- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480876225
作品紹介・あらすじ
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか?
あるある!と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ”であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション”でもある最強の1冊。
70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
感想・レビュー・書評
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もう着ない、捨てても良いはずなのに捨てられないTシャツ。それは、忘れられない想い出があるから。
Tシャツの写真とその想い出を本人たちがつづったもの。
都築さんは、編者であって、Tシャツにアイロンをかけ写真を撮る係りで。文章はTシャツの持ち主達の書いたものをそのまま。
もともとメールマガジンのものだったこともあり、人により文章の長さが異なる。
すっきり2ページの人もいれば、延々と私小説短編のような人も。人それぞれ。
このばらつきが、自分語りについての熱量の違いを表していて面白い。とにかくづっと語りたい人、さらっとTシャツの話だけしたい人。
基本的には皆、人生を語っている。Tシャツはその人生の中の一部に登場する。Tシャツの話が付けたしのような人もいればメインにTシャツの話する人もいる。
誰でも小説は書ける。それは自分の人生を書けばよい。リアルにドラマがあるから。
というのがそのまま当てはまったような本。
皆、都築さんの知り合いなので、なんだかキャラ立ちした人が多い。それぞれの人生にへぇーとグイグイ惹きこまれる。
匿名であるというのも良いのだろう。有名な人も混じっているはずだが、匿名なので、正直に赤裸々に記載できる。
読後、都築さんのまえがきを読み直し、読む前はあまり響かなかったフレーズだったが、読み終わると、この本のねらいを的確に表しているなと思ったフレーズがあるので、それを以下に示す。
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ほとんどすべてのファッションは、製品になったときが完成形だ。どんなデザイナーの、どんな値段の服を着ているかで、ひとは判断される。着る人間によって、服のデザイン自体がかっこよく、かっこわるくなったりすることは、おおむねあり得ない。かっこよかったり、かっこわるかったりするのは、服ではなく人間のほうだから。
Tシャツだけはちがう。居酒屋で飲んでいて、となりに「島人(しまんちゅ)」なんてデカデカと書かれた色褪せTシャツ着用オヤジが座ったとする。あ~めんどくさそうと思うが、そのうち言葉を交わすようになって、オヤジがぼそぼそ語ってくれる人生劇場にすっかり魅せられて、ちょっと涙ぐんだりしているうちに、ダサいはずのTシャツまでかっこよくみえてくる-そういう体験が、君にもないだろうか。
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人生の話はほとんどの人が面白かったが、Tシャツとしていいなーと思えたのは少数。(もともと好きなTシャツという話ではなく、恥ずかしくて、本人たちもほとんど着たことないTシャツが多いので当然なんだけど)
でも、良いな、譲ってほしいなと思ったのは
・TheCars
・勝新太郎
・WWFのパンダ
・シャネルNo5
・乱一世
・タケオキクチ
乱一世のRUNDMCのバッタものは本当にかっこよいと思った。「RUN1ST」って表すのね~と感激。 -
本当のことなのかそうじゃないのか判然としない話をする知り合いがいる。たとえば、と書きたいところだけれど、それを書くと、たぶん容易に誰だかわかってしまうので書かない。この本を読みながら考えていたのは、その人のこと。
まえがきにもあるように、この本はTシャツにまつわる思い出を持ち主に書いてもらった文章をまとめたものだ。だからきっと本当のこと。それは、同じくまえがきで引き合いに出されているポール・オースターによる『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、つまり「作り話のように聞こえる実話」。私はポール・オースターの『トゥルー・ストーリーズ』がとても好きなのだけれど、まさにそんな感じ。 -
壮絶な人生や強烈なエピソードが多くて驚いたが、周りがなんと言おうと自分のやりたいことをやればいい&生きてさえいればなんとかなりそうと思わせてくれる。なんだか背中を押された気がする。
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Tシャツに人生あり。
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Tシャツ一枚からの話でしたが、生い立ち、家庭、愛着等々、色んな話が詰め込まれていた。大半は面白おかしく、愉快な話でしたが、何件かは切ない話もあり、切ない話の方が妙に心に残っている。 自分の生まれた家庭は普通の平凡(?)な家庭だったが、何故か感謝の気持ちが沸いてきた。と、同時に、このようなエピソードが思い付かない自分に少々苦笑いしか出てこない
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今日会社の朝礼で、ドレスコードの徹底が周知されました。Tシャツが槍玉に上がっていました。
ドレスコードの根っこにあるものはなんだろうふと思い、この本を読みました。
Tシャツのカジュアルな造形は、思考と行動のキャンバス、選択の自由の象徴だと思いました。
故に会社という規律を求められる場所ではご法度やむなし扱いになるんだろうなあ。
それにしても、70枚のTシャツストーリーがとても面白かったです。
淡々と人生を振り返っている方ばかりですが、どのお話も個性的です(ぶっ飛んでいる方多々)
でもどの方も皆、一般人としての認識で言葉を綴っているように感じました。
この世は旨味を持った人々しかいない。そんな気持ちになれる本でした。
自分の自分による自分のためのTシャツストーリーを日記に書きたくなりました。
でも、断捨離して、Tシャツがほとんど残っていない。。 -
【静大OPACへのリンクはこちら】
https://opac.lib.shizuoka.ac.jp/opacid/BB23875946 -
僕も持っている捨てられないTシャツ。
各々の思い出や人生が詰まっている。
とはいえ、もう少しTシャツをいろいろと見たかったなあ~というのと、Tシャツだけでは「Tokyo Style」の本棚のようにちらっと流して読んでしまう傾向があるかな。 -
想像していた以上に濃いストーリーというか、「事実は小説より奇なり」という言葉が似合う本だと思います。
実家帰りの電車の中で読んでいたのですが、ふと顔をあげて目に前で携帯をいじっている人や、横に立っている人も、この話の中でのストーリーのように、それぞれの人生があって..と考えてしまうほど、引き込まれてしまいます。