屋上がえり

著者 :
  • 筑摩書房
3.24
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本棚登録 : 56
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480816528

感想・レビュー・書評

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  • 普通に道を歩いてる時には気にも止めないが、屋上、の響きに心くすぐられるのは、そこが空に近いからだろうか

    街の様子も大分変わってしまってるし、ビルもデパートも大分建て直されたり新しくなっているから、この本の中の屋上の様子も違うものになっているんじゃなかろうか
    特にデパートの屋上は今でも上がれるのかな、と思う

    こういう街ツアーもいいんじゃないかと思う

  • 屋上取材。彼女本来の持ち味にかける。目に見えないものへの彼女の筆力に惚れているのでこの本は物足りない。

  • 2012/11/02 屋上だけを取材しにいったのね・・・

  • 筑摩書房の依頼で書かれた特定の場所(?)訪問エッセイ。踏切シリーズの延長だ。都内を始めとするあちらこちらの建物の屋上を訪れては思いつくことを書く日々の記録。石田さんのエッセイには、このように特定のテーマに基づき、どこかを訪問する情景スケッチ風の仕事も多いが、どこか表面的だ。魂を込めたようなエッセイ(たとえば「月と菓子パン」など)に比較すると、かなりトーンダウンした内容。

  • 自分がもし透明人間だったら何をしようか。
    『ベルリン天使の詩』の天使のように図書館で他人の肩に掌を当てて一緒に本を読むのもよし、サーカスのブランコ乗りに恋をするのもまた一興。
    そんな天使ならぬ透明人間の視点を味わわせてくれるのが『屋上がえり』である。
    たぶん、「わたし」という一人称で書かれていないせいもあるのだが、周りの人間や物、出来事を相手に気取られずに冷静に観察しているのである。

    たとえば人物の観察などでは・・・。
    屋上にある遊園地のメリーゴーラウンドに姉妹らしき女の子二人が乗っている。
    年嵩の方がピンクのワンピースに白いコート、年少の方がデニムに背負っているリュックにぼさぼさの頭をした人形がはみ出ている。あの姉妹には何か訳があるのか、それともただ好みの違いなのか。
    姉らしき方は降りるときに恥ずかしげに父親に手を振る。
    同じ血のつながった姉妹でも着るものも性格もがまったく違うっていうのは、よくあることなのだが、他人にとってはそれがひどく「わけあり」なのかもと想像力をかき立てられる一因にもなりうる。
    余計なお世話だけど・・・。


    著者母校の國學院大學、ヘリポートがある朝日新聞社、交通博物館、デパートなどさまざまな屋上を独自の視線で紹介している。
    興味深かったのは商いをする業種に多いのが「屋上に鳥居や祠」である。
    國學院出身の著者らしく、由緒を読みきちんと手を合わせる。

    人物との距離の取り方と建物の距離の取り方がほぼ同じ・・・というのが透明人間、あるいは天使の視線に近いものがあるのかも知れない。

    武道館が、夏休みの宿題をはやばやと終わらせてしまった優等生のように、屋上をのぞいている。すがすがしく退屈している。熱帯夜は、つづく(本文より)。

    たまには透明人間になって人世の憂さを晴らしたい場合にお勧めである。


  • 街で目についたものを淡々と描写するような、小説ともエッセイともつかない物語集。最初あんまりにも退屈で挫折しかけたけど、途中から散歩リズムに慣れて、最終的にはすっかりハマった。詩を読む感覚でいくといいんだな。

  • <font color="#666666"><table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:0;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480816526/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ec1.images-amazon.com/images/I/21T4DBQ8DCL.jpg" border="0" alt="屋上がえり"></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4480816526/yorimichikan-22" target="_blank"> 屋上がえり</a><br>石田 千 (2006/11)<br>筑摩書房<br><br><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480816526/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank"> この商品の詳細を見る</a></td></tr></table>
    <blockquote><p><strong>ナントカと煙は高いところが好き? 屋上を見つけると、とりあえずのぼってみたくなる。百貨店、病院、古書店、母校…。広々とした視界の中で湧き出る小さな想いを描き出す、不思議な味の一冊。</strong></p></blockquote>
    にぎやかな屋上、さみしい屋上、華やかな屋上、雑然とした屋上、哀しい屋上、広々とした屋上、見下ろされる屋上・・・・・。
    ひと口に屋上と言っても、実にさまざまな表情があるものだと知らされる。屋上そのものの佇まいはもちろんのこと、そこからの眺めや周りの建物の看板や窓まどの様子など、著者の目が見たままが綴られているのだが、読者が目の前に見せられるのは、たしかに著者の体内を一巡して出てきた何かなのである。
    そしておしまいの一節が印象深い。
    <blockquote><p>初恋は、実らないからつまらない。失恋は、つぎのさよならの下ごしらえだから、さばさば乗り越えるのがおもしろい。
    万物おしまいよりいづる。そういう国の、屋上にいる。</p></blockquote></font>

  • この人の文章、やっぱりいい。
    スローライフだけど変な乙女チックさとは無縁。
    おじさんもおばさんも若者も子供も可愛くてときに滑稽な存在になる。
    ひとの欲やダメなところを可愛らしく描く文章。ひらがな使いのバランスも好き。
    07.03.18

  • エッセイなんだけど、とても不思議な味わいの一冊です。目の付けどころがいいですね。今はもうない日本橋の丸善の屋上も登場しています。まもなく完成する新しい建物に屋上はあるのか?

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著者プロフィール

石田千(いしだ・せん)
福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。「あめりかむら」、「きなりの雲」、「家へ」の各作品で、芥川賞候補。16年、『家へ』(講談社)にて第3回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。16年より東海大学文学部文芸創作学科教授。著書に『月と菓子パン』(新潮文庫)、『唄めぐり』(新潮社)、『ヲトメノイノリ』(筑摩書房)、『屋上がえり』(ちくま文庫)、『バスを待って』(小学館文庫)、『夜明けのラジオ』(講談社)、『からだとはなす、ことばとおどる』(白水社)、『窓辺のこと』(港の人)他多数があり、牧野伊三夫氏との共著に『月金帳』(港の人)がある。

「2022年 『箸もてば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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