最高に面白かったので次作に期待する。

  • ローランビネ「言語の七番目の機能」tsogen.co.jp/np/isbn/978448… ロランバルト暗殺、という設定の一応ミステリ仕立てだけど登場人物は全員錚々たる実名でエピソードは虚実ない交ぜ、虚もいかにもありそうなものばかりでめちゃくちゃ面白かった。 作者はHHhHの人。ビネのメタのスタイルが好きだな(おわり

  • 本書でコケにされているフランス現代思想のスターたちが綺羅星のごとく並んでいた時期に本を読み始めた私としては、文体模倣のところや何か、面白く読み始めることができたが、正直アクションもの、あるいはミステリーとしては展開は冗長かつ退屈で、露悪的にすぎると思われた。

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