悲しむのは、悪いことじゃない

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480842992

作品紹介・あらすじ

私たちの人生は「喪失と悲しみ」の連続です。大切な人を亡くした時、誰でも傷つき、苦しむその心を無理に抑える必要はなく、「喪の仕事」をする。乗り越えた後には、「失った」からこそ得られる幸せもある。

感想・レビュー・書評

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  • 3.11後に傷を負った人に向けているけれど、喪失の経験と捉えるともう少し広い対象に向けて。
    喪失に対する心理学的な反応とか、どうしていけばいいかとか、周りの人はどうするべきかとか。今年、大切な人を亡くして読んだ。まだ、段階的に初期のあたりにいて、きっと何度もここに立ち返って泣いたりしながら数年かけて心を癒していくんだなと思った。そして、完全に癒えることはないけれど、喪失を経験したからこそ感じられる何かがあるかもしれないとも。

  • 不安障害や強迫性障害ー脳と心
    心→喪失と悲しみが影響
    だが悲しみは日常茶飯事であるということ。

    震災による影響
    ①共感疲労
    ②過覚醒状態
    ③周囲への不満
    急性ストレス反応

    二者択一を求める人ー灰色主義たれ!
    →極端思考や決断に陥りやすい
    ■チャンスがあったら掴みたいけど、これまでみたいに活動的になりすぎることは止めようと思うなど、ちょうど良い着地点を見つける
    一過性の境界線パーソナリティ障害的な
    ■グレーゾーンを許す。

    ほどよし思考たれ!
    →片付けができない、不安などに対して神経質になり病気を疑ったりする。
    ■パーフェクトでない自分を受け入れ、できる範囲のことを計画する。

    感情のコントロール
    悲観のプロセス
    精神的打撃と麻痺→否認(認めたくない→パニック→怒りと不当感→敵意と恨み→罪意識(もっとこうしてあげれば→空想形成→孤独感と抑うつ→精神的混乱と無関心(やさぐれ→あきらめと受容→新しい希望→立ち直りへの一歩と新しいアイデンティティの発見

    この段階は感情が強いため、衝動的になりがち
    ■認知行動療法
    ■マインドフルネス療法

    ■現実逃避ーこれは映画なんだ。など。
    客観的に物事を見てみる。

    悲しみによって得られること
    ■感謝や喜び
    ■新たな価値観ー考え方や人生観の一新
    新たなことへの関心や興味→自分の内から出てくる気持ちは大切に。
    ■自分の限界に気づくー自分の力でなんでもできるのではないし、思い通りにならないことだらけであることに気づく

  • 相手をなぐさめるときは直接的な言葉よりも、普通のことを話す。死による悲しみははかりしれない

  • 146

  • 失った後で得られるもの。

  • 癒されました。

  • 震災による心の痛手という大きなところから話は始まり、著者自身の肉親の喪失体験という究極の個人の話まで引用しながら、回復のために「悲しむのは、悪いことじゃない」と著者は断言しています。

    親を亡くす人、子を亡くす人、愛する人を亡くす人、大切な人を亡くす人、そのそれぞれの立場同士でしか分かり得ないものが確かにあると私も思います。
    でも、著者の言うように同じような立場であっても、やはり喪失体験は一人ひとり違うものなのだと私も思います。

    震災後、日本全体が自粛ムードの中、「直接助けられなくても、できることがなかったとしても、助けて欲しいと手を伸ばされた時すぐに動けるように、被災しなかった人は日常をしっかり生きてしっかり楽しんでいくのも役割だと思う」というようなことを、著者は新聞のコラムに書いていました。
    しっかり毎日を送るということも、大事な支援の一つになるかもしれないと気づかされたのでした。

  • 楽しいこと、元気であること
    それらのことが 大手を振って
    まかり通って 「善」とされてしまっている

    そんな
    今だからこそ

    哀しいこと、つらいこと、悲しいこと
    に出遭ってしまった
    その時に やってくる、与えられる、見えてくる
    もの が ある

    生きている以上
    避けては通れない
    それらの 非常事態に遭ってしまった時の
    処方箋

  • 喪失と悲しみのあとに起こる、心の変化をどのように扱うのか。
    いくつかのヒントが書かれていました。

    父を失った体験が、著者に大きな変化を与えた。
    著者にとって、とても大きな出来事だったと思います。
    それが、文面から感じられ、奥深さと説得力につながっていると、僕には感じられました。

  • もしあなたが今、深い悲しみからどうにも抜け出せずにいるなら是非手に取って欲しい一冊。

    ふと目に入った。次の瞬間には抱えていた本。
    第一章 震災後の心に何が起きたか
    第二章 大切な人を失ったときに
    第三章 まわりの人はどう寄り添うべきか
    第四章 心の保ち方
    第五章 失った後で得られるもの

    見えないココロの中で何が起こっているのか?
    それを香山先生が見えるカタチで教えてくれています。
    震災後の、福島ではなく東京での人たちのココロ、
    そして香山先生とお父様の話。

    悲しみは、カタチを変えていつも居る気がする。
    だから無理やりでも笑って、そしたら楽しくなるさ。
    なんて時もありかもしれない。だけど、ごまかせない時も、ある。
    笑うのも逃げるのも、悪いなんて言ってない。
    人それぞれの、悲しみのカタチ、それに対応するカタチ、
    たくさんのカタチがあるハズだ。
    触れられたくない時だってあるだろう。

    共感疲労→サバイバーズギルト。
    多くの人が経験しているのだと知った。

    ◎フロイト→ボウルビーの『喪の仕事』
    1、無感覚の段階
    2、否認・抗議の段階
    3、絶望・失意の段階
    4、離脱・再建の段階

    ◎アルフォンス・デーケン氏の『悲嘆のプロセスの一二段階』

    上記二つは指針になるのでメモっておきます。

    人は深い悲しみや苦しみを経験するから
    人のココロに寄り添える。人に優しくなれる。

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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