アンゲラ・メルケル: 東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで

  • 東京書籍
3.87
  • (12)
  • (16)
  • (16)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 239
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487814695

作品紹介・あらすじ

2021年9月、長きにわたりドイツならびにヨーロッパを導いてきた、ドイツ首相アンゲラ・メルケルがついに退任し、政界を引退する。
フランスの女性ジャーナリストが、メルケルの東ドイツでの生い立ちから、宗教的バックグラウンド、政党内での権力闘争、各国指導者との関係、移民問題、前アメリカ大統領トランプとの確執、COVID-19への対応、そして、首相退陣までを描く本格評伝。
フランス大統領エマニュエル・マクロンへのインタビューも緊急掲載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Marion Van Renterghem - Babelio
    https://www.babelio.com/auteur/Marion-Van-Renterghem/183659

    【東京書籍】 一般書籍 歴史・地理 アンゲラ・メルケル
    https://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/81469/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ドイツのメルケル前首相をねぎらうIKEAのユーモラスな広告 | TABI LABO
      https://tabi-labo.com/302246...
      ドイツのメルケル前首相をねぎらうIKEAのユーモラスな広告 | TABI LABO
      https://tabi-labo.com/302246/wt-ikeadeutschland-merkel
      2021/12/24
  • なぜ彼女は国民の、そして世界のMutti(母)にまでなったのか?

    題名:C'était Merkel
    訳:それはメルケルだった

    1954年当時の西ドイツ、ハンブルクにて生まれその後東ドイツに移住。61年にベルリンの壁がつくられ、多感な少女時代を冷戦真っ只中のドイツで過ごした。
    また、首相となっても庶民に交じり庶民と同じように買い物をし、特別豪華な場所で暮らすのではなく普通の生活をおくり、国民のMutti(母)と呼ばれるようになった。

    その彼女の生まれから政界引退までの半生を、彼女ゆかりの人物達のインタビューをもとに語っていく。

    この本の著者が同じドイツ人のジャーナリストではなく、フランス・パリ生まれのジャーナリストがであることにも意味があると思う。

    読んでいくと、彼女が引退するのを惜しむ各国の首相や要人たちの言葉がたくさん出てくる。
    それほどに彼女は自国の国民だけでなく、他国からも信頼、愛されていたのだとわかる。

    2011年のG20の会期中にあったユーロ危機の話題に関して、オバマに詰め寄られたりその他の首相や国民から非難されようとも、銀行の独立性のため憲法を遵守しようとする、そんな彼女の政治的価値観は、冷戦という激動の時代、特にその中心であるドイツで過ごしたことが大きいだろう。
    何よりも国民のことを第一に考え冷静、慎重である彼女。時にはそれを緩慢だと言われたりもするが、東京震災後すぐに自国の原子力発電を廃止するなど迅速な面もある。

    また、苦悩も書かれている。メルケルは最初バラク・オバマのことが好きではなかったことや、トランプ大統領就任、その後の政策に対して。フランスとフランスの4人の大統領、ロシア、プーチン大統領との関係。その他いろいろ・・・そんな裏話的なこともわかるのは面白い。
    特にオバマに関してはホワイトハウスを去る前にわざわざベルリンにメルケルを訪ねてメッセージを残したのだそう。
    裏話といえばメルケルという性は元夫(一人目)の性であり、現夫の性は「ザウアー」とのこと。
    そんな事情を知らなかった人は間違えて夫のザウアーにたいしてメルケルと呼んでしまうという面白エピソードも書かれている。

    そんな自国民だけでなく世界から愛されていた彼女が引退してしまった今後、世界はどうなっていくのだろうか。

  • フランス人ジャーナリストによるメルケルの評伝。大統領制であるがゆえ強いリーダーが望まれるフランスと議院内閣制による合議を重んじるドイツ政治の対比が面白い。
    こんにちのウクライナ戦争はメルケルが続投していたら防げていたかもしれないという意見がある一方、メルケルが脱原発に舵を切ったためにエネルギーのロシア依存が進みロシアの強硬姿勢を生んだという意見もあり評価は定まらないが、プーチンがウクライナを狙っていたのはメルケル在任中の時から変わらないということは本書からもよくわかる。そして東ドイツ出身であるがゆえ西側諸国のどの首脳よりもEUと民主主義の価値を理解しているのはメルケルであった、ということもよくわかった。

  • “「私は虚栄心の強い方ではありません。男性の虚栄心を利用するのがうまいのです」”(p.160)


    “アンゲラ・メルケルは身なりに構うことには心底うんざりしている。(中略)メルケルはファッション誌をぱらぱらめくったり、きれいな服の女性を見たりするのは好きだが、わが身に生かそうとは思わないのだ。ある雑誌のカメラマンに、「十年前に撮影した時と同じデザインの服を着ていらっしゃいますね」と言われたので、「私はドイツ国民に尽くすために選ばれたので、モデルになるためではありません!」と答えたものである。”(p.172)

  • 面白かった。
    最近、眼のために、あえて時間を区切って読んでいたら、
    読了の今朝、メルケルの後任が決まる、ドイツの総選挙の
    見通しが報道されていた。
    案の定、どの政党も、過半数に足らず、
    連立政権への道を模索することになるだろうと。

    政治的問題に疎く、さしたる関心も無いのだが、
    本書、フランス人女性ジャーナリストの書く評伝を通し、この16年の西側情勢を再び見た思いでいる。

    メルケルという東ドイツの物理学者であった、国家元首と掃除する人物として、著者は英国エリザベス女王を挙げる。「揺るぎない存在感」「モラルと政治のよりどころ」「統一と安定とミン主義の保証人の二人」と。
    そこに、メルケル長期政権の所以があるのだろう。

    「50年後の歴史書に、どう書かれたいか?」の問いに「彼女は労をいとわなかった」と答えたというメルケル。
    それが全てだ。

  • 東ドイツ出身、敬虔なキリスト教、女性、科学者としてのキャリアといった多彩なルーツは、メルケルの人格形成に大きく寄与しており、政治家としてのあり方や実際の政策にも大きく影響している。中でも東ドイツ出身であること、牧師の父の存在は中でも大きい。

    著者はかなりメルケル寄りということで、ある程度バイアスがかかっていることは注意が必要。ただ彼女はフランス出身のジャーナリストという背景から、違った視点もあって読み応えがある。

  • 2023年6月5日読了

  • フランス人ジャーナリストが、異国の宰相にここまで徹底的に取材して、ここまでの本に仕上げるなんて…。もちろん全てが成功だったわけではないが、それでもメルケルさんに16年も率いてもらったドイツを羨ましく思う。

    もし、まだメルケルさんが在職だったら、このロシアとウクライナとの戦争は、何か変わっていただろうか…。

  • たまたまテレビでメルケル特集を見て、メルケルという人をもっと知りたいと思い手に取った本。
    東ドイツ出身・科学者・女性という誰とも似ていないバックグラウンドを持つこと、論理的かつ慎重で、きっちり仕事をこなす性格であること、静かな野心を持ちコールやシュレーダーを追い落としてきたことなど、興味深く読むことができた。
    在任16年の間にリーマンショック、ギリシャの財政破綻、ブレグジット、難民問題、新型コロナなど重大問題が多数あり、対峙した他国のリーダーも錚々たる顔ぶれで、よく任期を全うしたものだと素直に尊敬の気持ちが湧いてきた。

  • 評伝は巨人であればあるほど対象ではなく書き手の政治歴史観が問われるとはよく言ったものでヴェイユ賞受賞の元ルモンドの女性記者の本書はひたすら尊敬とエピソードを並べるだけで全然あかん。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

著者:マリオン・ヴァン・ランテルゲム Marion Van Renterghem
1964年、パリ生まれ。ジャーナリスト、『ル・モンド』元記者。
2018年、Angela Merkel, I`ovini politique (『アンゲラ・メルケル—政界に降り立ったUFO』2017年)でシモーヌ・ヴェイユ賞を受賞。

「2021年 『アンゲラ・メルケル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マリオンヴァン・ランテルゲムの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×