- Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
- / ISBN・EAN: 9784487802050
作品紹介・あらすじ
前世、宿業、善悪、慈悲、そして信じるとは?そのすべてを親鸞が明確に語りつくす。構想25年、著者渾身の私訳、ついになる。
感想・レビュー・書評
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歎異抄は有名なので読んでみたいとは思っていたが、色んな訳が出ている中でどれにするか決めかねていたところ、亡き祖父の本棚から本書が見つかった。
浄土真宗は「念仏さえ唱えれば誰でも浄土に行ける」というわかりやすい教えとして知られるが、その根底にある他力本願という心持ちを理解してこそ、親鸞を知ったと言えるのではなかろうか。
本書は親鸞の弟子が残した「歎異抄」を現代語に訳したものだが、「自力」に頼ることを捨て、ひたすら念仏して「他力本願」に生き、阿弥陀如来を信じて頼るべしというものだった。
私自身は信仰には縁がないと思って日々過ごしているが、それでもお墓や仏壇の前では厳粛かつ穏やかな気持ちになり、死者の魂を思う。信仰を全く持たない私がこのような気持ちになるのは、まさしく阿弥陀如来のお力だ、と親鸞なら言うかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さらりと読みやすいが、正直意味がさっぱりわからない。奥が深い文章なのだろう。他力とはなにか、一生を通じて繰り返し読んで考えていきたい本。
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南無 とはなんぞやと(今更ながら)思い、Google翻訳かけてみたら amen と出た。
日本語では、感謝、帰依、頼りすがること、など。
なるほど。
教えがシンプルなため、曲解されていること(異説)を歎き、親鸞の本来の教えを伝えるための書。
わかりやすい現代語訳は入門書としてとてもありがたい。
よく言われるキリスト教の教えとの共通点や違いについても興味深く読んだ。
他の現代語訳や解説書も読んでみたい。 -
とても分かりやすく、歎異抄の入門編としては最適でした。浄土真宗の基本的な考え方が、多少は理解できた気がします。浄土真宗で遺影を飾らない理由も納得できました。
図書館で借りたけれど、いずれ買って手元に置きたいと思います。 -
「歎異抄」はいくつかのバージョンで読んできたけど、これは「初めて歎異抄を読んでみたいのだけど、入りやすいのがいい」という人におすすめ。とても「なりきり唯円」度が高く、なんとも五木寛之さんらしい甘くやわらかい語り口での訳文が、いつものようにハートをわしずかんでしまうことでしょう。 そしてこの本は、五味文彦氏による解説がまた、少ない文字数ながらすばらしい。 全般的に情感たっぷりで、こういう現代語訳もステキ~と思いました。このまろやかさは、五木寛之さんならでは。
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私なりに考えたこと。
自分の良心、悪心、それが生み出す様々な行為や結果は、宿業によるものであり、自力で生み出されるものではない。人は状況によって何事でもなし得る。1000人殺せるか?の例は分かりやすい。
善悪、なんて、絶対的なものじゃない気がしてきた。時代によって、状況によって、多数決によって決まるようなものかも。本当に分からなくなってきた。
信頼して身を任せる、ということ。
世間の流れに身を任せるのではない。もっと大きな他力に身を任せる、ということ。救って下さる仏の大きな慈悲に感謝して、心に留め、どんな状況でも、精一杯生きる、ということ。
こういうことかな。ふいに、まとまったので追記。
人間は生きていくために、毎日食べる。食べるということは、命をいただく、ということ。生きるだけでも、悪なんだ。それなのに、自分は善人だと思っている人もいる。自分を知らず、善人だと驕り高ぶっている人ですら、救われるのだから、自分の罪を知り悪人だと認めている人が救われるのは、当然じゃないか、ということかな。 -
印象深いのは「悪人正機」。
自分が迷っている時には、何か大きな言葉が欲しくなるものですね。 -
歎異抄
名前は聞いたことのある人は多くても、内容まで知らない人には、現代語訳版としてはよいと思います。
ただ、これだけでは親鸞上人の真意までは理解しがたい。
解説書も必要です。 -
五木寛之氏による親鸞の弟子唯円によって書かれた「歎異抄」の私訳本。
まだぎりぎり20代の頃に知人に歎異抄の第三段と出会った。
多分一番有名な件だと思うのですが「善人なほもって往生をとぐ。いはんや悪人をや。」は衝撃だった。
そんな生ぬるい、いや易しい仏教の教えがあるのか?と。
この度やっと原典にも触れつつ、五木訳で少しでも理解を深める読書となりました。
親鸞自身が書き残した書籍には全くの不勉強なのに、死後30年も経ってから弟子が思い出しながら綴った本から読む・・・というのも順番がどうなのよ?(笑)とは思うのですがでも歎異抄はとても短く、そして易行を繰り返し教え広めていた親鸞上人にここは甘えてしまいましたw
でも、歎異抄を読んでみて、本当に易行すぎるくらい易行だし、ぬるいっちゃぬるいんだけど、「これもありだなぁ」とストンと腑に落ちました。
私たち人間は生きているだけで皆悪人なのだ、と。
でも阿弥陀仏様は悪人であろうと善人であろうと分け隔てなくお救い下さるんだ、と信じる心。
これが念仏なのかな、と思いました。
人生の壁にぶち当たった時、ストレスが貯まった時、きっと何度も再読する本になると思います。