ペンブックス1 ダ・ヴィンチ全作品・全解剖。 (Pen BOOKS)

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制作 : ペン編集部 
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484092126

感想・レビュー・書評

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  • このまえに今年5月に出版された池上英洋先生による
    ちくまプリマ―新書『よみがえる天才2レオナルド・ダ・ヴィンチ』を読んでとても面白かったけど、
    「やっぱり美術本はカラーだな」と思いました。
    おそらく値段との兼ね合いで検討はしたのでは。

    この本でのお気に入りは
    「生涯をかけて旅をした、レオナルドの足跡」。
    これを文で上手く表現したのが『よみがえる天才2レオナルド・ダ・ヴィンチ』にあるので、ここに書きます。

    〈現代から振り返ってみれば、彼がフランスで亡くなっていることは示唆的です。
    イタリア・ルネッサンスの土壌となった群雄割拠状態は、すでに見たように絶対王政国家に対する軍事上の敗北の原因となりました。
    ルネサンス思想の根本にあった自治共和政をイタリア人民は放棄し、君主政を自ら望むようになります。
    実際に、たとえばメディチ家はほどなくトスカーナ大公となって公的に君主となります。
    さらに、コロンブスやアメリゴ・ヴェスプッチなど、イタリアの航海者たちによって開かれた大航海時代は、大西洋に面するスペインやポルトガル、次いでオランダとイギリスを世界史の主人公に引っ張りあげる結果となります。
    イタリアの地理的優位は失われ、かつてヨーロッパの金庫だったはずの経済力がイタリアの手から漏れおちていきます。
    レオナルドが生まれる一年前にコロンブスが誕生し、レオナルドが亡くなるのと同じ年にマゼランが世界周航の旅に出ているように、レオナルドの一生はまさに大航海時代の大波にぴったり重なっていました。〉

    しかし、こうもあります。
    〈彼がルネサンスのイタリア、それもフィレンツェ近郊に生まれたことも幸運でした。
    戦争による中断など時代に翻弄された人ではありますが、彼が諸国で才能を伸ばせる機会を得たのは動乱期ならではです。
    そして育て上手の師匠や、さまざまな分野の専門家の先達に出会ったことも彼の滋養となっています。
    加えて、あらたなことにチャレンジする勇気も学ぶべきでしょう〉

  • 世界で最も有名な画家レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画から手稿まで全てをバランスよく教えてくれる解説本。
    現存作品が少ない事から既知の内容も多いが、改めて全作品と彼の生涯を包括的に復習してみると圧倒的な天才で努力の人ということがよく分かる。


  • 全編カラー、習作や未完の作品や手稿も載せられてこの値段は安いくらいに感じました。美術関係はかなり疎く、レオナルド・ダ・ヴィンチくらいは、ある程度わかっていた方がいいのではと思い購読。

    年代的にも画家や芸術家というのが職業として確立していたというよりかは、工房に来る依頼を受けて、技術を高めて信頼や名声を得ていくような時代だったのかもしれません。パトロンの愛人をモデルにしているのも自分にはわりと衝撃でした。
    完成された作品が少なく、手記からあれこれ判断するのも楽しそうです。
    作品以外にもレオナルドの足跡や人柄を感じさせるようなエピソードなど、母性に対する憧憬や中性的なモデルの表れを作者の視点から観るのも今まであまりしたことがありませんでした。
    『東方三博士の礼拝』の偶像的な絵画がお気に入りです。修道院側が制作の続行に首を縦に振らなかった可能性の示唆。他の絵でも大胆な構図の変更を試みている、確立されていない手法の考察、またその変遷が解説によって部分的に紐解かれていきます。
    既存の概念、定型をいかに破壊して新たなものを生み出すか。創造と破壊が同時に成されてこその芸術だと思います。

    もともと本の購入はルーブルやレオナルドを特集にした映画を見逃したことを機にしていたので、なおさら後悔が増しました。他のレオナルド本や画集など機会があれば読んでみたいと思いました。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:702.37||P
    資料ID:95190583

  • 借りたもの。
    レオナルドの作品を簡潔にまとめた、レオナルド入門書。
    完璧主義すぎて、生涯で単独で完成させた作品はわずかしかなく、弟子や他の画家との共同制作のもの(真筆ではない)ものも多い。しかし、レオナルドの描写は抜きんでている。
    主要な手稿の写真も掲載され、彼の“万能人”ぶりが伺える。

    タイトルでは“ダ・ヴィンチ(「ヴィンチ村の」の意。名前ではない)”となっているが、本文では一貫してレオナルドと、名前で表記されている。そこからもちゃんと美術史学者が監修していることが読み取れたので、安心。

    当時の感覚を現代の価値に置き換えて語るコラムとそのイラストには、レオナルドの特異性がわかりやすいと思った。

    持ち運びに楽なサイズがうれしい。

  • やはり絵画などの美術品に関する書籍は、写真を多用したグラフィカルなものに限ります。

  • ダ・ヴィンチは遅筆だったようですし、作品の数も多くないですし、それで生きているうちから認められてスターみたいなっていたのだから、その質の高さの卓越したところっていうのは、もう群を抜いて、素人目でもはっきり分かるくらいなんでしょうね。たしかに、本書でも、同時代人の絵なんかがでてきますけれど、人物の顔にしても姿勢にしても堅くて、漫画の延長みたいにみえるところってあります。逆に、ダ・ヴィンチの書いた素描が、たとえば猫のとっくみあいだとかあるんですが、そういうのは現代の日本の漫画の作画力に通ずる柔らかさがあります。
    時を越えた技術と作風なんだと思います。技術もそうだし、表現しようっていう気持ちをどんどん突き詰めていったら、何百年後までかかる洗練さってものを彼は手に入れていた、というようなことのように思えました。

  • ダ・ヴィンチの生涯と作品についての解説。画家としてしか見ていなかった彼を、あくなき探究心と謙虚さを持つ1人の人間として見ることができた。解剖学、天文学、絵画、哲学。彼が追求したその先に行き着いたのは、私には到底理解が及ばない、根本的な何かだったのだと思う。

  • 解りやすいレイアウト、絵画だけでない解説等、さすがPenBook!薄いのに内容が充実している。
    私程度にならこれぐらいでよい。

  • ダビンチの完成作品って13作しかないのね…
    そのすべてに詳細な解説と分析がついて綺麗な写真まで載っていて、ダビンチファンなら持っていたい一冊。
    永久保存版!

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