日銀日記――五年間のデフレとの闘い (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 112
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480864598

作品紹介・あらすじ

日本経済をここまでダメにしたのは誰か? デフレから脱却し、経済成長を達成するべく、日銀副総裁を務めた経済学者による5年間の記録。歴史的転換点に立ち会え。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞社の利益を社会的な利益よりも優先するという、露骨とも思える利己主義から、軽減税率導入を主張しているのではないかと疑ってしまう。これでは、新聞が「民主主義社会の健全な発展と国民生活の向上に大きく寄与している」とはいえないだろう。 ー 168ページ

  • 2013年4月から日銀副総裁としての5年間における日々の日記をまとめたもの。日銀副総裁の仕事がなんとなくイメージでき、歴史的にも価値があるものだと思う。
    経済統計について述べている箇所も多く、出版に当たっては図表も付けてもらえると非常に分かりやすく、説得力も増したと思う。

    リフレ派として、大胆な金融緩和の実行を主張してきて、実際に副総裁として実行したものの、目標とする物価上昇率2%には達せず。

    消費税率引き上げや原油価格の下落、英国のEU離脱、中国の景気減速、トランプ誕生と振り返れば色んなおとことがあった訳だか、結論としては、金融緩和だけではインフレ目標達成は無理ということか。

    難しい理論をこねくりまわしてそれはないでしょと思ってしまうが。。

    レジームの再構築が必要というつつ、YCCで堪え忍ぶしかなく、振り上げた拳を下ろすことはできないって感じで、まさにアクセルだけでブレーキは効かないんだなとい印象を持ってしまった。

    50m走と思って全力で走り出したら、ゴールテープが遠ざかり、フルマラソンだったなんて自体に(フルマラソンなら一応ゴールが見えてるだけましか)。。

    そして、コロナがインフレ目標を達成してしまった。

  • 2022/06/26

  • 消費者物価指数2.0%に向けての様々な施策ややり取りが日記に書かれている。しかし、賢い人の戯言という印象で、理解が難しい。また日記なので仕方ないが、全て文字のみなので、数値はグラフ化などしてあった方が見やすい。

  • とにかくあの消費税8%さえなければ、という感想。
    内容はただの日記ではなく金融政策の話で面白い。

  • ・2014年4月の消費税率5%->8%への引き上げ前、4月時点では消費者物価前年同月比は1.5%と、2%の目標達成目前だった
    ・アベノミクス、量的・質的金融緩和後企業収益は順調に増加し、失業率は大幅に改善した
    ・アベノミクスで実質賃金は上昇していないと言われるが、消費増税分を差し引くとそうでもない、ただ非正規社員の賃金上昇に比べ正規社員の伸びが小さいことは否めない

    著者が2013年3月20日から2018年3月19日までの日銀副総裁期間を綴った日記。日記とはいってもその時期の経済情勢や理論、著者の考察などが盛り込まれた肉厚な内容だった。長いこと続けられているアベノミクスや日銀の2%物価安定目標を掲げた金融緩和などについて知るための格好の教科書になるのでは。なかなか素人には難しい経済現象について統計データや理論を駆使してわかりやすく文章にまとめてくれる手腕に感心するとともに、それでも掲げた目標が達成されない結果に実際の運営の難しさが垣間見えた。

  • 日銀副総裁の5年間の記録。
    日々の詳細な記録と言うより、起こったことに対しての考えと意見が書かれている。
    やはり消費税増税によってインフレ目標2%がくじかれたことに対して強く描かれている。
    たらればではあるが消費税増税がなければ本当にインフレターゲットが達成できていたかどうかはわからない。
    ただ増税した割には財政再建も見えず経済も悪くなり増税のメリットが全くわからない。
    もう二度とこのようなデフレ脱出のチャンスがないと言うことを考えると増税してしまったのは非常に悔やまれる判断だと思う。

  • 白川氏の本を読んで、友人の薦めで図書館で借り出してみたが、最初の10頁ほどで進まなくなってきた。敵意と言うより悪意に満ちているのがありありとわかる。
    途中で嫌になって放棄。この著者とは相性が悪い。

  • 第一次黒田体制の副総裁の時系列紹介。日記とはあるが、不定期ブログの様相で公開する為後からかなり手を入れてると思われる。
    日銀副総裁といえども情報は機関投資家と変わらないもの。ターゲットに未達なのは2014年の消費税増税が主要因でその後の原油価格下落も追い打ちとなったとしている。黒田総裁は財務省のDNAから逃れられず、政治、マスコミも財務省の手が回ってるとしている。

  • 2013年3月から2018年3月まで、日本銀行の副総裁を務めあげた著者による、任期の五年間に著した日記をベースに職務内容を著した一冊です。一般になじみのない語句には、注釈がつけてあるので比較的読みやすく工夫されています。経済の勉強にもなるので、経済学を勉強している方には本書は白眉と言えます。私が特に印象的だったのは、2014年4月に5%から8%に増税された消費税の負の影響に苦しむ著者の姿です。増税で棄損したリフレ・レジームをどの様にカバーするのか日銀で対応にあたる一方で知人のエコノミストに意見を聞いたり、如何に知恵を振り絞っているのかがよく分かります。
    このような、悪影響の強い消費増税を2019年10月にも行う予定になっていますが、本書を読んだ後には強く反対すべきと分かります。安倍晋三総理大臣には、賢明な判断を期待したいと思います。

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著者プロフィール

学習院大学経済学部教授。金融論、経済政策専攻。主な著書に『金融入門』『経済学を学ぶ』『金融危機の経済学』など。

「2010年 『初歩から学ぶ金融の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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