聖地巡礼リターンズ

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  • 東京書籍
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487808410

作品紹介・あらすじ

内田樹・釈徹宗の二人が,自らの足で歩き,立ち止まり,心ふるわせ,日本各地の霊性を再発見する好評シリーズ「聖地巡礼」。

第1弾「大阪・京都・奈良」,第2弾「熊野」につづく,待望の第3弾は「長崎・京都・大阪」。
テーマは日本人とキリスト教。
日本人にとってキリスト教は,いかなる宗教であったのか。
キリスト教はどのように受容され,またなぜ広まることがなかったのか。
長崎に聖地をもとめた内田樹・釈徹宗が見出したものは何であったのか。
今回の巡礼は,1549年,フランシスコ・ザビエルの鹿児島上陸の話から,始まった。

感想・レビュー・書評

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  • この夏は長崎に行きたかったが、コロナで行けず、代わりにと手にしたのが本書。キリシタンをテーマに長崎、大阪を紀行する。内容的には潜伏キリシタンを多く扱っている。
    釈徹宗、内田樹両先生の当意即妙なやり取りが心地よい。出典等はなく、学術的なものではないのだが、ラフな「しゃべくり」の方がこのコンビには合っている気がする。特に内田先生がその土地に触れて反射的に発するコメントにはキラリと光るものがある。信長や秀吉は成長型の社会システム、家康は定常型として、アメリカも実は定常系なんだというのは面白い指摘だと思う。
    4年前の刊行なので、その後、社会は変わっている。アメリカの定常的な社会に、中国が対抗できるほどに台頭してきた。長崎と天草の潜伏キリシタン遺産が世界文化遺産に登録。本書でも話題になった長崎県庁跡地活用はお2人の懸念通り混迷している。内田先生の自論の観光立国日本は、カジノはやめてよねという願いは叶わず、妙な方向へ進みかけていた矢先、コロナ禍で尻つぼみに。
    宗教的に日本はあなどれません、という釈先生の言葉は印象的。身近なところに脈々と受け継がれる信仰を探すのもいいなと思うお盆のこの頃。

  • 長崎には若い頃、3回ほど行ったが、キリシタンをテーマにしてたわけではなく、ボーッとした観光旅行だったので、二十六聖人の石碑や大浦天主堂を見学しても、ふーんって感じだった。しっかり目的意識を持って、また長崎に行きたい。

  • 長崎にまた行ってみたい。次は隠れキリシタンの歴史を感じる旅にしたいです。長崎に長く暮らす人でさえ、その歴史に後ろめたさを抱えていると聞いて、ますます土地の持つ力に惹かれます。

  •  長崎キリシタンにはあまり興味がないので挫折。

  • 宗教って、ある種のひとつの「病み方」なんですよ。健全な人ってこの世に一人もいないですから。程度の差はあれ、みんな心を病んでいる。そして、人間の持つ本質的な弱さは必ず「物語」を求める。宇宙を統べるひとつの統一的な摂理があって、自分の個人的な祈りが、そこに伝わると、宇宙の風景に、自分の祈りによってわずかではあれ変化がもたらされる。人間は個人としては、空間的にも時間的にも限定的な生を営むしかないわけですけれど、どこかで類的な宿命に繋がっていたい。ゆうげんてかな存在が、無限の境位と、ある超越性の回路を経由して繋がることを夢見る。そういう物語を人間はどうしても必要としているんだと思います。その「レバレッジ」になるのが宗教です。

  • 期待していなかったけど、まえがきに書かれていたとおり聖地巡礼シリーズでいちばん面白かった。
    内田樹って人はキリスト教が専門、というかくわしいのだな。
    殉教できない後ろめたさを抱えて生きる長崎の人々、という見方は面白かった。歴史は全くといって良いほど無知だったので、1600年代にそのようなキリスト教史に残る事件や信徒発見などがあったのを読んだときは胸が熱くなりました。
    まあちょこちょこ内田樹の走った言動は鼻についた
    ・キリスト教の八十八個所巡りとかよくそういう無神経なこと言えるな
    ・前巻でパワースポットって書いてある聖地を批判したくせに自分では「ここはパワースポット」とか平気で口にする
    ・身体感覚鋭いみたいな自分で言ってて県庁の跡地に教会とか言ってたのに下妻さんの話聞いたら上に乗っかって森にしようと放言、こっちが痛々しくなる
    が釈先生は本当によく抑えて下さっている。とてもバランス感覚のとれた落ち着いた方だ。
    下妻さんの長崎くんちや精霊流しのお話がとても胸に迫った。ぜひ観てみたい。

    127頁、「日本の人口が一〇〇〇万から一二〇〇〇万で」はあからさまな誤植

    ブクログの読書メモ二万字くらい?で制限かかっちゃうのつらい‥‥私しか読まないんだから余裕をもって十万字くらいメモさせてください!

  • 今回の聖地巡礼はキリシタン。
    長崎・京都・茨木・高槻。
    最近、遠藤周作の『沈黙』がスコセッシ―監督で映画化
    されるそうで、予告編を見ましたが、本を読んだときの
    想いがよみがえってきて、震える感じがしました。
    本を読んだ時も、なんと説明していいのかわからない
    特殊な感情を持った覚えがあります。
    その”沈黙”の聖地である長崎の外海や、26聖人殉教の地。
    原爆。浦上天主堂。大浦天主堂と信徒発見(信徒告白)の地。
    茨木の隠れキリシタンの里。フランシスコザビエルの
    有名な絵(教科書に載っているやつ)が茨木から
    出てきたことを初めてしりました。昔茨木に住んでいた
    時はそういうことをあまり知らずにいたのですが。
    うまく書けませんが、宗教はやはり人間であること、その
    存在意義(レゾンデトール)なのであろうと思います。

  • 2016/12/1

  • 16/11/27。

  • 巡礼が流行っているらしい。日本では四国巡礼が人気があるが、古代では圧倒的に熊野に人気があった。熊野には宗教的な雰囲気が充満しているとぼくも思う。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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