翻訳教室: はじめの一歩 (ちくまプリマー新書 181)

著者 :
  • 筑摩書房
3.83
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本棚登録 : 231
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688842

作品紹介・あらすじ

翻訳は、ことばの置き換えではない。だから「正しい訳」なんて、ない。他者のことばを生き、当事者となってそれを自分のことばで実践(または再現)する。それが翻訳だ。大きな感動を呼んだNHK「課外授業ようこそ先輩」の授業を題材に、翻訳のはじめの一歩=エッセンスを語る。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの「ようこそ先輩」での内容を本にしたものだそうで、番組を見たかったな……。
    まず、この小学生たちって特別に優秀な子たちなのでは?と驚いてしまった。ほとんど英語を知らない、もちろん文法なんて習ってない、英語辞書の使いかたもよく知らない子たちなのに、苦労しつつも、ちゃんと意味をつかんで翻訳できてしまっているー! 話し合いの内容もなんか高度だ。小学生ってこんなだっけー。

    鴻巣さんのいう、「能動的」に読むことの大切さ、っていうものもあらためて感じた。鴻巣さんご自身はいわゆるリーダブルものより、じっくり読めるもののほうがお好きみたいだけど、いやーわたしはざざーーっと読み飛ばすようなものが好きだなー、読み飛ばしてるなーとちょっと反省(別にいいんだけど)。
    翻訳って、結局のところ、訳者が、わたしはこの本をこう読みました、こう解釈しました、こう思いました、ってことの提示だ、と。それはよくわかる。でも、じゃ、そうなると、なんというか、作品は原著者のものであるけど翻訳者のものでもあるって感じで、たとえば翻訳者の名前がばーーーんと出るべきかも、原著者がだれっていうより翻訳者がだれって話になってくるかも、とか思ったり。


    翻訳学校に通って、下手な翻訳(まがい?)もするわたしは、でも、やっぱり「意訳」っていわれそうな大胆な訳文を書く勇気がないかなあーと。翻訳するとき、あくまで原文に忠実に、いわゆる英文和訳をもとに訳すような感じになるのは、あまりにもルールがない、よるべきものがないと不安だからだ、っていうのがよくわかる。
    わたしが翻訳を教わった、翻訳家である先生は、原文の単語ひとつもぬかさない、できれば語順すら同じに、一文の長さすら同じに、とつねに言っていて、実際、先生はそうやって翻訳して、原文の雰囲気を壊さず、日本語としてすらすら読める文章をつくっていてさすがと思ったものだった……。
    どっちがいいか、ってことはわたしはやっぱりわからない。どっちがいいって話でもないかもしれない。とにかく、翻訳は難しい……。

    まあ、いずれにしても、本を読む、ってことは、字面をなぞるだけでなく、踏み込んで読まないと、っていうことだ……。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「こう思いました、ってことの提示だ」
      はぁ~機械翻訳より酷い出来で、全然意味が~っと嘆きしかない私には、翻訳者あって成り立つ読書。いつも感謝...
      「こう思いました、ってことの提示だ」
      はぁ~機械翻訳より酷い出来で、全然意味が~っと嘆きしかない私には、翻訳者あって成り立つ読書。いつも感謝しています。
      「踏み込んで読まないと」
      作者、翻訳者への礼儀と思って、肝に銘じます。
      2012/07/31
    • niwatokoさん
      わたしも翻訳されなかったら海外モノは読まないと思うので、確かに翻訳家の人々には感謝です。
      わたしもいつも先をいそいで読んでしまうんですよね...
      わたしも翻訳されなかったら海外モノは読まないと思うので、確かに翻訳家の人々には感謝です。
      わたしもいつも先をいそいで読んでしまうんですよねえ……。
      2012/08/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「いつも先をいそいで」
      図書館で借りるコトが多いので、私もそんな感じです。でも最近、読むスピードが落ちて来て、、、歳ですね。
      「いつも先をいそいで」
      図書館で借りるコトが多いので、私もそんな感じです。でも最近、読むスピードが落ちて来て、、、歳ですね。
      2012/08/03
  • 「バカの壁」に通ずる見解が翻訳という世界から考察できる。翻訳者の仕事の紹介というより、翻訳の本質について書かれている気がする。

  • 序章でつかまれてしまいました。
    小学生の翻訳の過程も良かったなぁ。
    番組を観たくなった。

  • もっとはやく出会いたかった!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「もっとはやく出会いたかった! 」
      へ~
      「教室」に入ったら、翻訳出来るようになるかな?
      (実は積読中)
      「もっとはやく出会いたかった! 」
      へ~
      「教室」に入ったら、翻訳出来るようになるかな?
      (実は積読中)
      2012/10/17
  • 中高生向けのレーベルなのに、大人が読んでも十分に面白い。
    小学生を相手に行われた授業の内容が書籍化したものなので「翻訳ってこういうこと」
    分りやすく教えてくれて、翻訳ものに対してヘンに苦手意識持ってる人間の
    意識を変えてくれるかのよう。

    小学生が「The Missing Piece」を翻訳する様がメインなんだけど、
    一語一語に引っかかり辞書を引き引き、懸命に読み解いた結果
    訳された物語のなんて瑞々しくて素晴らしいこと!
    翻訳とはいえ自分の等身大の言葉で自由に柔軟に紡がれた物語に感動した。
    長男にも勧めて読ませたい!!

    さりげなく語られる「透明な翻訳」な翻訳事情など
    いろいろ興味深い1冊だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「分りやすく教えてくれて」
      この本は積読中。早く読まなきゃ、、、外国語挫折者なので、コプレックスと憧れから、翻訳者さんの本は結構読んじゃいま...
      「分りやすく教えてくれて」
      この本は積読中。早く読まなきゃ、、、外国語挫折者なので、コプレックスと憧れから、翻訳者さんの本は結構読んじゃいます。
      2012/09/06
    • 黒百合お七さん
      お持ちなんですね!私は借りて読んだので、ちゃんと買って手元に置いておきたいなって思いました。
      積読されてるんですね!なんて勿体無い!(笑)
      ...
      お持ちなんですね!私は借りて読んだので、ちゃんと買って手元に置いておきたいなって思いました。
      積読されてるんですね!なんて勿体無い!(笑)
      ここに書いてないけど「うわああ。そうなんだ!」「そうそうそう、まったくその通り!」
      目ウロコしたり共感したり、読んでるといろいろ大変でした(笑)。
      読了されたら、ぜひ感想をお聞かせください~
      2012/09/09
  • 著者が小学校6年生の児童におこなった翻訳の授業に基づいて書かれた本です。じっさいにシェル・シルヴァスタインのThe Missing Pieceを翻訳してみるという体験を通して、翻訳とはどのような営為なのかを子どもたちに伝えています。

    テクニックよりもっと基本的な、著者自身の「翻訳原論」ともいうべき内容が分かりやすい言葉で説明されており、おもしろく読みました。

  • 訳される相手の視線になってみる。翻訳に使う想像力は、ただ読書をする私も必要だと思う。
    子供たちが挑戦する翻訳を読んで、自分でもやってみたくなった!

  •  やっぱり東京の小学生は、勉強できるんですね。

  • 翻訳についてとてもわかりやすく書かれていて内容も面白いです!

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 「ようこそ先輩」の番組内で、子どもの翻訳を聞いたときの、作者のはっとした表情と涙が忘れられず、購入。
    本書は、作者の考える「翻訳とは」という部分をフィーチャーしていて、興味深かった。
    翻訳に正解などない。翻訳は、和文英訳とは一線を画する。翻訳で一番大切なことは、原書を「能動的」に読むこと……。
    同じ生業のわたしにとって、一生の課題になりそうだ。

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著者プロフィール

英語翻訳家、文芸評論家。古典新訳にマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』、シャーロット・ブロンテ『嵐が丘』、他訳書に、J・M・クッツェー『恥辱』など多数。著書に『翻訳ってなんだろう?』、共著に『翻訳問答』など。

「2020年 『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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