- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804921
作品紹介・あらすじ
多様な性的アイデンティティを持つ女たちが集う二丁目のバー「ポラリス」。気鋭の台湾人作家が送る、国も歴史も超えて思い合う気持ちが繋がる7つの恋の物語。
感想・レビュー・書評
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ブクログにきて驚きました。ぼくは、ほとんど引きこもり、御近所徘徊老人ので「世間」には疎い。だから、本の話も古い。たまに新しい小説をよんだりすると、世間の動向が気になったりしますね。この作品はかなり新しいので、ブクログのレビューを楽しみにして来てみたが、あんまり読まれていないようです。残念!
読み終わって、著者のまっすぐな気持ちを感じるいい作品だと思いました。レズビアンの女性の話だから、新宿二丁目の話だから、そのあたりが壁になっている人が異類なら心配いりません。普通の人間の普通の生き方が、まっすぐにつづられています。ぼくが老人だからそう思うのかもしれないけれど、たしかに明るくはないかもしれない。けれど、前を向いた青春小説だとおもいましたよ。
詳しくはブログに書きました、どうぞ、覗いてみてください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005220000/ -
意味合いが違うけど ジュンパ・ラリヒさんの「その名にちなんで」を思い出した。
マイノリティとして生きること、そういう風にカテゴリーに分けられること。そしてカテゴリーに分けることは誰がやるの?…そんな疑問はいつも持っとかないと知らずに「たくさんいる派」の理論で押してしまう…
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読んでいる最中からずっと、帯に書いてある「純愛小説」という単語があまりしっくりこなかった。確かに女性同士の恋愛を描いた作品ではあるけど、純愛小説というよりもっと生々しくてリアリティのある、ほとんどドキュメンタリーのような文章じゃないか。後半の作品では新宿二丁目の歴史までまとめられている。登場人物一人ひとりの切実な生き方が全部刺さった。読んでいて苦しいほどだった。
というレビューを投稿しツイートしたあと、エゴサしたらしき編集者さんから引用リツイートで「純『恋』小説なんです」と教えていただいた。帯をちゃんと見たらほんとうに「恋」だった! 確認不足で反省。それにしても純「恋」は純「愛」よりもずっとずっとしっくりくるなぁ。
セクシュアリティには細分化された名前がたくさんある。作品中でたびたび登場するさまざまな呼称は、その呼称をつけることそのものについても考えさせられた。名前をつけることで自分の類型がわかって安心する人もいれば、名前をつけられることで枠にはめられたような気分になる人もいる。私はどうだろう。少なくとも、その名前だけで自分や他人を判断することがないように生きたいと思う。
【読んだ目的・理由】著者の記事を読んで興味を持ったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.0
【一番好きな表現】自分が子供なんて作らなくても、自分の遺伝子なんて後世に残さなくても、自分が刻んだ命の軌跡は人間の営みと共に、連綿と受け継がれていく。(本文から引用) -
私意外が仲の良い、あまり知らない人たちのグループの中で、身を潜めている。
会話の内容が、私の日常の円とは全く重ならなくて、でもその集団では、当たり前でくくられている。
そんな感じだから、会話に入ることもできなくて、かと言って無表情なのも異物になってしまうから曖昧に微笑んでいる。
そんな気持ちに似ているのだろうか。
想像したところで、本当のことは当事者でないと分からない。分からないけれど、知ることはできる。
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様々なジェンダー、人それぞれの捉え方、そして物語の中に深く織り込まれた台湾、中国の歴史。
ひとつひとつの章の重みが、とても短篇集とは思えないものだった。 -
新宿二丁目にあるバーのポラリスを巡り人が人を愛するのに異性愛や同性愛やトランスジェンダーの愛などの違いはなく、すべて愛しい人に対する愛であることが分かる。台湾出身で日本語で小説を書いている李琴峰さんの作品。
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新宿二丁目のレズビアンバー「ポラリス」に訪れる様々な人たちの話。
私は性の違和感を持ったことがないので、違和感を持って生まれた人の大変さは自分なら耐えられないだろうと思う。自分自身の問題としても大変なのに社会とも闘わなくてはいけないなんて、ハード過ぎる。
私は人間というカテゴリーでしか見ないので、そういうのは気にしたことがない。セクシャルマイノリティより人間としての性格の方が私にはずっと重きがある。良い人か良い人じゃないかの方がずっと大切なこと。
あまり知識がないので色々な違いとか悩みとか、とても興味深かった。 -
すごいよかった!!!!!!!!!!
女を好きな女たちの話で、自分が知らなかった色々について触れていたり、トランスジェンダー女性の話が出てきたりして物凄く好きだな…と思った。
夏子の章で、オーストラリアに行った先で出会った人が、30歳のことを「みにくいアヒルの子がちょうど白鳥になる頃」と表現していてすごく良かった。それを聞いた後の夏子の独白もすごく良い。
三十歳。日本でなら、白鳥も老い衰える頃だろう。そもそも白鳥になんてなれないのかもしれない。生まれてから死ぬまで、ずっとアヒルのままかも知れない。
この独白が日本での窮屈さを表現していると感じてすごく気に入った。 -
日暮れ 読了
この本を読む前にべつのレスビアン小説を読んでいて、それと比べるとりことみの文章の綺麗さが引き立っていました。しかしは話は好きじゃなかった。