摩天楼の怪人 (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (604ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488012076

感想・レビュー・書評

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  • 御手洗潔シリーズ。

    御手洗がコロンビア大学で助教授をしている頃の話。って、いつ?と調べてみたら、日本で石岡君に会うより前の話だったみたい。若い頃の御手洗だったからなのか、さほど御手洗感はなく(え?)、普通の人っぽい感じだった。内容も、これまでの長編のようなエグい感じはさほどなく、文章自体が落ち着いていた。島田先生の文章の書き方が変わったのかなぁと思ったくらい。私としては、こちらの方が読みやすくてスイスイと読めちゃうけれども。これまでのアクの強い文章が好みの人にはちょっと落ち着き過ぎている感じはあるかな。ただ、魔法を使ったような不可思議現象を、現実的に可能にさせる謎解きはいつも通り。摩天楼という、館モノとしては随分大きい建物だが、それを活かしたトリックで、面白かった。終盤の冒険譚のようなクダリは手に汗握り、ワクワクした。やっぱり、島田先生の描くストーリーの舞台設定は秀逸だと思う。ちょっと無理?なトリックも、この時代、この場所ならアリかも、と思わせられてしまう、、、。

  • 久々の御手洗ワールド。

    21世紀作品ははミタライなのね。

  • 図書館より
    晩年を迎えた大女優が死の間際に自らの殺人の罪を告白する。過去の犯罪の真相に御手洗潔が挑む。

    ハードカバーで600ページ近くある大作。本格ミステリらしく前半は伏線を張りつつの警察の捜査の様子を描くので少し退屈ですが、女優の殺人の謎はもちろん、時計台を使った派手な殺人、高層マンションの窓が一瞬にしてすべて割れた謎などなど、次々と出てくる謎は壮大で興味深いものばかりで解明が気になって読んでいけました。

    これで解明がつまらなかったら詐欺だよなあ、などと失礼なことを思いながら読んでいったのですが、大仕掛けを使い、冒険要素もある解決に十分満足できました。

    途中少し本編から離れた場面があり、これは何なんだろう、と思ったのですがあとがきを読んで納得。しっかりとだまされてしまったのですが、できればその話もきっちり本編に落とし込んでほしかったなあ、と少し思いました。

  • 個人的には、島田荘司のことを久しぶりに見直しました。

    一番好きな小説家といえばこの人、それは動かないのですが、やはり昔の御手洗潔シリーズのような冴えはもうないかなと思っていたのです。

    そこへきてこの『摩天楼の怪人』。

    結構な厚みですが、わくわくしてあっという間に読了しました。

    思うに、島田荘司はもう『占星術殺人事件』のような大トリックをまったくのゼロから思いつくことはあまりないのではないかと思います。

    しかし、現実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので、現実の中からミステリアスな要素やトリックを発見してくるその観察眼は冴え渡っているに違いありません。

    それは北村薫や加納朋子作品のような「日常の謎」の視点にも通じるものがあると思います。

    もっともどんな謎も、現実という大地にリアリティという根を張っているわけですが…・・・。

    『摩天楼の怪人』は、アメリカの摩天楼という「現実」から島田荘司が引き出した、比喩的な文明論であると同時に極上のミステリでもあります。

  • すごいなあ。話を聞いて、謎を解明できる御手洗さん物凄いよ。いつもへーへーと感心しながらしか読めない自分が悔しいです。いつか、御手洗さんのようにこうだからこうなんだって自信持っていえるようになりたい。まさかこういう謎だったとは島田さんの頭の中をのぞきたくなりました。面白いです。

  • 「龍臥亭幻想」といい本作といい、とんでもない亡霊話と思ったら最後にはちゃんと解明されるのはすごい。

  • 前半部分はドキドキしながら読んだ記憶が・・・

  • これは石岡くんと出会う前の御手洗の話ですね。

    あー、それも伏線だったのか。。。というのと、え、あの話はいったいどうなっちゃったの? というのがあった。

  • 2015-11-27
    155ページまで読んだ。
    貸出最大4週間の期間めいっぱい借りたが、読み終わらなかったのでいったん返却する。

    2016-01-21
    300ページまで読んだ。
    貸出期間2週間をうっかり過ぎてしまった。延滞すると延長手続きでないのでまたいったん返却する。

    2016-01-30
    三度目の正直。図書館で借りること3度目にしてようやく読了。最後の謎ときは怒涛の展開で、あっという間に読むことができた。

    さすが御大!いやーー、たまげた。おもしろかった。

    しかし、途中であったエピソード(地下帝国)って、全然関係ないじゃん!

  • 綾辻氏の館シリーズでお馴染みのアレを使ったトリックである。しかし、同工異曲であるが、本作のような使われ方ならアンフェアではない。常に目の前にあったのに見えなかったわけで、脱帽せざるを得ない。ところで、御手洗はコロンビア大の助教授で、ノーベル賞候補で、論文は10年先を行き、発達生物学が専門だという。無駄に豪華な設定だが、そういうものだと納得するしかない。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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