- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484202082
作品紹介・あらすじ
一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう。
憎かった兄が死んだ。
残された元妻、息子、私(いもうと)
――怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。
「わたくし、宮城県警塩釜警察署刑事第一課の山下と申します。実は、お兄様のご遺体が本日午後、多賀城市内にて発見されました」――寝るしたくをしていた「私」のところにかかってきた1本の電話。それは、唯一の肉親であり、もう何年も会っていなかった兄の訃報だった。第一発見者は、兄と二人きりで暮らしていた小学生の息子・良一君。いまは児童相談所に保護されているという。いつかこんな日が来る予感はあった。金銭的にも精神的にも、迷惑ばかりかける人だった。二度目の離婚をし、体を壊し、仕事を失い、困窮した兄は、底から這いがることなく、一人で死んだのだ。急なことに呆然としている私に刑事は言った。「ご遺体を引き取りに塩釜署にお越しいただきたいのです」
兄は確かに優しいところもある人だった。
わかり合えなくても、嫌いきることはできない。
どこにでもいる、そんな肉親の人生を終う意味を問う。
遺体を引き取り、火葬し、ゴミ屋敷と化している兄のアパートを整理し、引き払う。そして、何より、良一君の今後のことがある。兄の人生を終うため、私(いもうと)、元妻(加奈子ちゃん)、そして息子(良一君)の5日間の修羅場が幕を開ける。
「えっ!」と思わず声が出た私に、
加奈子ちゃんは、「ほら、そっち! 早く!」と促した。
まだ心の準備ができていないんだって!
感想・レビュー・書評
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残されたたった一人の肉親である著者の兄が、宮城県多賀城市内のアパートで、脳出血により死亡。その後始末のいきさつが綴られた作品。
一緒に片付けをする兄の元妻と娘や、亡くなった兄を発見した息子の様子が描かれている。著者の心情と合わせ書かれた本書は、一編の小説を読んでいるような感覚になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は翻訳家の村井理子さんの体験談で、孤独死した兄を弔うドキュメンタリーだった。疎遠になっていた兄が孤独死したという知らせを、突然に警察から受けてからの5日間を綴ったもの。
お兄さんは離婚していて小学生の子供と2人で住んでいた。両親も亡くなってる場合に、知らせ先は元妻ではなく実妹に来るものなのだと先ず思った。そうか、最後は血縁なのかぁとあらためて感じ入った。
村井さんは兄の元妻と共に、住んでいた住居の片付け、残された小学生の甥っ子の問題(元妻が引き取る)、葬儀への段取りを手際よくこなしていく。それが淡々とした筆致で描かれているのが好きだった。勿論悲しみがないわけではない、時折り彼女らに感情が込み上げて来る場面もあるが、極力抑えられた兄との別れがもの哀しく伝わって来る。別れだけでなく、後に残る者たちの次へのステップが明るい。
『しろがねの葉』を読み終えて引きずっていた脱力感を吹き飛ばしてもらえました。両作ともしなやかな強さを持った女性たちが素敵、とても憧れます。 -
夜に知らない番号から着信
それは、疎遠になってた兄が亡くなったという警察からの知らせの電話…
小説かと思ったら、ノンフィクション
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この下に続きの感想書いてたのに消えてる
借金問題で疎遠になってた兄
離婚して小学生の息子を引き取ってた兄
心だけは優しいと言われてた兄
手先が器用だった兄
仕事は早く決まるが長続きしない兄
いろんな顔を持つ兄
その兄が突然亡くなってからの5日間の出来事の話
離婚して離れて暮らしてたお母さんが息子を引き取りますって言ってもなかなかすぐには引き取れないのに驚いた。
そして、遺品整理は大変。
生きてるうちに、物は減らそう。 -
琵琶湖のほとりで夫、双子の息子、犬と暮らす
村井理子さんのもとに突然届いた兄死亡の知らせ。
さんざん迷惑をかけられ、数年疎遠になっていた兄。
後片付けをしに宮城へ。
考えさせられたのは次の二つです。
兄はどうしてこんな人間に育ってしまったのか。
最近読んだ生物学の本を思い出すと
人類、特に男は、種の保存のために個性的に育つということか。
男の子を育てるのって難しいんだなあと思う。
そして、自分。
いつ突然命を落とすかわからないから
部屋は綺麗にしておかなくちゃ。
気が引き締まりました。 -
たまたま並行して本書と『ヴィオラ母さん』(ヤマザキマリ著)という2人の著者の、全くもってプライベートな家族の話を読むことになった。
他人様(ひとさま)の人生や生活なので、読者である私がその良し悪しについて考える意味は無いと思う。
ただやっぱり、著者の境遇が自分にも近い部分が少しでも有ると、そちらにはどうしても感情移入してしまう。
私の場合、それは本書の方だ。
著者の理子さんと、兄の前妻の加奈子さん、本当に頑張った。
彼女達は偉い。
私にはできない。
理子さんと加奈子さんが片付けている時に不躾な言動をしてきた近所のじじばばを除き、塩釜と多賀城の方達がいい方ばかりで本当に良かった。
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「ぎゅうぎゅう焼き」の村井さんの本。
途中でやめられず一気に読了。
読者の多くがお兄さん目線で読んでいるとどこかに書いてあった。が私は、最初から最後まで妹である著者目線で読んでいた。理子ちゃんはそのまま私、のような気さえしながら。
妹からみた兄像と、母から見た息子像の違い。
家族だからこそ、許せないこともある。
いろんな家族の形がある。
印象に残っているのは、お兄さんとの関係について。
自分に置き換えて 考えてしまった。
人間いつ何が起こるかわからない。
私だって明日死ぬかもしれない。
その時に備えて、できるだけ物は少なくしておこう。
葬儀屋に、湯灌してお着物を着せて差し上げる代金が三万八千五百円になりますと言われたら
「どうせ火葬するのでお着物はけっこうです」
と言いそうな気がする、うちの夫なら。ガッツあるので^^
別にいいけどね。
あ、この本の補稿をちょくちょく村井理子さんがブログに載せてくれるのだけど、すごくいいです、こういうの。
登場人物の「その後」ってけっこう気になるので!
http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-1722.html-
2021/01/20
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2021/01/20
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ざざあるいは電気羊さん
伯父の時に、とても丁寧に、お声をかけながら、して頂いたので、母は、好感を持ったようでした。ざざあるいは電気羊さん
伯父の時に、とても丁寧に、お声をかけながら、して頂いたので、母は、好感を持ったようでした。2021/01/20
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嫌な事や面倒な事があっても簡単に切り離す事が出来ない家族という絆というかしがらみは、なかなかにしんどい。
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これはおもしろい!一気読みでした
突然死した兄を天国へ送るまでの手順
どこにでもある恐ろしい汚部屋
兄の転がり続ける転落人生
恐ろしけど誰にでも起こり得るお話 -
仕事チームの先輩が勧めてくれた本
あまりにもあまりにもで…
一気読みしてしまった!
翻訳家でエッセイストの村井理子さん
その語り口は楽しくわかりやすくファンも多い方
その村井さんのもとにある日かかってきた1本の電話
宮城県警からかかったその電話は兄の死の知らせだった…
滋賀県から宮城への道中から明らかになっていく兄と妹のあまり良好と言えない関係などが語られていく。
読み進めていくと兄と妹の確執や理由が明らかになっていくのですが、近い血縁なので縁が切りたくても切れないジレンマがすごく伝わってくる~
兄の遺体が発見された部屋はゴミ屋敷になっていて
遺体を発見したのは兄の長男で
お金の面でも色々困っていて
人間関係も難しかったようで
離婚もしていて
と…まあ…なかなかな問題が…
仕事の都合上、5日で片づけをしないといけないということもあり日にちごとに語られていく兄の姿と村井さんの思いの変化など…すごく心にきます!そしてくすっと笑えたりもします。
そして…元嫁の加奈子さんがすばらしいです。
家族って…深い -
県警からの突然の電話。
関わりあいたくないたった一人の兄が
突然死したとの連絡を受けることから始まる。
発見したのは小学生の息子(甥っ子)。
重たい内容になる話だけれど
軽快な文章で、一気読み。
兄の終いを元嫁ちゃんと片づけてしまうまでの
ドタバタの数日間のお話。
元嫁ちゃんがしっかりしていてすごい!母は強し!
兄妹でも知らないことばかりかもね。
人が亡くなるって、改めてその人のことを考えるね。
ダメダメなお兄さんだったかもしれないけれど、
頑張っていたこと。
子どものことを大切にしていたことがわかってよかった。