秋吉久美子 調書 (単行本)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480818546

作品紹介・あらすじ

1970年代に彗星のように登場し社会に衝撃を与え、現在に至るまで第一線で活躍をつづける秋吉久美子。初のロングインタビューと秘蔵のスナップを多数収録!

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃から長らく秋吉久美子と斉藤由貴が好き。最初は何となく好きだったんだろうけど、ずーっとこの2人が自分のなかで不動のお二人であることを思うと、エキセントリックながらも実は物事を深くわかっていて、自分のことばをもっている人に魅力を感じているんじゃないかな。
    そんな私にとって、この本は至福。秋吉久美子が200ページ近く樋口氏を相手に語ってくれる。やっぱりやっぱり、自分をあけすけに語り、自分を型にはめる意見を斬り、世のなかを独特の視点で表現している。インタビューとはいえ、本になっているからその過程があるだろうけど、この人やっぱり自分のことも物事もよくわかっていらっしゃる。デビュー当時をして、「『元祖プッツン』とか『元祖新人類』とか言われたりもしますが、私は生来客観的でクールなところがある。良いのか悪いのか。『元祖シラケ派』という言い方なら甘んじて受けますけれど。」(p.31)とかね。わかってなけりゃプッツンだろうけど、わかり過ぎてるからシラケるのだ。
    そして、秋吉久美子は確かな名優でもある。70年代、80年代、90年代と自分なりにテーマを据えながら演技に取り組んできたことも語られている。作品ごとに自分を投入していたこと、作品や監督、共演者らとの関係性のもとで自身がどう作品や役柄をとらえ演じたかが、それこそだいぶ前の作品についてもしっかりと語られている。それがまた秋吉久美子らしい語りでいい!

  • 自分がポニーテールの女の子に弱いのは、「まちぶせ」の三木聖子のせい、と思い込んでいましたが。もしかしたら大瀧詠一のサイダーのCMの秋吉久美子にもやられていたのかもしれません。本書を読んでYouTubeでひさびさに見ましたが、そのコピーは「みんな、キラキラしてくるね。」彼女の透明で繊細なキラキラとした破片は十代の自分の心に深く刺さっています。YouTubeでどうしても見れないのが荒井由実の「あの日に帰りたい」がテーマソングだったドラマ「家庭の秘密」。リアルではちょっとしか掠らなかっくてストーリーもわからないけど、ユーミンの旋律と秋吉久美子の存在感が心の奥底に刺さっています。映画のデビュー三部作も、公開当時は見ていないのですが、それでも秋吉久美子の登場の仕方は女優とかアイドルとかの芸能界から、というより時代の空気を身にまとって突然、我々男子の前に現れたような気がします。この「調書」は、その空気感がいかに彼女の中身から生まれていたのか、に立ち入るものになっています。こんなに言葉の人だったとは…。「はじめに」の面倒くさいけど、濃厚な文章から、もうやられてしまいました。何を考えているのかわからないけど、でも考えている女の子のキラキラに心乱れた50年前、もう一度、今、考えて考えていろんなことに摩耗しているはずなのに、ギラギラではなくキラキラしている彼女にキュンとしました。

  • 大物女優の洞察力には驚かされる。日本映画史上に残るだろう女優秋吉久美子が自身を語る。

    1972年のデビューから現在まで映画、テレビドラマで活躍を続ける女優秋吉久美子。彼女のフィルモグラフィを対談形式で振り返る一冊。映画界が下り坂の頃、元祖プッツン女優。撮影所の職人に生意気だといじめられながらも独自の路線を貫く。

    本書でとにかく驚かされるのは女優として各監督に対する態度。自分のポリシーもあろうが監督たちの意向を読み取って演技する姿が印象的。

    福島県の進学校の文学少女が奇跡のように女優デビュー、当時の日本映画界を取り巻く環境、長年寄り添うこととなるマネージャーとの出会いも含め、神に選ばれし者のように思えてくる。

    名女優の洞察力も記憶力もとにかく素晴らしい、驚きの一冊でした。

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著者プロフィール

女優

「2020年 『秋吉久美子 調書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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