翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

制作 : 金原 瑞人  三辺 律子 
  • CCCメディアハウス
3.99
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本棚登録 : 848
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484192277

作品紹介・あらすじ

あの「BOOKMARK」が1冊の本に!
最近の翻訳小説の中で特におすすめのものを選んで紹介している大人気のフリーブックレット「BOOKMARK」(設置書店80店舗/4000部配布)をベースに加筆修正したうえで書籍化。
著名作家による書下ろしエッセイと、各書籍の紹介はその書籍の翻訳家が自ら執筆!!
その本の面白さ、背景など、翻訳家ならではの視点で描かれたコラムも人気。

感想・レビュー・書評

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  • 始めてみるタイプのブックガイドで、読み物としてかなり楽しい。
    CDサイズの「Book Mark」というフリーペーパーがあるが、毎号テーマに合わせYA向けに16冊の海外文学を紹介している。面白いのは翻訳者の解説で紹介するというスタイルだ。
    これはその書籍化で、1号から12号までの3年間分。
    400字ほどの文章に込められた訳者さんたちの、作品にかける思いが伝わってきて、つい本気になって読み込んでしまった。
    そして、すっかり作品を読み終えたかのような勘違いの充実感を味わっている。

    12のテーマに分かれていて、各章の始めに訳者さんによる見開き2ページのコラムがある。
    ここだけでも面白くその先へと興味をそそられる。
    いつもは「ひんやり」とした雰囲気の江國香織さんが、原書で読んで熱狂したという作品を紹介しているのが、第一章のトップ。
    他には、この企画の主宰者である金原瑞人さんを筆頭に、町田康さんや、村上春樹さん。
    東山彰良さんや恒川光太郎さん、青山南さんや岸本佐知子さんのお名前も。
    翻訳を生業とするひとってたくさんいるのね、というのが正直な感想。

    一番読みたいと思う本が多かったのが映画の原作本。
    観てから読むことに一切の抵抗はないので、これまでもそうやって読んできた。ここは「ひこ・田中さん」のコラムだ。
    あとは、音楽特集の17冊。たいそう魅力的な本ばかりなので全制覇を目指そう。

    「はじめに」の中の言葉にもあるが、海外文学の良さは、日本文学とはまるで違う楽しさを教えてくれるところ。
    ストーリーテリングの上手い作家さんが多く、あっという間に作品の中に連れて行ってくれるという特徴がある。更に面白い点は、違う価値観というものを発見できる。
    既読の本はわずか13冊しかなかったが、日本人とは感じ方・考え方が異なるということが、いつも新鮮な驚きをもたらしてくれる。「え?そこで怒るの?」なんてことがとても多い。
    YA小説の中でさえそうなのだから、いわんや現実生活においておや。(トヨザキさんの真似)

    何か月もかけて訳した作品に思い入れがあるのは当然で、読みどころをきちんと押えた紹介文が、つくづく面白い。原書で読んで惹かれた部分や苦労話もある。
    「Book Mark」の小冊子をこちらの図書館にも置いてくれると良いなぁ。
    YA向けではあっても大人が読んでもじゅうぶん面白いかと。
    海外文学が苦手な方は、ここからスタートを切れるかもですよ。

  • 「『もっと海外文学を!』『翻訳物はおもしろいんだ!』と主張する冊子」
    「BOOK MARK」はそんなフリーペーパーとしてスタートしたそうです。
    『はじめて読む海外文学』(仮題)という書店でのフェアの第一回目で約五十人の編集者や翻訳者がそれぞれ「はじめて読む」のにぴったりだと思う海外文学を紹介し、趣旨に賛同した書店がその五十冊を店頭に並べたそうです。
    今年で五回目を迎えたそうです。
    そして、それを今回書籍化したのがこの本。
    一号から十二号までの三年間だそうです。

    光文社古典新訳文庫に入っているような(トルストイ『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』、アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』など他)古いものから、わりあい最近のミステリー(ミシェル・ビュッシ『彼女のいない飛行機』、エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』など他)やもちろん超有名タイトル(ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』、カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』など他)も入っていますが、ブックガイド好きを自認する私も初めて目にするタイトルの本が比較的多いようにかんじました。他のブックガイドでは、まだ紹介されていない本がかなりあると思います。
    ただ、この本は紹介文を読むと、大人の鑑賞にも十分にたえる作品が紹介されているとは思いますが、大人向けではなく、ヤングアダルト向けだそうです。
    今、図書館で借りていますが、この本は買って手元に置こうと思っています。

    本を紹介しているのは、それぞれの本の訳者の方で、作家さんや、翻訳もされる作家さん(江國香織さん、村上春樹さん)の紹介文もあります。

    • やまさん
      まことさん
      こんにちは。
      手元に有るもののタイトルを「永遠の詩(8) 八木重吉」に載せました。
      両方とも図書館に有ります。
      やま
      まことさん
      こんにちは。
      手元に有るもののタイトルを「永遠の詩(8) 八木重吉」に載せました。
      両方とも図書館に有ります。
      やま
      2019/11/10
    • まことさん
      やまさん♪
      拝見して、あちらにお礼をコメントさせていただきましたのでご覧ください。
      やまさん♪
      拝見して、あちらにお礼をコメントさせていただきましたのでご覧ください。
      2019/11/11
  • ワクワクした。今年本の楽しさを思い出せてよかった。

    この本に載ってる本はあんまり読んでないけど、映画は意外と観てて、思い出し記録ができました。

    読みたい本をいっぱい見つけてしまったけど、やっぱり東南アジアの本少ないな(っていうかこの本には載ってないかな?)と思って、東南アジアの作家の本を読むことにした。あまのじゃく。

    (そのほか少ないのは、アフリカ数冊、中東数冊、ラテンアメリカ数冊。)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      shokojalanさん
      欧米系以外は殆ど無いですよね。一度英語以外の特集があったけどカバー出来てない。今、この国で必要な本だと思うけど、、...
      shokojalanさん
      欧米系以外は殆ど無いですよね。一度英語以外の特集があったけどカバー出来てない。今、この国で必要な本だと思うけど、、、
      2020/12/13
    • shokojalanさん
      猫丸さん
      コメントありがとうございます。はい、英語以外特集があり配慮は感じられるのですが、どうしても欧米の占める割合が大きくなってしまいます...
      猫丸さん
      コメントありがとうございます。はい、英語以外特集があり配慮は感じられるのですが、どうしても欧米の占める割合が大きくなってしまいますね。
      在外邦人は多い国順に、米、中、豪、泰、カナダ、英と英語圏が多いですが、
      在日外国人は多い国別に、中、韓、ベトナム、フィリピン、ネパール、インドネシアとアジア圏が続くようです。
      もっとアジアの理解を深める流れが出てきてもいいのかなと思います。
      2020/12/13
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      shokojalanさん
      仰言る通りだと思います。
      やっと韓国や台湾の大人向けの翻訳本が増えてきました。子ども達が興味を持って貰える本も増え...
      shokojalanさん
      仰言る通りだと思います。
      やっと韓国や台湾の大人向けの翻訳本が増えてきました。子ども達が興味を持って貰える本も増えるでしょう。そして東南アジアや中南米にも広がって欲しいモノです!
      2020/12/13
  • 翻訳者によるオススメ翻訳本を載せた
    フリーブックレットを書籍化。
    作家さん(江國香織、ひこ・田中、松岡佑子、
    東山彰良、深緑野分、星野智幸、恒川光太郎、
    町田康、川名潤、松田青子、村上春樹、
    佐藤亜紀(敬称略))による書下ろしエッセイも
    掲載されています。

    海外本案内というと過去の名作が取り上げられている
    ことが多いですが本書は新しい作品が多く
    読んでいて楽しかったです。

    ネットでバックナンバーを読むことができます。
    https://kanehara.jp/bookmark/backnumber/index_bn.htm

    既読は8冊。
    個人的に読みたくなったのは、
    「国を救った数学少女」ヨナス・ヨナソン
    「14歳、僕らの疾走ーマイクとチック」
    ヴォルフガング・ヘルンドルフ
    「フランス組曲」イレーヌ・ネミロフスキー
    「ベルリン1993」クラウス・コルドン
    「14歳のアウシュビッツー収容所を
    生き延びた少女の手記」アナ・ノヴァク
    「スノードーム」アレックス・シスラー
    「高慢と偏見とゾンビ」セス・グレアム=スミス
    「キャロル」パトリシア・ハイスミス
    「トゥルー・ビリーヴァー」ヴァージニア・
    ユウワー・ウルフ
    「ぼくには数学が風景に見える」ダニエル・タメット
    「ブルーは熱い色」ジュリー・マロ
    「ヴィトゲンシュタイン家の人びとー
    闘う家族」アレクサンダー・ウォー

  • 翻訳者を志望する身として、楽しい一冊。

  • 書店におかれたフリー冊子「BOOKMARK」は、CDサイズのコンパクトなつくりとオザワミカさんの表紙イラストが好きで、ときどき手に入れそびれながらもほぼ毎号手に入れていた(行きつけの書店がたまたま配布してくれてるおかげは大きい。巻末の鼎談を読むと全国の図書館にも送付しているらしいが、地元図書館ではみたことない)。その1〜12号までの三年分が本にまとまった。
    この企画のすごいところは、タイトルにある通り基本的に翻訳した本人がその訳書を推すというスタイルで、原作の魅力を知り尽くし、なんとか日本の読者にも届けたいとエネルギーを注ぎ込んだ当事者の思いが、そのときどきのテーマごとに出版社の枠を超えて集まっている。この冊子から興味を持って手にとり読んだ本も少なからずあるし、積んである本も、そのうち読もうと頭のリストに入れてる本もそうとうある。

    フリーペーパーの方は2022年春の20号をもってひとまず終了となった。19号と20号の間の緊急特集「戦争を考える」も含めて、とおからずもう一冊のブックガイドが出るはずなのが楽しみ。

  • 元々は冊子で無料配布していたらしいもの。それを集めて一冊の本にしたのがこちら。海外文学の紹介集by翻訳者。

    おいおい、こんな本手に取ったら積読本が増えるのは必然じゃあないか。中には読んだことのある「悪童日記」や、映画で観た「ハウルの動く城」や、読んだし観た「トレインスポッティング」やら魅力的な本がたくさん紹介されている。

    1度読んだだけでは確実に忘れてしまうので、買ってしまおうかと思案中。でも買うと積読本と観たい映画が増えてしまう。一生かかっても消化不良確実。

    オザワミカさんのイラストがシャレオツでカッコイイ。

  • 9/30は世界翻訳の日翻訳小説との幸福な出会いがありそう。
    フリーブックレット「BOOKMARK」をまとめた一冊。

  • 海外の文学作品を翻訳家自らの解説で紹介、本好きにはとても贅沢なブックガイドです。<翻訳物>の面白さをもっと世間に広めたいという企画編集で始まった小冊子『BOOK MARK』は、公立図書館2千館への配布が起源だそうで、本書は12回までの分(テーマごとに17作品、合計204冊を紹介)が掲載されています。大半が未読ですので、またまた読欲に掻き立てられます。既読作品に出会うと、旧友に再会したような嬉しい気持ちが込み上げてきます。

  • 書店にて配布しているフリーペーパーをまとめたもの(何度ももらおうとチャレンジしているのだけど、いつも既に配布を終了してしまっている……)。
    毎回テーマごとに巻頭エッセイ+16冊の紹介がされている。
    海外文学、やはりまだまだ奥が深い。もっといろいろ読めたら良いなあ。
    どの翻訳家も自分の訳書に並々ならぬ愛情を注いでいるのだな、というのが改めて感じられた。

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著者プロフィール

1954年生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授。フィクション、ノンフィクション、児童書など、多ジャンルにわたって翻訳を手がけ、特に海外のYA(ヤングアダルト)作品を精力的に翻訳し、日本に紹介。訳書は550点以上。主な訳書に『武器よさらば』(ヘミングウェイ)、『青空のむこう』(シアラー)、『月と六ペンス』(モーム)、『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』(サリンジャー)、『リズムがみえる』(アイガス)など。エッセイ集に『サリンジャーに、マティーニを教わった』『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』など。日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』『怪談牡丹灯籠』など。ブックガイドに、『10代のためのYAブックガイド150!』、『13歳からの絵本ガイド YAのための100冊』、『翻訳者による海外文学ブックガイドBOOKMARK』など。

「2020年 『ゴーストダンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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