新哲学対話: ソクラテスならどう考える? (単行本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480843142

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  • 対話篇できちんと哲学しているお手本。アガトンの箇所は趣味と嗜好について考える時にきちんとスタートラインの議論ができるようになっていて素晴らしい。

  • ふむ

  • 美学
    科学哲学と

  • ソクラテス「つまり、ワインの味がわかるひとというのは、ただワインを飲んだことがたくさんあるだけでなく、そこから味の違いをよく学んだひとでなければならないというわけだね。」
    アガトン「そうです」
    (中略)
    ソクラテス「かれ(クレタの客人)によれば、ワインの味がわかるひとであるために、次に大事なのは、こうだという。つまり、さまざまな種類のワインのなかのどれかひとつだけしか好まないというような、かたよった好みの持ち主ではなく、また、自分とは異なる好みにも、理解できる範囲で寛容なひとだということが、ワインの味がわかるひとであるためには必要だというのだ。(pp.73-74)

    ソクラテス「ワインの好みが変化する場合、いちばん多いのは、自分とは違う土地の人々のワインと出会うことじゃないだろうか。ペルシアのワインがいい例だろう。ペルシアのワインを最初に味わった者は、それが自分がふだん飲みなれているワインの味と大きく違うことに驚いたにちがいない。初めは受け付けなかったかもしれない。しかし、味わう機会が増えるにつれて、それはだんだん許容できる味になり、しまいには、おいしいと感じられるまでになる」(p.98)

    シミアス「計算というのは、ひとつひとつの数のもつ性質をいちいち考えなければできないものではなく、むしろその反対に、まちがいを犯さないためには、ここの数がどうあるかは考慮せずに、ただ記号を操作することだけに専念すべきものなのです」(p.146)

    ソクラテス「われわれは他人が何を感覚するか本当は知りえないにもかかわらず、たいして不都合を感じてはいないように見えないかね。たとえば、文字の場合だ。文字がどこにあり、それがなんという文字であるかについて一致さえしていれば、その文字をそれぞれがどのように感覚していようが、おたがいに話は通じるのではないか。また、ひとの声に関して、きみと僕が実際に聞いている音は似ても似つかないようなものであっても、その声についてきみが「高い」と言い、僕も同じことを言うならば、それで十分ではないだろうか」(p.230)

    ソクラテス「「意味の経験」をもつためには、同じ言葉を何度も使ってそれに慣れることが必要だった。そうした慣れ親しんだ感じ以外に「意味の経験」というものはありえないのではないだろうか。だから、ときには、言葉を何不自由なく操ることができながら、言葉に対していっこうに慣れ親しんだ感じを持つことができない人物もいるかもしれない。そうした人物が本当は言葉を理解していないのだと言い切れるものだろうか」(p.243)

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著者プロフィール

飯田 隆(いいだ・たかし)
1948年北海道生まれ。主に言語と論理にかかわる問題を扱ってきた哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。熊本大学、千葉大学、慶應義塾大学、日本大学文理学部で教え、現在は慶應義塾大学名誉教授。科学基礎論学会理事長と日本哲学会会長を務めた。著書に『言語哲学大全』(全4巻、勁草書房)、『ウィトゲンシュタイン――言語の限界』(講談社)、『新哲学対話』(筑摩書房)、『規則と意味のパラドックス』(ちくま学芸文庫)、『日本語と論理』(NHK出版新書)、『分析哲学 これからとこれまで』(勁草書房)、『虹と空の存在論』(ぷねうま舎)など、編著に『ウィトゲンシュタイン以後』(東京大学出版会)、『ウィトゲンシュタイン読本』(法政大学出版局)、『哲学の歴史11――論理・数学・言語』(中央公論新社)など多数。

「2022年 『不思議なテレポート・マシーンの話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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