- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480805096
作品紹介・あらすじ
都心の古ぼけた団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。未来に希望が持てず「死」に惹かれる彼女の前に団地警備員を名乗る老人が現れ、日常は変わり始めていく。
感想・レビュー・書評
-
あなたには、『いつか私は死体が見たいと思ったことがあった』でしょうか?
この国には1億2千万人もの人が暮らしています。そんな人数を考えれば当然のことではありますが、一日あたりおよそ四千人の人が亡くなってもいます。毎時間160人もの人がどこかで亡くなっているという現実。その一方で、亡くなった人を実際に目にする機会はそうは多くはないものです。かつてと異なり、家族葬が一般化しつつある現代社会、かつ平均寿命が大きく上がっている現代社会においては、幼き頃に死んだ人を目にする機会なく大人になる方も決して珍しくはないのだと思います。
そんな中では、『死体を見てみたい』という感情が湧き起こることも人の自然な感情の中にあり得ます。そんな感情は、当然に経験したことのない『死』というものに抱く感情と背中合わせとも言えます。そこには、そんな感情を抱く人自体、『生』よりも『死』に気持ちが向いている、そんな心の内もあるのだと思います。
さて、ここに、『死体を見てみたい』という感情を募らせていく十五歳の少女を描いた作品があります。『昭和のオリンピックのときに建てられた』という『たいそう古い』団地が舞台となるこの作品。そんな団地で『団地警備員』として活躍する少女の姿を見るこの作品。そしてそれは、そんな少女の中に『将来のことを考えて、それが楽しみ、なんて思うのは、生まれて初めてのことだった』という感情が湧き起こる瞬間を見る物語です。
『私は十五年前にこの団地に生まれ、この団地で育った』と『昭和のオリンピックのときに建てられた』『たいそう古い』団地に暮らすのは主人公の棚橋みかげ。『次に大きな地震が来たら危ない』とみんなそう思ってはいるものの『引っ越す人はいない』というその団地には、『この団地以外、どこにも行けない人たちが』暮らしています。父親はみかげが『三歳のときに死に』、母親は『十歳のときに』『家を出てしまっ』たことで、『五歳上のお姉ちゃんの七海ちゃん』が『バイトをしながら』みかげを育ててくれました。そして、『団地の近所にあるパン工場』でアルバイトをしながら夜間高校に通う みかげと、『夜のお仕事をしている』姉の七海は、『二間しかない』団地の一室で暮らしています。『子どもの頃から』の持病である『喘息』に苦しみながら『午前中に二時間、午後に二時間しか働けない』という日々を送るも『お金がもったいなくて』『ネブライザー』は、『発作が起こりそうになったときだけ』使うという みかげは、元々は『昼間の学校に通ってい』ましたが日々繰り返される『いじめ』の中に『お姉ちゃんと先生が相談して、夜の学校に通う』ようになりました。そんな学校で里牟田(さとむた)さん(むーちゃん)と、倉梯(くらはし)君という『ほとんど初めてといっていい友だちができたこと』を喜ぶ みかげ。そんなある日、自宅のベランダから公園を見下ろすと『一人のおじいさんと目が合』います。『みかげ!みかげ!』と手招きするおじいさんは『ここに来なさい!』と執拗に呼びかけます。仕方なく降りていくと一緒に体操をさせられる羽目になった みかげ。そしてまた別の日、『みかげ!みかげ!』という声にベランダに出ると『この前のおじいさんが手招きをしてい』ます。やむなくまた降りていき『私の名前を呼ばないでください』と抗議するも『体力をつけるのだ。そうすれば仕事もできるようになる』と言うおじいさんとまた一緒に体操をする羽目になる みかげは、『これが終わったらこの前みたいにすぐに部屋に戻ろう』と思います。そんな時、おじいさんは語り始めます。『警備に行くぞ』、『私は団地警備員だ。みかげも今日からその一員になる』。そして、『足元にあった赤い小さなリュックを』渡された みかげは『来い!』と言われて団地の建物の中へと連れられていきます。そして、ある部屋の前で『絹代さーん』とおじいさんが声を上げると、『腰の曲がったおばあさん』が出てきました。『死なないように!これをちびちび飲みなさい!薬だ!』とリュックから『ポカリスエットのボトルを』取り出して差し出すとドアを閉めたおじいさん。『あのう…団地警備員ってなんですか?』と訊く みかげに『生き残っているものの生存確認!…今日からみかげはその一員になる!』と言うと、リュックの中から『みかげ』と書かれた『黄色い星形のバッジを取りだし』みかげに渡します。そして『団地警備員』としての活動を始めたことで みかげの人生が少しずつ変わり始めていく日々が描かれていきます。
“直木賞作家の新境地。東京の古びた団地が舞台の、生と死をめぐる成長譚”と内容紹介にうたわれるこの作品。細い線と淡い色調で描かれた表紙がどこか一見ほのぼのとした内容を思わせるこの作品ですが、そんな表紙をよく見ると、背景に描かれた建物にはひび割れもあり、まさしく”古びた団地”を思わせるのみならず、主人公と思われる少女は裸足であり、着ているもの含めどこか危うさを漂わせています。そう、この作品は”父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり”という中に、『昭和のオリンピックのときに建てられた』『たいそう古い』団地に暮らす姉妹の日常が描かれていく物語なのです。高度経済成長期に数多く建てられた団地。そんな団地は各地で老朽化と高齢化が問題視もされています。この作品で窪美澄さんが描かれるのはそんな団地の日常にストレートに光を当てていく物語です。
では、まず作品の背景に描写されていく老朽化した団地の表現を見てみたいと思います。
・『昭和のオリンピックのときに建てられた』
・『縦に三つ(手前から1~3)、横に四つ(左からA~D)並んでい』て、『まるでドミノ倒しの駒のよう』
・『次に大きな地震が来たら危ない』
・『正方形の狭いお風呂』
・『ひびが入って変な模様になっている玄関のコンクリートの床』
・『錆び付いて、塗装の剝げた鉄製のドア』
六つの表現を取り上げましたが、これだけでもおおよそのイメージが思い浮かぶのではないでしょうか?それは、それほどに全国各地にこのようなイメージの建物があちこちに残っていることの証だとも思います。私の家から徒歩圏にもやはり同様なイメージの建物群が存在します。そして、古くなった場は治安にも影響を与えます。次は治安面での表現を抜き出します。
・『この団地の屋上から飛び降りる人も多い。ここはいわゆる自殺の名所なのだ』
・『この団地にはあやしい人も多い。特に男の人に。団地の角を曲がったら、ズボンとパンツを下ろした男の人がいるなんて、日常茶飯事だった』
・『いくつかの棟の入口で、塾帰りの小学生の女の子が襲われる事件が起きていた』
・『何かあって、大声を出したとしても、この団地の人たちは無視を決め込む』
世の中古くなり管理が行き届がなくなった場所というものは、どこであっても必然的に治安の悪化を招きます。そういった環境を嫌う人は引っ越していきますが、この作品の主人公である みかげ姉妹がそうであるように、『私の家と同じようにこの団地以外、どこにも行けない人たちがここにいる』、それがこの団地の現状であることがわかります。そんな中に妹の みかげを実質一人で守ってきた姉の七海。そんな七海は、こんな未来を強く思う中に生きてきました。
『いつか絶対この団地を出るからね』
それは、団地という場所だけでなく、貧困に喘ぐ暮らし、決して本望ではない『夜の仕事』からの脱却と『本当は美容師さんになりたい』という夢を叶えることでもありました。そして、『みかげには好きなこと勉強させて、好きなことさせてあげて、大学だって行きたいなら行かせてあげる。普通の家の子どもみたいに』と、みかげのことを思う七海は『汚れたことをするのは私だけで十分』という強い決意の元に生きてもいます。一方でそんな姉のことを慕い、自分にできることを考える みかげは『子どもの頃から』の持病である『喘息』に苦しみながらも『パン工場』で働きつつ夜間高校に通う日々を送っています。なんとも健気な姉妹の生き方、そして貧困に喘ぐその生活が窪さんのリアルな描写の中に読者の頭にハッキリと浮かび上がってもきます。他サイトを含めたレビューで、この表紙のイメージが本編に合わないと指摘をされている方もいらっしゃいますが、私にはこの描写の先に浮かぶ映像がこの表紙のイメージに見事に合致するように思いました。いずれにしてもこの作品は前提となる世界観を思い浮かべることで、物語世界にどんどん引き込まれていく作品だと思いました。
そんな舞台背景の上に展開するのが、ある日突然『みかげ!みかげ!』と声をかけてきたおじいちゃん=ぜんじろうとの出会いと、『あのう…団地警備員ってなんですか?』という先に始まった活動でした。
『生き残っているものの生存確認!子どもたちの安否確認!ここから飛び降りる者がいないかどうかのチェック!』
そんな主要目的三つを果たすために団地を巡回していく みかげと ぜんじろう。『ベランダの下から呼ばれるから』という理由で嫌々ながらスタートした活動当初、みかげは日々の生活の中に未来を見出せずにいました。それどころか、そこに浮かぶ感情は『死』へと惹かれていきます。
『ぜんじろうさんと団地の警備をしていれば、いつか本物の死体が見られるかも』
十五歳の少女が『死体』に惹かれるというこの感覚。人は前を向いて、顔を上げて生きる日々の中に『死体』を見たいなどという感情は普通には起こらないと思います。『死体』を見たいという感情は、自身をそこに重ね合わせていく思いがどこかしらにあってこそのものなのだと思います。この作品では、作品の表紙に手書き文字でハッキリと記されるこんな感情へと みかげの思いが変化していく様が描かれていきます。
『いつか私は死体が見たいと思ったことがあった』。
『死体を見たい』という感情から、その感情が過去形へと置き換わった瞬間を見る物語。この作品では窪さんが丁寧に描く みかげの感情の細やかな変化の描写の中にとても納得感のある結末を見る物語、まさしく みかげの成長を見る物語が描かれていたと思いました。
“古ぼけた団地に住む少女みかげ。彼女の生と死をめぐる成長譚です。どうぞお楽しみください”
そんな風に語る窪さんの言葉が、この作品の書名を改めて思い浮かべさせます。
『タイム・オブ・デス』 = 死亡時刻
『デート・オブ・バース』 = 生年月日
死を見る中に、生を感じる物語。物語の冒頭と結末にハッキリと みかげの成長を感じることのできる物語。そこには、なんとも言えないあたたかい感情に包まれる読後がありました。
『私は十五年前にこの団地に生まれ、この団地で育った』
そんな今を生きる主人公の みかげが ぜんじろうと共に『団地警備員』として活動する日々の中に確かな成長を見るこの作品。そこには、”東京の古びた団地”を舞台にした物語が描かれていました。舞台となる団地のリアルな描写に物語背景が鮮やかに浮かび上がってくるのを感じるこの作品。窪さんらしい細やかな感情表現の中に、みかげが感じ取っていくさまざまな想いを具に感じるこの作品。
『死』というものに惹かれていくが故に、そこから見えてくる『生』への思いの強さが逆に浮かび上がってもくる、絶妙な読後感を感じさせてくれる素晴らしい作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんだか辛いな…と感じている方に是非読んでいただきたい。感動作。
自分の責任ではない問題や困難に直面しながらも、懸命に生きようとする子どもたちの純粋で健気な姿に心を打たれる。
自身が辛い境遇であっても、手を取り合い 心を通わせ、もっと弱い人達を助けようとする。
誰かを助けようとする意志が、自分を救うことに繋がっていく。
前を向く力をもらえる。大切なことが詰まっている。 -
団地住みではなかったが、近所にはあまり穏やかでない住まいが密集する地域で幼少期を過ごしたこともあり、読んでいてとてもノスタルジックな気分になった。 あまりに不遇な環境の中、打ちのめされた姉妹が互いに思いやる中盤のやりとりは、深く胸に突き刺さる。
切なさとともに、まさに未来に続くような希望もあり、温かい気持ちで読み終えることができた。
宮崎夏次系さんの表紙も良かった。 -
コミュ症で喘息持ちのみかげは夜間高校に通う15歳。彼女の語る言葉は幼さが残り認識阻害系の魔法にかかっているように世界をみているので薄ぼんやり映る。そんな表現のなかで読んだのでわりと感傷的にならずにページを閉じることができました。
高度成長期に丘陵地に建てられたかとおもう都営団地は老朽化が進み廃墟のようで、心霊&自殺スポットとか呼ばれている様子。栄枯盛衰、そんな団地に今も暮らしているのは、独居老人や、生活困窮者たち。
孤独死に自殺に認知症、虐待に育児放棄が日常の風景。
団地育ちのみかげは3歳の時に父親を亡くし10歳の時に母親がでていき5歳上の姉と共に今もここに暮らしている。2間しかない間取りのようで2Kかな。
姉は夜の商売をしているようで、はっきりとは怖くて聞けない。みかげも週3でパン工場でバイトして家計を支えている。
いじめられ夜学に通うようになり二人の友達を得て、団地警備をしているぜんじろうにも出会い共に独居老人の安否確認や支援物資を届けるボランティアを始めることで少しずつ外の世界にも関心を向けるようになっていく。
生きている人間は怖いから、死体に憧れていたみかげにも変化が表れる。作中、みかげの見た死体は2体あり心理描写も対称的に描かれているのが心に留まりました。
それと姉、七海の存在が多きかったかな、母親はクズでしたけどね。-
しじみさこんにちはᐕ)ノ
倉梯くんめちゃくちゃいい子でしたよね*ˊᵕˋ*
ぜんじいのような お節介さんがいてくれるおかげで 孤独死やネグレク...しじみさこんにちはᐕ)ノ
倉梯くんめちゃくちゃいい子でしたよね*ˊᵕˋ*
ぜんじいのような お節介さんがいてくれるおかげで 孤独死やネグレクトなど事前に防げるんでしょうね。2024/01/27 -
ゆーきさん、こんにちは( `ー´)ノ
実は、ゆーきさんの本棚からのチョイスでした。
団地族と言えば、核家族化の引金にもなった家族...ゆーきさん、こんにちは( `ー´)ノ
実は、ゆーきさんの本棚からのチョイスでした。
団地族と言えば、核家族化の引金にもなった家族形態だけど
少子高齢化が進むと保護を必要としている人向きじゃないですね。
お節介な人がいないと孤独死やネグレクトあっても
解らないし、頼るところが解らないのも問題ですね。
いい本紹介してくれて、ありがとうございました。(*^^*)
2024/01/27
-
-
主人公は恵まれない境遇下、喘息発作でいつ呼吸困難に見舞われるか分からない不安を抱えつつ、優しさを与えられ、また自身も与え、生きる希望を見出していく心温まる話。
団地警備員というボランティア活動が素敵。ぜんじろうのおやっさんがカッコイイ!
いじめ、差別、虐待、貧困、高齢者の単独世帯、孤独死など社会問題が盛り込まれ、いずれ自分も直面しそうな状況を投げかけられたようでもあった。
ダークな雰囲気から、少しずつ明るい雰囲気になる描写が見事。表紙のパステルカラーのように。穏やかな気持ちになれた読後感であった。-
なおなおさん、
お久しぶりです!
共読ですね。
色んな不条理を体験しました。
馬鹿親を持つ子どもは大変ですね。
さらに、日本の福祉...なおなおさん、
お久しぶりです!
共読ですね。
色んな不条理を体験しました。
馬鹿親を持つ子どもは大変ですね。
さらに、日本の福祉システムが心配になりました。
このような姉妹が安全に暮らせて、希望をもって生きてほしいですね。
2023/07/31 -
ポプラ並木さん、おはようございます。共読ですね!
老後が心配になるお話でした(T_T)(もうそっちに近づいている…)ポプラ並木さん、おはようございます。共読ですね!
老後が心配になるお話でした(T_T)(もうそっちに近づいている…)2023/07/31 -
2023/07/31
-
-
パステルカラーの表紙に可愛らしい女の子。
しかし、冒頭からの不穏な空気に、何が起きるのかと身構えながら先が気になってスルスルと読了しました。
老朽化が進んだ団地を舞台に、未来に希望が見いだせない主人公みかげが興味を抱いたことは。
今まで読んだことのある窪美澄さんと雰囲気が違いました。
みかげが、歳の割に幼い理由にやるせなくなる。
ネグレクト、貧困、いじめ、高齢化社会の問題など。目を逸らしたくなるような問題が、みかげ、ぜんじいはじめ登場人物の心の傷に触れながらこちらに問いかけてくる。
団地警備員という響き、妹を懸命に守る姉、みかげたちとぜんじいの触れ合い、友情、どれもとても温かさが伝わってきた。この世知辛い世の中で、垣根を超える連携の必要さ。自分が置かれた環境下から、目指すものが見えてくるという、光が射してくる感じがすごく良かった。 -
幼い頃に父を亡くし、母に出ていかれて姉と古い団地で暮らすみかげ。
身体が弱くていじめられ、週に3日数時間のバイトをして、夜間学校に通う毎日。
そんな彼女の前に団地警備員だと名乗り、彼女を外へと連れ出す老人によって、つまらない日常が変わり始める。
人と出会い関わりあって生まれてくるものや別れなどを経験することで成長するみかげ。
親しくなった友人や独りで暮らす団地の老人の気持ちがわかるにつれて、成長していると感じられる。
閉じこもっているだけではわからないことを教えてくれたのは、団地警備員のぜんじろうさんだった。
辛く悲しいのは、自分ひとりじゃないことも。
そして、できないことがあれば助けてもらえばいいことを教わった。
ゆっくりでも自分のペースで、前を向いて歩いていけばいい。
人と出会って楽しんでいけばいい。
星型バッジのみかげと書かれた文字を見てそう思ったのだろう。
-
湖永さん、
ぜんじろうさんの温かさ、泣けてきました。
親が馬鹿だと、子どもに影響する。これって本当の不条理ですよね。
人間1人では生きていけ...湖永さん、
ぜんじろうさんの温かさ、泣けてきました。
親が馬鹿だと、子どもに影響する。これって本当の不条理ですよね。
人間1人では生きていけないので、子どもが希望をもって生きられるシステム作りって重要ですね。
2023/07/31 -
ポプラ並木さん こんにちは。
誰かが子どもの異変に気がついてあげれば…という思いは誰しも思っているけれど、それは自分じゃなく誰かであること...ポプラ並木さん こんにちは。
誰かが子どもの異変に気がついてあげれば…という思いは誰しも思っているけれど、それは自分じゃなく誰かであることに力のなさを感じてしまう。
昔は、うるさいくらいおせっかいなご近所さんがいてたのにねぇ。
生きづらい世の中を変えていくのはひとりひとりの心がけなんでしょうね。2023/07/31 -
湖永さん、自分の無力さを痛感するのと、こういうことのために税金をふんだんに使ってほしいです。湖永さん、自分の無力さを痛感するのと、こういうことのために税金をふんだんに使ってほしいです。2023/08/02
-
-
父親を幼い頃に亡くし、十歳の時に母親に捨てられた。 治安の悪いボロ団地で、五歳上の姉 七海と二人で暮らす高校生のみかげ。
みかげを必死に育てようと 七海の選んだ職業。
喘息持ちで あまり利口とはいえないみかげは、姉に負担をかけている自分を責める。
みかげは生きることに対して希望を見い出すことが出来ず、「いつか本物の死体がみたい」という秘かな願望を持つ。
ネグレクト、貧困、イジメ、孤独死…。
こんなツラい設定に読み切ることが出来るだろうか、と思ったけれど 最後は胸がいっぱいで泣いてしまった。
団地で出会ったあやしげなじーさんに 半ば強引に「団地警備員」の仲間にされたことから、少しづつ みかげに変化が現れる。 (あ、サクラ警備保障と警備員繋がりだ!笑)
そして、みかげが通う夜間学校で出会った 人生初の友達。むーちゃんと倉梯くん。
むーちゃんと倉梯くんも団地警備員に加わって、さらに みかげが成長していく姿が…( ߹ㅁ߹)
またこの倉梯くんが良い子でさぁ( ノД`)
人は助け合って生きている。
人の痛みを知っている人は強くて優しい。
タイム・オブ・デス 死亡時刻
デート・オブ・バース 誕生日
初めて直面する大切な人の死
初めて心から嬉しいと感じた誕生日
どちらも涙なしには読めませんでした。
久しぶりの窪美澄さんの本
やっぱり大好きでした
-
2023/12/22
-
240!!Σ( Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
本当に、有難いです…。お姉様始め、皆さんも優しくしてくれるし(T_T)240!!Σ( Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
本当に、有難いです…。お姉様始め、皆さんも優しくしてくれるし(T_T)2023/12/22 -
2023/12/22
-
-
団地の中で繰り広げられる生と死の物語。
団地で暮らすみかげは、昼はケーキを作る工場で働き、夜は夜間学校に通う。
一緒に住む姉の七海は、夜の仕事に勤めて、妹のみかげを養っている。
みかげは、ある活動に出会う。団地の中で行われている、団地警備員という、団地に住んでいる人たちの生存確認の一環として、各棟の部屋を尋ねて、ポカリスエットとパンを配る活動です。一緒に回るのが、謎の老人ぜんじろうで、彼の正体とは、なぜそういった活動をしようとしたのか、みかげとの関係とは、生と死について、あらためて考えさせる作品です。