隷従への道―全体主義と自由

  • 東京創元社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488013035

作品紹介・あらすじ

社会主義とは、独裁者への隷従に他ならぬことをつとに喝破した名著。

感想・レビュー・書評

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  • 自由と個人と市場と法律と社会秩序についてのハイエクの洞察はどこまでも深い。

  • 私企業の廃止や生産手段の私有の禁止など、政府による経済の計画化はすべきない。単一の価値に基づく計画の押し付けはすべきでない。経済の自由なくして、個人の自由も政治の自由もない(例えば、すべて政府所有の企業であれば、だれも政府批判なんてできない)。社会主義者は「欠乏からの自由」を宣伝し、経済的自由を制限しつつも、まるでより大きな自由を約束するかのように語る。▼社会主義者は社会全体を計画的に再構築できると考える(設計主義)が、人間の傲慢である。人間の理性には限界がある。中央政府が経済活動のすべてを把握することはできない。社会を計画に基づいて合理的にコントロールすることはできない。戦争で一時的に単一目的に従わなければいけない局面があるが、それは自由のために支払う対価。平時に経済の計画化は不要。 ▼ナチズムと社会主義はどちらも全体主義につながる。北欧型の福祉国家やケインズの考えにも全体主義への道が潜んでいる。▼自生的な秩序(市場における競争)のみが、権力の恣意的な介入・強制なしに、諸個人の活動を相互に調整できる。人間の自由な行動が複雑に絡み合った結果として自然に生まれてくる秩序は、計画的に無理やり作り出した秩序よりも、はるかに精妙である。▼最低限の社会保障は必要。公的な医療保険は必要。自由放任の原則に凝り固まった自由主義者の融通の利かない主張ほど自由主義に害をなすものはない。年金や失業保険は民間でやればよい。▼相続税には反対。家族の文化遺産の伝達は人間として自然な行為。フリードリヒ・ハイエクHayek『隷従への道』1944

    社会全体の青写真を描いて理想国家を作ろうとするユートピア的な試みは、強度に中央集権化された支配を要求するものであり、独裁につながる。開かれた社会とは、個人で決定できる領域が広い社会であり、閉ざされた社会とは呪術的・部族的・集団主義的で、個と全体が有機的に一体化しており、個人が決定できる領域がない社会。調和のとれた自然状態への復帰はありえない。野獣に帰るだけである。人間であり続けたいなら、開かれた社会への道を選ぶべきである。カール・ポパーPopper『開かれた社会とその敵』1945

    幸福は各個人が追求すべきであり、全体を包括する善はあり得ない。社会を一枚の青写真に従って作り変えようとするユートピア的合理主義は悲惨な圧制をもたらす。抽象的な善の実現ではなく、具体的な悪の除去を目指すべきである。カール・ポパーPopper『ユートピアと暴力』1947

  • 著者:Friedrich A. Hayek
    原題:THE ROAD TO SERFDOM

    【目次】
    一九六七年版 序言 [i-v]
    アメリカ版への序言(一九五六年 F・A・ハイエク) [vi-xxv]
    日本語版への序言(一九五三年四月 シカゴ F・A・ハイエク) [xxvi-xxvii]
    序言(一九四三年十二月 ケンブリッジ ロンドン大学経済学部 F・A・ハイエク) [xviii-xxx]
    目次 [xxxi-xxxii]

    序説 003
    第一章 見捨てられた道 015
    第二章 大きなユートピア 031
    第三章 個人主義と集産主義 043
    第四章 計画化の「不可避性」 057
    第五章 計画化と民主主義 073
    第六章 計画化と法の支配 093
    第七章 経済統制と全体主義 113
    第八章 だれがだれを支配するか 131
    第九章 保障と自由 153
    第十章 なぜ最悪なものが最高の地位を占めるか 171
    第十一章 真理の終焉 195
    第十二章 ナチズムの社会主義的根源 213
    第十三章 われわれの中の全体主義者 231
    第十四章 物質的条件と理想目的 255
    第十五章 国際秩序の展望 277
    第十六章 結論 301

    参考文献註 [305-309]
    訳者解説(一九五四年四月十八日、一九七九年一月三十一日追記 一谷藤一郎) [310-320]
    改版に際して(一九九二年 一谷映理子) [321-322]

  • [ 内容 ]
    社会主義とは、独裁者への隷従に他ならぬことをつとに喝破した名著。

    [ 目次 ]
    第1章 見捨てられた道
    第2章 大きなユートピア
    第3章 個人主義と集産主義
    第4章 計画化の「不可避性」
    第5章 計画化と民主主義
    第6章 計画化と法の支配
    第7章 経済統制と全体主義
    第8章 だれがだれを支配するか
    第9章 保障と自由
    第10章 なぜ最悪なものが最高の地位を占めるか
    第11章 真理の終焉
    第12章 ナチズムの社会主義的根源
    第13章 われわれの中の全体主義者
    第14章 物質的条件と理想目的
    第15章 国際秩序の展望

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ハイエクの金字塔とも言うべき著作なのだが、なにしろ訳が酷過ぎて読むのに骨が折れる。正直なところ、高校生が訳したのかと言いたくなるほどの直訳が延々と続くのだ。

    内容には満足なのだが、訳の酷さで星2つは下がるだろう。

  • 本書が刊行されたのは1944年、第二次世界大戦において連合国の勝利が密かに確信された時である。
    著者のハイエクはソビエトによる社会主義とナチスによる国家社会主義…つまりは左翼的右翼的な衝動、運動においても根本は民衆を隷従化したものであり一部の特権階級による社会だというのを暴いている。
    当時は枢軸国対連合国という図式はあっても、ソビエト対アメリカの冷戦の遥か前だしファシズムや社会主義思想についての研究は未だきちんと行われておらず未熟なもののままだったと思う。
    このように思想が生み出す社会体制については未だ未熟な時点で、社会主義体制やファシズムによる国家主義体制の本質を見事に暴いている。
    第二次大戦後のソビエトを初めとする社会主義が是とされている時代にも本書を自由に閲覧することはできなかった。
    社会体制の本質を暴いた見事な一書。

  • 古典的自由主義者あるいは自由放任主義者として知られるハイエクの代表作。なぜドイツ人はナチスを選んだか。「主体性」を重視されながら道標を見失った現代人にとって警告の書となる。

  • 社会主義とは、独裁者への隷従に他ならぬことをつとに喝破した名著。

  •  ERPであるとかコード統合であるとか。企業の中のIT関係者は「統合」「計画」が好きだ。そして「全体最適」なんていう言葉を使うことも多い。でも彼らの言うとおりに投資をしても、残念ながらイイコトは無い。妙な入力業務が増加するだけだ。
     なんでだろう?

     自分だけの体系の世界を押し付けることに職業的快感が伴っているのであろうか?情報部門っていうのは実際の企業の中ではコストセンターだし、間接部門なので号令する立場ではない。そんな彼らが実世界では果たせなかったことを仮想空間で果たしているようなところがある。

  • ●未読
    ◎「世界金融崩壊七つの罪」p.144で紹介。
    【サッチャーの愛読書。マネタリズムなどについての書。政権に就いた当初はマネタリズムを経済政策に取り入れたが、「通貨量を一定の速度で増加させるだけ」というフリードマンのマネタリズムは政治的にはまったく使い物にならず、じきに放棄せざるを得なかった】

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