人間の運命

著者 :
  • 東京書籍
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784487804023

作品紹介・あらすじ

運命とは何か運命は変えられるのか。『大河の一滴』から11年-。いま五木寛之が到達した、究極の人間論!親鸞のことばの真実の意味がここによみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 五木寛之の別の本を買おうとして間違えて購入した本。
    本当は大河の一滴を買うつもりだった。

    この本を読んで何かを得たいと思ったが、有名な作家さんの本を読むことが出来て、最後まで読めて良かったな、と思うくらいで何の感動もなかった。

    私には合わない。

    人間は自分ではどうしようも無い環境下で決められた人生を歩む。
    人間は生きているだけで悪である。他の生物を殺して生きている。
    ほんの小さな希望があれば生きていける。

  • 人間は悪である。食べることは命を殺し、成功することは他人を押しのけているのだ。また、運命というものは一人の人間を大きな力で翻弄する。どちらも理不尽なことである。その理不尽さを受け入れるための知恵が仏教の教えなのだと。また、ひとりひとりの人間に必要なのは、不安や怖れに満たされた心に安心や希望を与えるための一筋の光のようなもの。それは宗教でなくてもよく、言葉や、ものの見方、なのである。というような本でした。著者の実体験から出てくる言葉には力がある。いい本だと思う。

  • 著者が幼い頃に太平洋戦争が終結し、入植していた平壌から必死(文字通り、多くの家族や仲間が死んだ)の帰国を果たした記憶を書き記しながら、「人間の運命」というものを考察している本。親鸞の教えが書かれているといわれる「歎異抄」を紐解いて、「状況によっては、どんな人でも悪人になれる」という親鸞の説話と、著者が生きて帰国するために何人もの人を見殺しにしてきた事実を重ね合わせている。終戦から60年以上、著者を悩ませ続けてきた事実と向き合い続けた結果、自分は悪人だけど救われるという確信を得た、ということだろうか。その辺はよく分からないけれど、とにかく迫力満点の本。

  • 宿業という言葉にとても感銘を受けた。自分の子供時代に起きた様々な嫌な出来事のすべては自分で選べるものではなかった。その事でいつも世の中が不公平に出来ていると考えてた。宿業という言葉であぁそうなのか と妙に納得した。

  • 五木寛之の「人間の運命」を読みました。全編を通して、運命とか宿命とか、個人の努力ではどうにもならないこともあり、良き人が短命に終わり強欲な人が長寿を真っ当するのもしかたない…など、なんとなくモチベーションが下がる内容でした。けっして本がつまらないのではなく、私の脳みそが深く読みきれないせいでしょう。しかし、最後の”闇の中に光をもとめて”の章は気に入りました。著者が子供の頃、奥深い夜の山道を提灯一つで隣村の親戚までお使いを頼まれたことがあったときのことです。途中で提灯の灯が消えて視界が真っ暗になりました。道は細く片方は崖。少し動くと崖を転がる小石の音で恐怖に襲われる。生きた心地がしなかったそうです。そんなとき一瞬、月であたりが照らされたときの心の変化を語っています。
    ~原文「あたりが見えたからといって、行くべき道が短縮されたわけではない。足の疲れが消えたわけでもない。ただ、あのあかりのところをめざしていけばよい、と思ったとき、真っ暗闇のなかで震えていた自分の足が立ち直った。にわかに元気がわいてきた。」原文終わり~
    目標が見える⇒道筋がわかる⇒足元が照らされている⇒恐れが消える。そうですよね。

  • 運命と成功

    よく成功した人は、くじけず努力を重ねた結果だと言う
    また努力を重ねるうちに
    「チャンスの女神の前髪を」つかむことができる
    という
    成功とは何かも人それぞれではあるが
    生まれながらにして恵まれ努力を成功に向けて費やすことが出来る人
    逆に人並みの生活を送るためにさえ努力が必要な人
    常に人の手を借りないといけない人
    人生のスタートの時点から違っている

    それをさも自分の努力だけで上手くいったように吹聴する人
    成功できなかった人は努力が足りない人であると見下す人
    運や運命が影響しているのに傲慢な態度を取る

    確かに努力は必要であるが
    それだけではどうにもならない目に見えないものがあることを
    彼らは知らず、もしくは目を伏せているように思える

    中にはこの成功が自分の努力だけではないと感じ
    成功の成果を社会に還元しているすばらしい人たちもいる

    そう、成功も社会から与えられたととらえ
    還元するということで、また自分や周りの人にも
    還元されると考えられる

    本書の著者、五木寛之氏は成功したにも関わらず
    運、運命について冷静にとらえ
    それらについて詳細に語っている

  • 著者の引き揚げ時の体験話は、何度読んでも泣けてくる。

    親鸞の説いた、「善悪を超越して人間はすべて悪人である」という考え方がなぜ今大切なのか。
    本書を踏まえた上で『親鸞上・下』も読みたい。

  • 運命<br />宿業<br />他力

  • 今、こうして生きているだけで運が良かったんだなぁと思いました。

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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