書く仕事がしたい

著者 :
  • CCCメディアハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484212258

作品紹介・あらすじ

【書いて生きるには、文章力“以外”の技術が8割】
「仕事の取り方から、お金の話まで、すべてシェアします」

あるようでなかった「物書きとして、稼ぎ、生きていく」ための教科書――書く仕事を20年以上続けてきた著者が、「書くこと以上に大切な、書く仕事のリアル」について1冊にまとめました。文章を教えてくれる本や講座はすでにたくさんあります。しかし、書く仕事をしたいと思ったときに知りたいはずの、「書くという仕事」そのものについて教えてくれる本がなかったからです。書く仕事とはどんな仕事で、どんな生活を送ることになるのか? 書く仕事がしたければ、どのような準備をして、どんなふうにデビューするのか? 書く仕事は選ばれし者しかできないのか? “必要最低限”の文章力とスキルとは? どれくらい働けば、どれくらい稼げるのか? 心身を病まずに長く仕事を続け、仕事の幅を広げていくためには? 

“この本は、文章術の本ではありません。
この本を読めば、みるみる文章力がついたりもしません。
もしもあなたがすでに物書きとして活躍し、この先はひたすら文章力を磨くだけと思っているのであれば、この本はおすすめしません。
けれども、これから書く仕事がしたいと考えたり、長く物書きとして生計を立てていきたいと思うならば、お役に立てる部分があると思います。(「プロローグ」より)”

書き続けて生きていくには、「よく考えること」が何よりも強い戦略になります。一生を懸けるに不足ない、途方もなく魅力的な「書く仕事」について、みなさんと一緒に考えていきたい――雑誌やウェブメディアの「ライター」として、あるいは、年間10冊ほどを執筆・構成する「書籍ライター」として、また専門分野の書籍の「著者」として、そして月6本の連載を持つ「コラムニスト/エッセイスト」として。ライフステージごとに「よく考え」、書く場を増やし、仕事を続けてきた著者が、自身の経験を余すことなくお伝えします。

感想・レビュー・書評

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  • ライターである著者が、「書く仕事」とはどんな仕事なのか?についてまとめた1冊。
    しかも表紙にしっかり、こういう本ですよ〜という説明書きがあり、文章術だけを求めて手に取った人には求めていることと違うことが書かれていますよ〜と読む前からお知らせしてくれている。
    とっても親切であり、読者のミスマッチを少なくすることにもつながっているとおもった。

    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この本には「ライターとして生計を立てていく」ために必要な情報が書かれている。
    ライターとしてデビューするにはどうしたらいいか、仕事を受けたらまずなにをどう準備すればいいのか、編集者やdisコメントとどう向き合うか、収入を増やすためにはどうしたらよいか…などなど、ライターになりたい人の必読書と言ってもいいくらいの内容であった。

    びっくりしたのは「ライターの仕事は『聞く』が9割です」(161ページ)と書かれていたことだ。
    ライターなのだから、書くことだけで成り立つ仕事なのかとおもっていたが、書くための「原文」となるものは、インタビューから引き出すものなのだそうだ。

    この本にはインタビューをするにあたってライターがどんな準備をしているのか、どこをポイントにしているのかについてもしっかりと書かれていた。
    ライターという言葉だけでは想像できない、ライターという仕事の裏側を読めたのは、職場見学のようでとてもおもしろかった。
    知らない現場を知るということは、とてもたのしいものだ。

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    わたしはライターを目指してはいないけれど、ブログや本の感想をネット上で公開しているし、公募川柳やキャッチコピーにも挑戦している。
    書くことを仕事にはしていないけれど、公開を前提とした文章(=原稿)を書いている身である。
    だから、書くことへのマインドやなにをどう書けば、読む人に有益な情報として届けられるのか、ということについて興味があった。
    そんな興味に対してこの本は、いくつかの「回答」をくれる本となった。

    この本は、文章術の本ではないと明記されていたが、「平均点以上をとれる原稿にするためにどこを直せばいいのか」が、とてもわかりやすく書かれていた。
    また「企画を通せる切り口」「面白い文章を書くための切り口」のところは、ブログやレビューだけでなく川柳を詠む上でも大きく参考になった。

    実はこの本を読んでいた時期は、公募川柳に応募してもまったく入選しない時期が丸2ヶ月続いていた時期でもあった。
    どうしたらよいのかわからずにきたときに、本書のこの文章を読んだ。

    「不思議なもので、誰かに届きますように、と書いた文章は人の心に届くのだけれど、誰かに褒められますように、と書いた文章って、なぜだか人には届かない。多分、どこかに濁りが出るのだと思います。」
    (209ページ)

    川柳を作るとき、わたしは「入選したい」(褒められたい)とおもって詠んでいなかったか?
    届けたいというおもいではなく、「入選したい」が先走って、テクニックだけに走ってなかったか?

    気持ちだけでも届かないけれど、届けたいものがないのに技術だけでごまかしても、誰にも届かないのだな…とこの文章を読んでしみじみおもった。
    (ちなみに同時期にこれまたたまたま呼んだ有川浩さんの小説あとがきでも、似たような文章があった。「書くこと」を仕事にして生きておられるお二人から、似たような文章が発せられていることに驚いた。それと同時に、実際に成功されているお二人が言うのだから、これは書くことに必要な本当のマインドなんだと感じた。)

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    ライターとして生計を立てたい人、まだそこまでじゃないけど職場見学感覚でライターの仕事をのぞいてみたい方には、読んでみて!!とこの本を腕にはさみたい。
    また、ネットなどに限らず社内報とか掲示される文章など、どこかしらに公開する文章を書く方にとっても、ヒントを得られる本だとおもう。
    この本とともに、わたしも文章スランプを抜け出すぞ!!と強くおもった。

  • 蔦屋書店平積み。めちゃくちゃ面白い本だった。ライターとはクリエイティブではなく、平均的な仕事を納品できるか。わかりやすい文を書く。媒体の相場感を持つ。(ユニクロはリーズナブルと表現できる媒体なのか?)言葉の棘を取る。(クレームを受けた→お叱りを受けた。読む人が不快にならないか。)面白い文章を書くためには、視野(どこを見るか)と視座(どこから見るか)

    ビジネス書としても優良。ボリュームもかなりある。

  • ライターを21年続けてきた著者が語る「書く仕事」のリアル。文章術ではなく、仕事の取り方からお金の話まで、隠し事なくシェアしてくれるライターの教科書。書いて生きてみたいと考えている方にはぜひ読んでほしい。

    ぼくは本の感想を日々書いている。紹介するのが好き。文章だけはある程度は書ける。ライターに向いてるのかな?と考えていたのは甘かった。一読者として書く文章と、ライターの原稿とは方向性がまるで違う。取材対象を知り、その魅力を読者に伝わるよう翻訳することの面白さと難しさが伝わってきた。

    著者自身の体験したこと、失敗談まで余すところなく綴られている。読み物として面白いのはもちろん、書く仕事への洞察の深さは勉強になった。文章力よりも大切なもの。まず聴く!新しい世界の知識を面白がって深掘りできること。これは書くだけじゃない、人生そのものにも活かせることだと感じる。

    個人的にいいなと思った要点をまとめておきます。

    ・「どこに向かって書くか」は、実は「何を書くか」と同じくらい重要。
    ・どんな状態でも常に「書き続け」なくてはいけないし、「書き終わら」なくてはいけない。ここがプロのライターになれるかどうかの境目。
    ・ライターとは、日本語を日本語に翻訳する仕事。
    ・文章力は「間違っていない」から「わかりやすい」までを意識。
    ・「いま、すでに知っている人たち」と、誠実に関わっていけば、自然と伝手は生まれる。
    ・「徹子式」時系列に沿って、その方のエピソードを聞きだす。
    ・「タモリ式」一つのテーマに沿って、質問をどんどん深くしていく。
    ・物書きとして生きることは、目をこらし、耳をすませ、取材者として生きる態度を持つこと。
    ・「構成とは、因果関係のこと」
    ・単なるアイデアには、ビジネスとしての価値はない。実行できることまで保証して初めて企画になる。
    ・何度も直面する問題には、一度じっくり考え、暫定解を持っておくと安心。
    ・一緒に仕事する人、テーマ、報酬。この三つのうち二つをいいなと思ったら引き受けるべし。

  • まずはタイトルと帯。つかみがうまい。こう来たらたとえ商売として考えてなくても書くことに興味のある人ならグッと心を掴まれることでしょう。
    内容も話すように書かれている文章がとっつきやすくて読みやすい。章立ても飽きないように適切な長さでどんどん読みたくなる。
    構成も考えられているなぁと。この本自体が本づくりの見本になっているかなと。

    確かにご本人のおっしゃるようにプロとして文を書き続けるということは、書く才能というよりは視座視点、企画の発案が大切なんだろうとも思いました。
    後半に進むに従って、より実践的な突っ込んだ内容になっていくのも面白い。本気で余すところなく書きたい人に知恵を与えようとしているのが伝わってくる文です。逆に言えばここに出てくるようなことが出来ない人はプロの物書きとして続けていくのは難しいのだろうとも感じさせられます。
    単なる読み物としても十分面白いです。
    (実際はハウツーものとしてよりそう読む人のほうが多いかも?)

    エピローグに「文章を書くことは確実に世界を狭めること」とあり、どういうことかと疑問でした。でもその解説(?)として著者のお父さんのことについて書かれているのを読み、深く納得。私自身自分の父が亡くなったあとに父の思い出をあるところに投稿して掲載されたことがあるのですが、私はそうすることが「父のことをこの文をきっかけに思い出し、そしてそれ以外の感情は忘れてしまうだろう」(経験の固定化)というように考えたことはありませんでした。でもそう言われてみると確かに著者のおっしゃるとおり。
    それは決して書いたことを後悔することではないし記憶が固定化されたりそれ以外を忘れてしまうこともやむを得ないことではあるけれど、やはりさみしく哀しいことでした。
    私はそれだけでいいけれどプロはさみしいと言うだけではすまないものがあるでしょう。

    考えてみたらそれはすごく怖いことでもある。ライターは取材して相手を主体に物を書くのが本分でそこには書き手の感情は通常入れない。(と本書にもあったと思う)なので取材して書くものとは違う自分の経験や感情から文を書く場合は経験の固定化という怖さに、覚悟のようなものを求められる場面が多くあるのではないかなと考えさせられました。物書きで生きていく人の性(さが)というものを深く感じさせられるエピローグでした。

  • 【究極の自由業】
    小説家になるには的な本を予想していましたが違いました。

    ライターという職業の方でした。

    インターネットでヤフーを見ていても記事が多数あります。よく考えれば、これ全てライターさんが記事を書いているのですね。(←あたり前か)

    しかも、中には一人で複数の記事を書いている人もいるかもしれませんが、一人の人が同じ日に大量に記事を書いているとは思えません。つまり、それだけライターさんの人数が多いことを示しています。
    新聞、雑誌、地域情報誌、webなども含めると膨大な量です。
    ライターさん不足も何となくわかるような気がします。

    さらに書籍も毎日200冊も出版されることを考えると、書く仕事をしている人はどれだけいるのでしょう。あるいは一人当たりの書く文字数がどれだけ多いのでしょう。

    書く仕事はやろうと思えばもとでがなくてもできますし、定年もないのでなかなかいい仕事かもしれません。

  • 仕事柄、ライター入門のたぐいはかなりの数を読んできたが、本書はそれらの中でもかなり上位に置ける。

    既成のライター入門の多くが「文章読本」的な内容に偏りがちであるのに対し、本書は文章以前のライターとしての生き残り方・ステップアップの仕方・仕事の効率的な進め方にウェートを置いている。

    ゆえに、帯の惹句は「書いて生きるには、文章力“以外”の技術が8割」。
    (とはいえ、文章術の最低限のポイントはきちんと押さえられている)

    誤解されがちだが、ライターは「自己表現をする仕事」ではない。「少しだけクリエイティブなサービス業」だと私は思っている。クライアントや読者のニーズに合わせた、“文章によるサービス”を提供するのが仕事なのだ。
    ただし、そこにはある程度のクリエイティビティも当然必要だから、「クリエイティブなサービス業」。

    従来のライター入門の多くは、“クリエイターとしてのライター”になるための本であった。
    それに対し、本書はライターのサービス業(という言葉を著者は使っていないが)としての側面にきちんと目を向け、その面でよいライターになるためのノウハウをくわしく説いている。私はその点に深い共鳴を覚えた。

    内容の7割くらいは、「ホントにそのとおりだ!」と激しく同意しながら読んだ。

    残りの3割は、感服つかまつって読んだ。
    著者がライターとして成長するため、生き残るために続けてきた努力の数々に、「私にはとてもそこまではできない」と脱帽するポイントが多数あったのだ。

  • タイトルにあるような思いのある人は手に取ってみてほしい。

    書くことは、何たるか。
    そして書くことは、一見自由奔放に書けるようでいて、そうでは無いことを温度感のある筆者の言葉で教えてくれます。

    そして改めて、私は本が好きになりました。

  • ライターのリアルな働き方、心構えを惜しげもなく語ってくれる本。

    因果関係を明確に。
    文章は短く。

  • Instagramでお勧めされていて読んだ本。

    WEBライターに興味があり、
    読んでみたが予想を裏切られた。

    チャプター4は書く仕事に必要なマインドが書いてあるが、
    一緒に仕事する人とどう向き合うか?や、自身のスケジュール調整など、
    ライターに限らず
    特にわたしのようなOLにも
    すぐに役に立つ仕事の知恵がたくさんあった!

  • とても読みやすく、良本でした。タイトルの、書く仕事に対してなのはもちろん、ほかの仕事にも言える事であり、ためになる。なんとなーくわかってるけど実践できてない事を言語化されて浴びせられるのは、私の耳には痛かった。痛い耳のために少しずつがんばる。

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著者プロフィール

佐藤友美(さとゆみ)
1976 年北海道知床半島生まれ。お茶の水女子大学文教育学部国文科卒業後、テレビ制作会社勤務を経て、2001 年より、ファッション誌のヘアページを手掛けるライター・エディターとして活動。2014 年からは、ビジネス、自己啓発、ファッション、健康、美容、法律など、幅広いジャンルの書籍を手掛けるライターとしても活躍の幅を拡げており、年間10 冊以上の構成に携わっている。また、長年ファッション誌のヘアページを担当してきた経験を生かし、年間60 〜80 本の講演活動や、美容専門誌での執筆、サロンのブランドマネジメント、美容メーカーの商品開発などに携わる。美容業界に向けた著作に『集客につながるフォトシュートレッスン』(髪書房)など。髪の大切さを一般読者にわかりやすく伝えた近著『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)はベストセラーとなり、テレビ、雑誌など各メディアで注目を集めている。

「2017年 『道を継ぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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